スタートアップと中小企業の違いと2つのイノベーションについて

ずっと書かなきゃいけないと認識しながらも、各方面からの矢を絶妙に交わした表現で最後まで届ける自信がなく、今に至ります。その間にも苦しんでいた方々を直近で目の当たりにしたので、後人のためにも書きます。落ちてるナイフを拾う私、重い筆をとった私に幸あれ!

昨今では東京で働いていると「●●というスタートアップが●億円の資金調達をした!」だとか、「あのスタートアップがどこぞの大企業と業務提携した!」など、どこにいってもスタートアップ、スタートアップという声が聞こえてきます。かっこいいですよね、いや、本当に。憧れます。いえ、憧れてました。

こういった中にいると不思議なもので資金調達をしていない方がおかしい空気に苛まれます。最近は毎日のように面接してるんですが、「資金調達はされたんですか?」とか「されないんですか?」とかとか、そういった話も結構聞かれるんですよね。

具体的な話をすると5時間くらいかかってしまうので端折りますが、僕らの仕事は運用型広告の運用、及びコンサルティングになるので、ある程度の手持ち資金が必要不可欠です。ついでにいうと、うまく行けば行くほど手持ち資金が必要になってきます。

ここだけの話、その昔、うまく行きすぎて資金に大変困って資金調達に奔走したことがありまして、その時に最初にお声がけしたのが、その界隈では知らない人がいないスーパーエンジニア兼社長という方でした。自身も資金調達し、実際にバイアウトという経歴の持ち主。確か、お互いに創業する前に浅草橋のオフィス(アナグラムの最初のオフィスは浅草橋でした。カオス!)の近くの中華屋で紹介されてからの仲で、仕事の話はほとんどした記憶はないんですけどね。僕の中で資金調達の酸いも甘いも知っていて、気軽に相談できるのは彼だけだったので、真っ先に相談すると(それはそれは死ぬ直前じゃねーの?くらいのメールを送ったわけですよ、覚えてないけど)、「すぐに行くから待ってろ」とだけ返信してくれて駆けつけてくれるわけです。

で、てっきり僕は相談にのってくれる、つまり、資金を出してくれるのかなとか、もしくはVCを紹介してくれるのかなと思ったわけですが、あっさりと断られる訳ですよ。わざわざ事務所にまで出向いてくれて、決算書をみて、「超いい会社じゃん、ワロタw」みたいな笑みをこぼしたくせに、あっさり断るわけです。そして、

「大変なのは誰よりも知ってる。でも資金調達はするな。絶対に自己資金で続けろ」

とだけ残してそそくさと帰っていくわけです。安定的に売上も利益も出てて、正直損をするような話ではないんです。でもやめろという。訳分からないわけですよ、当時の僕には。とりあえず半分くらい命令だったので、個人ファンド切り崩したり、一部のクライアントさんに助けていただいたりなどをして、もう鼻血も出ないくらい追い込まれましたが、どうにかこうにかデッドラインをギリギリで切り抜け、今に至ります。毎日が格闘でした。。。まさに三枝 匡さんもびっくりのV字回復の経営。そして今ではなぜ彼が頑なに資金調達を止めてくれたのかがわかります。

この起業家さんには今となっては物凄く感謝してるんです。あの時に外部からの資金に頼っていたら…と思うだけでぞっとします。この間の決算が出た時はその時のお礼と経営者とはなんたるものか?などなど色んな話を聞くために一緒に中野の汚いジンギスカン(旨い!)でいろんなことを語りつくしました。

外部から資金調達をしない起業スタイルを「ブートストラッピング(bootstrapping)」というらしいですが、そんなこんながあって未だにうちはブートストラッピングでやってます。ここ最近で少しばかりいろんなことを考える余裕ができたくらいですが。

前段終わり。


スタートアップと中小企業の違い

ここからが本番なんですが、こんなことを書いていますが、僕は資金調達が悪だとはまったく思ってません。むしろ善です。問題は、経営者自身が組織を率いている目的・目標はなんなのかが定義できているかどうかです。それが定まれば、自身の企業がスタートアップなのか、中小企業なのかを明確にすることができるからです。少し乱暴に言えば、スタートアップなのか、中小企業なのかを明確にすることができれば、資金調達が必要なのか、そうでないかがわかるからです。少し乱暴ではなく、結構乱暴かもしれないけれど。

