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おもしろくてためになる桜島の話(後編)

前編はこちら(クリック)

福島:とはいえ、いつもと違うので、1万円くらいの噴火が200万円ですから。ちょっと被害があるかもしれないので、周辺だけ避難が出たんですよね。

古川:今回最大で200万円くらいになりそうだよっていうのはどうやってわかるの??

福島:それはね、聴診器を付けているようなもので、集中治療室に入っているのと同じ状態なんです、桜島は。

古川:へー!

福島:色んなセンサーが埋め込まれてるので、山がグーッと膨らんできてますっていうのがわかるんです。それでこれくらい膨らんできてますっていうので、200万円くらいっていうのはわかったんですけど、それもあったから、全島避難ではなくて、3kmの範囲だけ避難という形になったんです。

古川:うーん。その3kmの範囲避難すれば大丈夫っていうのは福島さんが計算するの?

福島:僕じゃないです。それは京都大学とか。京都大学はデータを提供するだけですけど、最終的に判断するのは気象庁です。

古川:はー!

福島:気象庁が何㎞警戒してくださいって言う。でも、最終的に規制するのは自治体なんですよ。

古川:うーん。

福島:鹿児島市役所の、要は市長ですけども。市長がここで止めるとか、行かせない、とか最終判断は自治体に任されてますね。

古川:その情報ってちゃんと届いてほしいですよね。新燃岳が最初に爆発した時でしたっけ?旅行客がかなり減ったと聞きましたけど、今のお話しくらいわかりやすい説明があると良かったなと。最近の噴火は逆にシャッターチャンスと旅行客が喜んでると聞きます。

福島:うん。そういうのは大事だよねと思って。2015年に噴火警戒レベルが上がった時には、僕は結構発信したんですよね。

古川:発信されてましたよね!読んでました。

福島:あの時は使命感に燃えてて。その時には僕しか出来ない、と思ったんです。

古川:うんうん。

福島:京大の人は観測に忙しいし、気象庁は通り一遍のキチンとした情報しか出さないので、今、ここで(素人でもわかるような情報を)出さないとみんな困るだろうなと思ったし。

古川:うん。

福島:観光客は必ず減るんですけど、減った後の復活が早くなるようにしたいんですよ。何か手を打たなきゃと思って、頑張ってやりました。

古川:凄いなー。大正の大噴火っていくらでしたっけ?

福島:20億円です。

古川:凄い!でもその時は死者0なんですよね、確か?

福島:大正の噴火の時は死者はけっこういますよ。昭和21年の噴火は2億円くらいだったんですけど、死者0でした。

古川:大正の時は?

福島:桜島で40名くらい、鹿児島市内で40名くらい。

古川:鹿児島市内ではどうして?

福島:何でかというと、20億円分のマグマが出るじゃないですか。その出て行った分隙間が出来て、近くの断層がバリっと動いて、マグニチュート7.1の地震が起こって鹿児島市街地で沢山の方が亡くなってる。

古川:マグニチュート7.1っていうと・・。

福島:熊本地震くらいですね。結構大きな地震ですよ。家屋の倒壊とかで亡くなった人の方が実は多い、噴火で亡くなった人よりも。

古川:あっ、そうなんですね。ふーん。県外の友達とかお客さんを桜島に連れていく時、私たちは良くも悪くも慣れっこになってるから、桜島がボコボコいってても今日も元気だな、くらいにしかならないじゃないですか。

福島:うんうん。

古川:むしろ、お客さんを連れてきた時に大きな噴煙が上がって良かったな、くらいの感覚でしょ。

福島:うんうんうん。

古川:でもやっぱり、県外から見えた人達って「え!?噴火すんの??」みたいので凄くビックリなさるし、避難壕みたいなのあるでしょ?あれを見たら怖がるんですよ。もし土砂が突然来たらどうするの?みたいな。でも、聴診器を付けてる状態であれば、ある程度事前に予測が出来るって事ですよね?

福島:うん、大きければ大きいほど。小さければ小さいほど予測は難しいので。例えば、マグマが下から上がってくると、その分地面が膨らむんですよ。

古川:はい。地面って桜島の中の地面?

福島:はい。それは人が見てもわからないんですけど、凄いセンサーが埋めてあって、1㎞先が1㎜動いたのがわかるくらいのセンサーが入ってるので、それを見ると膨らんできているのがわかって。

古川:うん。

福島:で、噴火をするとペコって凹むんですよ。

古川:うん。

福島:溜めた分、その分出して凹む、っていうのを繰り返してるので、いつもより沢山溜めてると、これは危ないなというのがわかり、その量も大体わかるので、それでこの間の200万円もわかったという事です。

古川:その時の200万円は結局噴火しなかったんですよね?

福島:不思議ですよね?結局200万円は出しそうなまま、そのまま溜めてストップしてるんですよ。

古川:え、うそ!?噴火警戒レベルはそのまま??

福島:下がりましたけど。今3になりました。

古川:200万円の貯金がある状態がデフォルトになってるという事?

