桜島ビジターセンター（クリック！）の福島さんと長島町へドライブする道すがら、桜島やシラス台地のことをいろいろと教えてもらいました。

火山って面白い！

マグマの量を「お金」に例える福島さんのお話。とてもわかりやすくて、もっともっといろんなことを知りたくなりました。

古川：ねぇ、福島さん。シラス台地とか桜島のこと教えてください！

福島：いいですよ〜。
まず、シラス台地って何万年もかかって降り積もった訳ではなくて、あれは大体1週間で出来てるんですよ。

古川：え！？どういうこと！！

福島：たった1週間で。火山の噴火で1週間で出来てます。

古川：え、桜島の噴火？

福島：桜島の噴火じゃないです。

古川：え？どこの火山？？

福島：姶良カルデラといって、桜島が出来る前にあった巨大な穴があるんですけどそこで噴火したやつが、普通噴煙で上にもくもく上がっていくじゃないですか。

古川：うんうん。

福島：だけど、上がらずに溢れてこぼれて流れる現象の事を火砕流っていうんですけど、火砕流が南九州一円にバーッと流れていって、埋め尽くして出来たのがシラス台地。

古川：えー！

福島：それが計算すると大体1週間くらい。

古川：えー、何でそれ1週間って計算できるんですか？？

福島：それは最近の噴火、とても大きな噴火、ピナツボとかで起こったりしてるんですけど。

古川：ピナツボ？？

福島：フィリピンのピナツボ火山で噴火してるんですけど。そういうところで噴火している時のマグマが出てくる量と時間の関係があるじゃないですか。

古川：うんうん。

福島：やっぱり、地球といえども破壊的な事は起こらなくて、やっぱり限界がある訳ですよ。どのくらいのスピードでどのくらいのものが出るかって。

古川：はい。

福島：最大限目一杯出てるスピードとかがあって、それを計算すると1秒間に何立方メートルとかいう量が決まる訳ですよ。

古川：う〜ん。

福島：地球上で最大の噴火出力、最大出力はこんなもんだというのがわかっていて、出てる量はわかるじゃないですか、シラス台地で。

古川：はい（わかったふり）。

福島：それを割り算すればいい訳で、出てる量を最大出力で割ると大体1週間くらいっていう。

古川：えーーー！！

福島：中には100ｍくらいの高さのシラス台地がありますけど、あんなんが1週間で出来たって凄くないですか？

古川：すごい！じゃあ、その1週間が起こる前っていうのはどういう・・？

福島：こんな普通の山並みがあるところを埋め尽くして、山も谷も真平らにしていくというそういう現象ですね。

古川：えー！今から行く長島だと土が赤いんですよ。友達曰く、ハワイも赤かったよねって言うんですよ。火山の近くは赤いのかな〜って言ってました。

福島：長島の赤土は何だろうな。多分あれは基本的には安山岩の風化だと思うんですよね。

古川：風化？？？

福島：ぼろぼろになっている。元々あった石がぼろぼろになっていく時に。

古川：石！？

福島：石ですね。基本的に元々全部石なんですけど、それが多分酸化してるんだと思うんですよね。酸化って赤錆じゃないですか。

古川：うん。

福島：自転車も錆びますけど。あんなもんだと。石の錆だと思ってもらったらいいと思います。

古川：それって作物を作る時に栄養的にどうとかあったりするんですか？長島だとその赤土で作られるジャガイモが美味しいんですよ。

福島：赤土が何故良いかまでは僕もよくわからないんですけど、鉄分が多いからとかじゃないですかね？

古川：うーん。

福島：火山灰も、火山灰土壌は畑作に良いとか言われてるんですけど。

古川：え！そうなんですか？

福島：はい。火山灰そのものは駄目なんですよ。火山灰そのものは邪魔なだけで、何の役にも立たないんですよ。

古川：えー、残念！

福島：残念ですよね！

古川：ミネラルとか含んでそうだけど。

福島：ミネラルはありますけど、ミネラルしかないんですよ、逆に言うと。

古川：え？

福島：その火山灰も土と混ざって、有機物と混ざっていくと土壌になるんですよ。

古川：うん、、、。

福島：土と土壌は違っていて、土は石が砕けた無機質なものなんだけど、土壌はそれに有機物が加わったもの。

古川：うーん！

福島：草が腐れて土壌になりましたとか、そういうのが混ざってはじめて土壌になるらしくって。砂漠って土なんですよ。

古川：はー！

福島：だけどここは土じゃなくて土壌なんですよね。

古川：じゃあこうやって植物なんかを生んでいくのは土壌じゃないといけないんですね。

福島：はい。土みたいなものな訳ですよ、降ってくる火山灰は。それと土壌が混ざっていくと、ミネラルも多いので畑作には良いらしいです。

古川：おもしろい！姶良カルデラって今はもう無いんですか？

