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星新一は40年前にインターネットもシンギュラリティーも予知していた?『声の網(星新一)』【読書ログ#38】

偉大なるショート・ショート作家の短編連作。見方によっては長編小説。

現在のインターネットやスマートスピーカーの登場を予見するかのような内容に驚く。驚きすぎて2回読み返した。これが1970年に書かれたということで、もはや未来が見えているとしか思えない。

誕生日通知サービスだとか、買い物選択サービスだとか、今まさに我々がGAFAからあてがわれているサービスが描かれている。1970年だよ。

(GAFA= Google / Apple / Facebook / Amazon の頭文字を並べたもの。テクノロジーで世界を支配している企業群だ)

ここに書かれた世界が、過去から見た現代の姿だと考えると、この小説の着地点が示唆するものはとても恐ろしい。恐ろしいのだが、実はすでにその状態になっているのかもしれない。知らずに支配されているというのは、実は幸せなことなのかもしれないとも思う。

テクノロジーがいくら進化しても、人間は急にはアップデートされない。であれば、人間を遥かに超えた何かに幸せな環境を用意してもらう幸福な生活というものも悪くないのかもしれない。

声の網はこれだけで終わりではない、亡くなった方の人格の再生やコンピューターの利用が出来なくなった際の混乱の様子など、これから我々が経験するかもしれない未来も描かれている。かもしれない。

もしかしたら既に我々は……

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。