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「おうちSEMラジオ」#16。

おうちSEMラジオの配信が滞ってしまって申し訳ありません、、、

が、やっと!第16回目を収録しましたので聴いていただけたら嬉しいです。今回はレンズーリ教授が定義する2種類のギフテッドネスについてお話しています。

偉大なことを成し遂げた人たちの伝記を調べるうちに、レンズーリ教授は「才能にはどうやら2種類あるようだ」と考えるようになりました。一つは Schoolhouse Giftedness / Lesson Learning Giftedness「勉強や練習が得意な才能」、もう一つは Creative-Productive Giftedness「創造的で生産的な才能」です。

その2種類の才能とはどんなものなのかをラジオでお話しています。

ギフテッドネス(=ここでは才能)の定義は研究者によってさまざまです。私が紹介しているのはレンズーリ先生の定義で、先生はこの考えをもとに、主に「創造的で生産的な才能」を確実に、効果的に伸ばすための方法を研究開発されました。それがSEMです。

才能を伸ばすことや才能教育(つまりギフテッド教育)に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。でも才能(つまり「好き」や強み)を伸ばす過程で苦手も乗り切る体験もし、自信やレジリエンス、自己効力感が高まったり、実行機能スキルやソーシャルスキル、コミュニケーション能力の練習にもなったりします。才能教育(つまりSEM)の効果は、社会的な成功や偉大なことを成し遂げる才能を伸ばすというよりは、その子がこの社会で生きていくための力を伸ばすことだと思っています。

その点について、サリー・リース教授らによる下のpaperが参考になると思います。とてもわかりやすいです。

https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1317646.pdf

ちなみにSEMは、日本の総合学習とは違うと思います。総合学習の定義を見てみましたが、SEMの中心的要素でカリキュラム・ベースでもあるETM(拡充三つ組モデル)は、もしかして総合学習と言えるのかもしれません。ETMを家庭で実践できるよう工夫した「おうちSEM」も(探究活動ですし)総合学習の仲間と言えるのかな?と思います。

SEMは、その名の通り schoolwide(学校全体)で行う拡充で、例えば週に2時間などの枠内で行うものではありません。SEMというカリキュラムモデルは柔軟に取り入れられ、導入する学校によって個性も出せるし、SEMのどの部分をどの程度取り入れるかによって違いも出てきます。例えばSEMのETMだけ取り入れてみようという学校の「SEM」は、日本の総合学習のようになるのかな?と思います。

下の図でもわかるように、SEMには家庭で実践するぶんには必要ない要素が沢山あり、その全体像は総合学習だけではおさまり切れないものです。

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例えばカリキュラム短縮やSEM専門教師の研修、地域や大学など学校外での学び場との連携など、総合学習の時間では行われないだろう要素のほうが多いと思います。

私が今までプレゼンやセミナーで「家庭で実践できるSEM」「おうちSEM」などと「SEM」を大々的に謳ってきたため、「SEM=ETM=探究学習」だと誤解を招いてしまったかもしれません。とんでもないことをしてしまったかもしれない、、、と反省しています。SEMが日本ではあまりにも知られていないため、ETMを「家庭で実践できるSEM」や「おうちSEM」と表現し、その知名度をなんとか上げようと思ってのことでした。

本来であれば「家庭で実践できるETM」「おうちETM」なのです。でもETMはSEM以上に知られていませんし、レンズーリ教授らが提唱しているのはETMではなくSEMです。なのでここは、やっぱり「おうちSEM」だろうと思うのです。今でもそう思っています。

SEMの理念とETMの方法で実践する学校外での本物の学びが「おうちSEM」だと今までも紹介してきたと思うのですが、今後はもっと意識的に、もう少し丁寧に紹介していこうと思いました。

そんなわけで「SEM≠ETM」であること、「おうちSEM=家庭で実践できるETM」であること、ご理解いただけたらと思います。

改めてよろしくお願いいたします。


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