福島：穴がベコッて開いてるだけで、霧島市国分の前にあるあの錦江湾、あれがカルデラなんですけど。

古川：え！？そうなんですか？？

福島：はい、そうなんです。国分と桜島の間にある海、あれが姶良カルデラなんです。

古川：へ！そうなんだ！

福島：カルデラの一番北側が国分で、南側が桜島です。

古川：えーーー！じゃあ、あの錦江湾まるごと姶良カルデラ！？

福島：そうなんです。北側が例えば国分がこの辺にあって、ここに桜島があるとこうなって、ここも竜ヶ水あたり、これが姶良カルデラ。

古川：えー！

福島：桜島より南は違いますよ。だけど同じようなカルデラはいくつかポコポコと鹿児島湾の中に並んでて、並んでるから溝みたいな細い海になってるんですよ。

古川：何が？

福島：ポコポコといっぱい穴が連続して開いている、縦に並んでいるのが鹿児島湾、錦江湾なんです。

古川：えー、そうなんですか？じゃあ、姶良カルデラが活動していた時期というのはまだ桜島はなかったんですね？

福島：はい、なかったんです。後に出来た新しい山だったんです。

古川：それは姶良カルデラ、地下の何らかのものが上がってくるがあの辺という事？

福島：そうです。

古川：桜島の山もシラスですか？

福島：違います。その後に出てきた溶岩。

古川：溶岩だけあの場所にピンポイントで出てきたからあの山になったという事？

福島：そうです。

古川：うーん、、、、。
じゃ、桜島は今何歳になるんですか？

福島：2万6千歳ですね。

古川：2万6千歳！？

福島：人間でいうと、まだまだ小学生くらい。

古川：え！？どういうこと？地球の年でという事？？

福島：火山の年でいくと、ほんとに早死にするやつから長生きするやつまでいろいろなんですけど、一概には言えないんですけど、大体数十万年から100万年程度なんですね。

古川：うーん。

福島：なので、2万6千年とすると、26万年生きたときの10分の1なので、まだ8歳とかそんなもんです。

古川：えー！？鹿児島県民みんな「桜島先輩」「桜島先輩」とか言うのに。

福島：人間からすると先輩ですけどね。

古川：えー、面白い！富士山は？？

福島：富士山は多分50歳とか。

古川：へー。じゃあまーまーいい年。阿蘇は？

福島：阿蘇は例えば一番最近噴火したのは・・。あれも数十万年なので、大人にはなってますね。

古川：へー。じゃあ日本の火山の中で桜島って若い方？

福島：かなり若い方ですね。だからあんなに元気なんですよね。

古川：そうなんだ！若い時の方が活発なんだ？

福島：そうですね。でも火山によりけりではあります。いろいろですね。

古川：へー。そうなんだ。面白い。実は私、鹿児島県民なのに、桜島には4・5年前に初めて行ったんです。

福島：うんうん。

古川：感動しました。島に渡った途端、風景がガラッと変わるじゃないですか？

福島：そうですね。

古川：溶岩ってドロッてしてそうなイメージなのに。山肌とか。石ですよね？

福島：基本、石です。

古川：石がぐぐぐって亀裂が入って盛り上がってきました、って感じじゃないですか？

福島：そうですね。

古川：あれが溶岩・・。桜島の大噴火があったでしょ？あれで鳥居が埋まってたりするじゃないですか。あの活動っていうのと、姶良カルデラが噴火してシラス台地を作った活動っていうのはまた別の活動？

福島：全然違いますね。桁が違う。

古川：種類は同じ？

福島：種類も違う。量でいくと全然桁が違うんですけど。例えば今の桜島の噴火が大体1回の爆発で数千立方メートルから1万立方メートルくらいなんですね。

古川：うん。

福島：立方メートルを円で換算すると、大体5千円から1万円くらい。「天文館に飲みに行って1件か2件くらい」みたいな。

古川：うん（笑）

福島：時々ドカ灰が降るじゃないですか？ドカ灰が大体10万円くらい。

古川：はい。

福島：2015年に、噴火警戒レベルが4に上がったの覚えてます？

古川：はい。

福島：あの時いくらのマグマが上がってきそうだったかというと、200万円が一気に上がってきそうだったんです。

古川：うん！
面白い！

福島：何だよ急に200万円みたいな？どんだけ大盤振る舞いするんだ？みたいな話ですけど。

古川：はい。

福島：それでみんなかなりビビッてたんですけど、大正の大噴火がいくらかって言うと、20億円なんですよ。全然桁が違うんですよ。

古川：おーーー！

福島：とはいえ、いつもと違うので、1万円くらいの噴火が200万円ですから。ちょっと被害があるかもしれないので、周辺だけ避難が出たんですよね。

古川：今回最大で200万円くらいになりそうだよっていうのはどうやってわかるの？？

（後編に続きます）