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カラスや鳥の巣を駆除できない? 壁となる鳥獣保護法の存在

ニュースでカラスが我が物顔で堂々と街中の建物に入ってきて困る、といったようなことをやっていました。そうかと思えば、若い男性らがツバメの巣を壊してしまった、という事件もニュースでやっていました。

どちらも野生の鳥と人間が関わるものですね。

2件目のニュースは鳥による被害ということではなく、明らかに人間側がイタズラで鳥側に害を与えてしまったものなのですが、場合によっては、いつの間にか建物の壁に鳥が巣を作ってしまって、それを取り除きたいと考える人がいるようなときもあるでしょう。

ではこのようにカラスや鳥の巣を迷惑だと感じている場合、駆除できないものなのか?と考えると思いますが、これがそう簡単にはいきません。

それが、「鳥獣保護法」の存在なのです。


鳥獣保護法とは

この鳥獣保護法がどういうものかというと、条文には「鳥獣の保護を図るための事業を実施するとともに、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害を防止し……」などとまぁ法律にありがちなよく分からない言い回しでなんだかんだと書いてあるわけですが、要は、

「野生の鳥獣を勝手に狩猟したり、傷つけたりしてはいけませんよ。それは罪になりますよ」

というものです。

この法律のおかげで、公園や池などにいる野生の鳥が守られているわけですが、逆にカラスや鳥の巣を簡単には取り除けない、ということにもなっているのです。


カラスはなんとかできないの?ゴミを荒らしたり迷惑だけど…

朝に出したゴミを荒らしたりなどなかなか迷惑なカラスですが、これを駆除する方法はないのでしょうか?

これは個人単位ではほぼ無理です。

駆除という名の殺生を行ったり狩猟したりは、上の「鳥獣保護法」により罰則となってしまいますし、狩猟免許を持っている人が許可を得られれば駆除もできるようですが、街なかで銃をぶっ放すなんて危険すぎてまず許可が下りないでしょう。

次に考えるのが自治体に相談することですが、これもしっかり駆除まで対応してくれる場合は少ないようです。カラスを害獣扱いとして駆除するには国の許可を得ないといけないし、そもそもどれくらいの範囲を何羽捕まえればいいかもはっきりしないからです。

最後に専門の業者に頼む方法ですが、これが一番有効といえば有効かもしれません。ただ、許可を得ている業者であっても、「追い払う」止まりなんですよね。それにより一定期間は来なくなるそうなんですが……。あとは、お金がかかりますね。ざっと見たのですが、2万円以上はかかるようです。

なかなかすんなりとはいかないですね。


鳥の巣は取り除いたらいけないのか?衛生面とか気になるんだけど…

次に家の軒下などに鳥が勝手に巣を作ってしまった場合ですが、条件付きで取り除いても問題ないときがあります。

その条件とは、巣の中に卵や鳥のヒナがいない場合です。この状態であれば巣を取り除いてしまっても鳥獣保護法違反にはなりません(壊すときに鳥夫婦などを傷つけたりしてはダメですが…)。

…しかしこれ…巣の中を確認しないとダメですよね?だいたい鳥の巣というのは人間目線よりも上にあるんですよ。卵やヒナなんてすぐに確認はできません。なかなか難しいですよね。

ちなみに上のニュースで言った「ツバメの巣を若者が壊した事件」では、巣の中にヒナが何羽かいたので、鳥獣保護法違反となります。

卵やヒナがいる場合に巣を撤去したいというときは、これまた業者に頼んでしまうのが一番だと思われます。一応、許可が得られれば個人での撤去もできるようですが、申請を出してから許可が得られるまでけっこうかかりそうですし、撤去した巣(鳥つき)をどうしていいものか困ると思います。


なかなか難しい野生の鳥との付き合い方

鳥たちを守るための鳥獣保護法。それは本来良いものであるはずなのですが、これがネックとなり「害」と感じる鳥たちの行為を簡単には対処できないものとなっています。

「野生の鳥だって生きている。彼らは自分たちなりの生き方を全うしているだけだ」

という意見もあると思いますが、それだけでは済ませられない問題というのも実際ありますよね。

「自然を大切にする」ということは「鳥たちに好きなようにさせる」ということでしょうか。いろんな方向から物事を見て、そしてなるべく良い形になるよう考えていく必要があると思います。

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