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夕方のロバ #7

記憶のけむり②
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やがて、けむりはまた別のけむりと混ざり合い

そのまた別のけむりと混ざり合う

世界の質量は変わらないまま 延々と

誰かの、過去の、未来の、夢の、砂の、雨の、

水溜りの、木の、風の、ビルの、土の、

錆びた公園のブランコの、残り4cmの鉛筆の、

浜辺の白い貝殻の、夏山に転がる石ころの

主体と客体が入り混じり

もはや何のいつの記憶かは誰もわからない

いつまでも漂い、混ざり合う 

全ては記憶の集合体なのだ

私が私だと思っているものは

私以外の記憶の集合体なのだ

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