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【SELSHA通信2月号】ハイクオリティのアメシストを選ぶ”スキル”と”センス”

SELSHA通信は天然石ショップSELSHA が2022年から始めたメルマガです。ここでは天然石の話だけでなく、日頃私が気になった「本」を合わせてご紹介していきますので、SELSHAを運営している人ってこんな人なんだなと思って楽しんでいただけたら幸いです。

『SELSHA通信』 第一回目は「宝石と鉱物の文学誌」という本と、「ガーネットの周辺にあること」についてご紹介しましたが、第2回目でご紹介するのは天然石と本は、、

書籍:『「仕事ができる」とはどういうことか?』

私は三年前に会社勤めにピリオドを打ち、自営業へシフトチェンジしましたが、旧暦の新年が明けたタイミングで少し立ち止まって、生活以外の「仕事」について改めて考えてみることにしました。自営業にしても、会社勤めにしても、関わる全ての方とお付き合いしていくために「仕事」することは必須です。でも、趣味と仕事の境界、私生活と仕事の分界は自分にとってどういう意味付けでどう向き合うべきか、本質的なことについてあまり考える余裕がないまま過ごしてきました。

振り返ってみると、自分自身は就職→転職→留学→転職→転職→結婚→育児・・・・ 海外でも生活していたので、ここでいったん深呼吸をしてなるべく客観的な視点で「仕事」を見てみたいと思いました。

忙しいなか時間を割いてこの記事を読んでくださっている皆さんに改めて感謝しながら、最後までお付き合い頂けたら幸いです。


かつて会社勤めしていた自分はスキルばかり追い求めていたような気がしました。自動車メーカのIT部門だったので、下積みとして仕様書を書く、プログラムを書く、プロジェクトを管理する・・・そういったことに没頭していました。会社としては「スキル」なら評価がしやすく、学習するための道筋もしっかり用意されています。しかし、この本を読んで振り返ってみると「スキル」以外のものに対しては、会社として(上司として) 評価する基準がなく、スキルだけが成長していった、とそんな風に感じていました。

この本のタイトルにあった「仕事ができるとは?」という問いかけに対する明確な回答は実際書かれていないのですが、お二人の対談を通して「仕事」について改めて考えるきっかけを与えてくれたことが逆に良かったな思いました。

この本の感想を一言でいうと、自営業の方だけではなく、会社勤めの方にもぜひ読んで欲しい本です(^-^) 
一方で、自分に向けた考察として3点ほとあげてみました。

1、より良い生活を送るために「仕事」を自分なりに再定義する必要がある2、仕事だけでなく「スキル」より「センス」が求められる時代になった
3、どんな人でも「センス」は後発的で習得することができる

1番から3番について全部書くとすごい長い文章になりますので、ここでは「センス」についてだけ補足してみたいと思います。それ以外の部分はこの本を読んで頂けるとすぐ理解し、なるほどと思っていただけるはずです。

なぜ「センス」について補足してみたいかと言うと、ちょうど去年催事の時、SELSHAのブースに立ち寄ったハンドメイド作家のお客様に「ハイクオリティなアメシストはありますか?」と聞かれたことを思い出したんです。

さて、皆さんにとって「ハイクオリティのアメシスト」の定義はなんでしょうか?

本当のハイクオリティを知っていることはスキルですが、自分が好きな石を選べることはセンスです。つまりスキルもセンスもない質問だったということなんですよね。販売する側としてはそのお手伝いをするのが仕事なので、スキルに寄りすぎないようにしたいなと最近思っています(^-^)

水入りアメシスト

SNSが普及して商売もしやすくなったなと思うかもしれませんが、個人的にはすでSNS上でも競争が激しくなり、大変な時代になる予感です。なぜそう思うかというと、一つの身近な例として「プレゼント企画」と称してTwitter、インスタ、ユーチューブなどのチャンネルで無料でお客様に天然石ルースをあげている業者が多くいます。フォロワー獲得方法の一つですので、自由競争原理においてこれは仕方がないことですが、同じようなものを販売しているルース屋さんは間違いなく売り上げが下がります。 プレゼントがたった一つでもタダは特別感を薄れさせます。そして ”タダ” に飛びついてばかりいると、”自分で価値をつける” ”良いものを選ぶ”という自分軸の感覚を麻痺させてしてしまうのも懸念点です。