福島:そうです。だけど、この200万円は元々あった財布とは別のところに、貯金箱みたいなのがあるんですけど、そこから引き出して上まで上げたんだけど、懐に入れたまま止まってます、みたいな感じなんです。

古川:じゃあ、恐れる必要は?

福島:あんまり恐れる必要はないです。一回、ここまで上がっちゃうと、そこから先に使う力は無いみたいで。

古川:え、そうなんですか?

福島:上がったはいいけど止まったというのは、過去にも何度かあったみたいで、多分地球上ではそんな事がいくらでも起こっていて。

古川:うん。

福島:1970年代にも同じような事が起こってるんだけど、当時はセンサーが無かったから、盛り上がってそれが止まっているというのがわからないんだけども、過去のやつと見比べてみると今回のとよく似てるので、恐らく同じくらいのマグマがどこか別の場所に溜まって止まったままのやつがいくつかあるんだろうね、っていう話をしています。

古川:うーん。怖い。それだけ聞くと。

福島:ですよね。大正で20億円使ってるじゃないですか。その後マグマがまたどんどん溜まっていくんですけど、桜島の年収は大体1千万円くらいなんですよ。

古川:ん!?

福島:まーまー良い給料なんですけど。収支のバランスなんですが、多い時は1千万円入って、1千万円使い切ることもあって。

古川:はい。

福島:それは1970年代くらいなんですけども、入ってる分毎日の様に湯水の如く使う、っていう生活をしている事もあれば、ちょいちょい溜めてる時期もある訳ですよ。

古川:はいはい(笑)

福島:噴火してても年間300万とか400万とかしか使わなかったら、600万貯金できるじゃないですか。

古川:はい。

福島:コツコツと貯金しててですね。今18億円もう溜めてるんですよ。

古川:え!?

福島:あと2億円溜めれば、大正の噴火と同じ量のマグマを溜めこんでる事になる。

古川:えー!そうなんだ!!

福島:そうなんですよ。だけど、20億円溜めたから必ず噴火するかはわからない。何でかというと、20億円使ったあと、昭和21年の時には10億円しかまだ溜まってないのに噴火を始めちゃう訳ですよ。

古川:うんうん。

福島:溶岩をドロドロと流して2つの集落を埋めてるんですけど、その時に使った量は2億円しか出さずに、8億円貯金したままなんです。

古川:はい。

福島:何で2億円しか出さないのかっていうのもわからないし、今も毎日1万円とか小さい噴火でちょこちょこ使ってるじゃないですか。

古川:うん。

福島:だから使い方はよくわからないんです。

古川:規則性は無いんだ?

福島:そうです。規則性のある火山はわかりやすいんですけど、桜島の場合は気分で使ってるっぽくって、僕らは使ったという事実しかわからない。

古川:何と!

福島:彼がいくらお金を使っちゃったか、という事しかわからないんです。

古川:そうすると、大正の噴火がまた起こる可能性がある訳じゃないですか。その時、私達がやばいぞ、避難しましょう、というくらいの余裕は、事前に予測できるんですよね?

福島:多分できますね。ただ、難しい所はあるので、確実に出来るという事は言えないですね。

古川:何となく錦江湾があるから、国分とかに居る分には大丈夫かなと思ってたんだけど、さっきおっしゃったみたいにマグニチュード7くらいの地震があるってなるとまたちょっと話が違ってきますよね。

福島:うん。

古川:へー。まぁなー、地球に生かされてるからなぁ。その辺はどうしようもないですよねぇ。いつか死ぬ訳だし。

福島:そうですね。

古川:はー、面白い!

福島:量でいくと、シラス台地はいくらかと言うと、4000億円なんですよ。

古川:すごっ!

福島:桁が違うじゃないですか。

古川:1週間で!

福島:1週間で4000億円を使い切る、どんな使い方をすればそうなるんだという。

古川:それでシラス台地が出来た訳ですね。桜島を作るにはいくらくらい?

福島:桜島は全部でいくら使ってるのかなー。調べればわかるんですけどね。よくわからないですね。多分200億円とかそんなところじゃないかな。

古川:へー。お金で言われるとわかりやすい!

福島:わかりやすいですよね!立方メートルと円がちょうどいいくらいなんですよ。

古川:そうなんですね(笑)

福島:たまたまなんですけどね。1千万円とかもリアルな感じじゃないですか、そんな人いるかもみたいな(笑)

古川:うんうん(笑)面白い!で、福島さんは、その研究をしてる。

福島:うん。してた、ですかね。

古川:今はしてないんですか?

福島:うん。今はしてないんです。

古川:へー、今は何してらっしゃるんですか?

福島:今は観光と街作りですよ。

古川:へー!素晴らしい。
桜島ビジターセンターに行ったら、今日のようなお話聞けるんですか?

福島:はい。

古川:へー!じゃぁ、こんどは娘たちを連れて遊びに伺います!
火山、知らないことばかりでした。
ありがとうございました!

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