僕はイノベーションには2種類あると考えています。1つは従来製品やサービスの改善などを行うことがメインの「持続的イノベーション」と、もう1つは既存の価値を全く異なるものに書き換えてしまうイノベーション、つまり、「破壊的イノベーション」です。

持続的イノベーション

持続的イノベーションは既に市場がある状態から異なるアプローチで取り組むことであるため、クライアントサイドやエンドユーザーがその価値を理解しやすいんですよね。既にあるものをより良くする、より円滑にする、そのためのサービスがほとんどです。そのため、比較的売上や利益を上げやすい構造です。一般的に、こういった持続的イノベーションに取り組む企業が中小企業だと僕は考えています。

破壊的イノベーション

持続的イノベーションに対して、破壊的イノベーションとはこれまでにない市場を創造することです。いわゆる、0→1というやつですね。これまでにない市場、これまでにない価値である場合、クライアントサイドやエンドユーザーが理解するのも難しいのは当然でしょう。例えば、検索エンジンがはじめにできた時のことを想像すると良いかもしれませんね。場合によっては稟議が通らないなんてことだってありますよね。これにより、すぐに売上や利益を立てるのが難しく、ある程度長期的に物事を見ていかなければなりません。こういった取り組みに挑戦する企業こそがスタートアップじゃないかな。


イノベーションの種類、目標などによって資金調達が必要かどうかがわかるかも

この定義でいけば、中小企業はそもそも市場があり、その市場に対しての皆の理解があるため、よいプロダクトがある、もしくはよいセールスの仕組みができていれば、特段資金調達は必要ないと言えます。勿論、時間的制約がある場合や求める規模感などによって資金調達するケースもありますが、資金調達自体が身分不相応になる可能性すらあり、それによって皆が不幸になるケースもはらんでます。(今はそんなにないかもだけど)

対して破壊的イノベーションには創業メンバーなどが潤沢な資金を持っているなどでない限り(最近は個人資産があるのに調達される方々も多いですよね。こういう経営者は信頼できます。個人的に)、資金調達によっていつか日の目を見ることを信じ、いい意味で盲信しながらも、まさに愚直に今あるプロダクトを最良のものに改善し続けるような耐え忍ぶことが必要不可欠かもしれません。


まとめ

5行くらいで書くつもりがいつもどおり話が長く、特にまとまっていませんが、僕が言いたいことは、自身が取り組んでいることによって、目標次第で資金調達は善にも悪にもなりえるし、資金調達をした方々に対して嫉妬する必要はないんだよ、ということなんですよね。

特に自身が持続的イノベーションに取り組んでいる中小企業の場合は、破壊的イノベーションに取り組んでいるスタートアップの資金調達やビックニュースに過剰に反応する必要はないし、比較する必要もない。当然だけれど嫉妬する必要なんてもない。だって、両者は全く異なることに挑戦しているのだから。特に持続的イノベーションは外から見るとこれまでにある価値と何が変わるのかが一見わかりにくく、スタートアップほど派手さはありませんし、そんなにモテないかもしれません。

でもね、地道かもしれないけれど、それらを確実に必要としてくれる方々がいるから徐々にでも拡大していくのですよ。だからこそ、僕は中小企業に関わる方々はもっともっと自信をもっていいと思うんですよね。スタートアップの場合は資金調達や業務提携などが一種の承認の一つであるのだから、中小企業とは比較しても仕方ないのですよ。

僕は自身がやっていることを明確に定義(僕らはスタートアップじゃない)できてから、会社経営が物凄く楽しくなりましたし、余計なことで悩むことも圧倒的に少なくなりました。中小企業だったら中小企業らしく、地道にこれまでに当たり前にあった価値そのものを、皆が気づかないうちにそっと良い方向に変えてやろう!ってね。モテないかもだけど。

まとめにしては軽いし、明確な言葉の定義はできていないかもしれないけれど、これが僕が起業してから数年経ってやっと気づけたものでした。同じ悩みを持っている方々に少しでもここで書いたようなことが届けばいいなと思って、筆をとった次第です。

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僕の方がスキ!
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semlabo

Work

コメント1件

再定義することが必要ですね。でもモテたいんですよね。
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