ところで、いったい「センス」って何者?
この「微妙な感じ」について皆さんそれぞれ意味づけは多少異なると思いますが、ぜひ考えていただきたいでう。ここでとりあえず私は「美的感覚」と定義しています。

妻と出会う前の私は本当にセンスの無い人間でした。自身のプライベートのブログの一回目の記事にも書きましたが私は30歳過ぎるまで表参道へ行ったことも、ファッション雑誌を買ったことも無かったし、学生の時はジャージ姿が多かったです。今の自分と比べて美的感覚がほぼゼロでした(笑)

しかし、美術館行ったり、デザイン雑誌を読んだり、妻が美しいと思う世界に触れることで、美的感覚は後発的に身に着くということを身をもって確信しました。なので最近「誰もが美意識を持っている」という記事を書いてみたのです。

モノが溢れているこの時代において、お金よりも大事なものはたくさんあります。「センス」というものが実に大事で、より良く生きるために必要だなと、特に子供が生まれてすごく思うようになりました。

皆さんにとっての「センス」とはなんですか?
普段はどのように磨いていますか?

という問いかけを今回のSELSHA通信を終わりたいと思います。特に制作されている方に考えて頂きたいです。そしてぜひご感想やご意見をTwitterやInstagaramなど通してシェアして頂けると嬉しいです。

さて、今回取り上げる天然石は

天然石:Amethyst (アメシスト)

Amethyst はさまざまな古代書物に中で歴史背景や使い方など紹介されています。皆さんにとって身近な天然石のひとつではないでしょうか?アメシストは昔アラビアとシリアの両方で産出され、ヘブライ語の名称はこの石が幻や夢(halom)を見せる力があると信じられています。一方でよく知られていることとして、ギリシャ神話の一説によると:

女神ディアナの神殿にアメシストという女性が礼拝へ行く途中に猛獣に襲われ時、彼女は女神の加護を求め、真っ白な石に姿に変えられ 残酷な運命から救われた。奇跡を目のあたりにして自分の冷酷さを後悔した酒の神「バッカス」はぶどうの果汁を石になった彼女の体に注いだ。こうして石は美しい紫色になり、見る者を魅了したというお話です。

神話はさておきアメシストに関連して、今回は有名な「スーパーセブン」についてお話してみたいと思います。というのもミネラルショーブースに立ち寄ってくださったお客様に、ゲーサイトやレピドクロサイトが入ったクォーツを手にして「これはスーパーセブンですか?」と聞かれることがよくあるのです。

私はいつも「スーパーセブンは流通している ”商品名” のようなもので、実際に含まれている鉱物はゲーサイトです」と簡単に答えています (^-^)

ご参考までに「スーパーセブン」に必要とされる7つのものを並べてみまし
た。化学式を見ると同じものが並んでいることが分かります。


スーパーセブンに必要とされるもの

スーパーセブンという石はアメリカで「SUPER SEVEN®」という名称で商標登録されいるそうです。商標ということは学術的な名前ではないということですよね。パワーストーンについては詳しくないですが、名付け親のメロディーさんという方がその世界では有名な方で数年前に亡くなられたそうです。

さて、上の表を見ていただくとわかるように、7つの鉱物が入っているといっても、科学的に見れば、SiO2はクォーツ (石英) で無色がロッククリスタル(いわゆる水晶) 、不純物によってもたらされる色がアメシストだったりスモーキークォーツだったりするわけですから、厳密に7つの”鉱物” が入っているとは言えないと思います。またゲーサイトとレピドクロサイトは同じ成分で形状が違う関係ですし、市場で「カコクセナイト」と言われて売られているものの多くが、実は成分を調べるとゲーサイトだったりするので、そう考えると限られた組成からなっていると言えます。

でも「スーパーセブン」と言った方がなんか凄そうで売れるので、アメシスト x ゲーサイト の組み合わせだけだったりしても、多くの石屋さんがスーパーセブンと呼びます。人によっては、7種類入っている原石からカットしているから部分的でもそう呼びます、なんて言ったりしますがそれもおかしいですね(^-^)

スーパーセブンは本物?偽物?ということを考えるのはいったん棚に上げて、その背景にある物語を探ることで新しい発見があると思います。今回もアメシストという石の的を外して、その周囲の内容を探ってみました。楽しんで頂けたら嬉しいですw
もし何かご不明点が湧いてきましたらいつでもSELSHAまでお問い合わせください♪


最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回のSELSHA通信でまたお会いしましょう(^^)/
SELSHAのインスタグラム:selsha_stone


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