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『ギフティッドその誤診と重複診断』発売。

台風19号により被災された地域の皆さま、そのご家族の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を願うとともに、少しでも自分にできることを続けてまいりたいと思っております。

先月25日に、Dr. James T. Webbら著、角谷詩織先生&榊原洋一先生監訳の『ギフティッドその誤診と重複診断』が一般発売されました。私も北大路書房の担当者の方より一冊ご寄贈いただきました。ありがとうございました。

ご寄贈いただいたばかりなので、まだちらりとしか目を通せていませんが、原著はもちろんのこと、角谷先生より翻訳チェックのボラインティアの依頼を直接いただいた約一年前、表表紙から裏表紙に至るまで、この一冊に書かれている文字ほぼすべてに目を通してチェックした経緯から、この本がどれだけ素晴らしいかはすでに実感済みでありました。ただ、訳書としては試訳段階でしか読んだことがなかったため、完成版がどうなったのか、心から楽しみに待っていました。

今回は「翻訳協力者」として巻末に載せていただいた故に、私もが実際の翻訳に関わったと誤解されている方がちらほらいらっしゃいます。こちらで明言いたしますが、私は翻訳自体はしておりません。翻訳は、主に角谷先生と、ほか3名の先生が担当章をそれぞれ訳されました。私が担当したのは、翻訳全体(一冊)の確認作業、要は翻訳チェックです。

私が担っていた内容は、先生方が訳されたすべてを原著と照らし合わせ、誤訳や誤解釈がないかを確認することでした。訂正できるものは訂正し、リサーチが必要ならば調べて提示したり、不自然な日本語は指摘もしくは自然な日本語に正すことでありました。あくまでボランティアなため、私に専門知識がない精神医学、臨床心理学に関しては一切触りませんでしたが、しかし、アメリカ現地の学校教育やギフテッド教育を受けたことがなかったり、現地の学校文化に触れていないと知らない言葉やイベント(例えばcurriculum compacting, chapter book, spelling beeなど)、あるいは辞書のみでは現地で使われている語の実体やニュアンスが伝わらない表現や英単語(例えばnerd, peer, psycholoistなど)を、角谷先生とメールで直接やりとりして説明するという、まるでTVドラマや映画作りの方言指導者のような役割も担いました。

現地でのギフテッド教育事情に関しては、私自身の現地ギフテッド教育機関での子育て経験やコネチカット大学大学院で学んでいることを、知的好奇心旺盛な角谷先生に個人的に説明させていただくことも何度かありました。『ギフティッドその誤診と重複診断』は心理学における「ギフテッド」についての専門書なため、教育学における「ギフテッド」の姿はあまり出てきません。心理での場の「ギフティッド児」と教育の場での「ギフティッド児」は、重なる部分も当然あり、切っても切り離せませんが、若干ズレがあり、そのようなこともお話させていただきました。又、先生が質問されたことなどで私ではわかりかねることは、ギフテッド育児のベテラン保護者である友人のあーちゃんママさんや、UConnの同僚かつ友人である現地ベテランGTプログラム教師らに尋ねて確認したりもしました。皆さん、快く協力してくださいました。感謝してもしきれません。

完成した訳書である『ギフティッドその誤診と重複診断』をパラパラと読んだ限り、とても読みやすく素晴らしい一冊に仕上がっているように思います。立派なタイトルも功績もない私を信頼し、翻訳チェックを任せてくださった角谷先生には大変感謝しています。以前からギフテッド関連の翻訳にとても興味があったこともあり、今回は貴重な機会をいただきました。ありがとうございました。

これから少しずつ読み進めるのが楽しみです。

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