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せんぽー韓国ひとり旅行記①

高かろう良かろう、安かろう悪かろう

 2024/2/21~2/25で韓国へひとり旅をして、多くの発見と気づきを得る事ができました。初めて訪れる国で得られない事の方が少ないというのは当然ですが、それでもあえて誰かに共有したくなるほど今回のひとり旅で感じるものが大きく新鮮でした。「日本そっくりで海外旅行の意味がない」と揶揄される韓国で4泊5日をひとりで乗り切った23歳男の旅行記を楽しんでいただけたら嬉しいです。


 今回の韓国旅行で最初に「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」の意味を身をもって知りました。日本語で聞くと深い意味がありげに思えますが、これの英訳はYou get what you pay for(手に入れるものは支払った値段相応のもの)。等価交換を分かりやすく書き直した言葉ですが、なぜ当然の原則をことわざっぽくする必要があったのか、何を伝えたかったのかを感じる旅の序盤でした。

LCC(格安航空会社)とFSC(フルサービスキャリア)

 海外旅行をする時にまず予約するのは飛行機のチケットで、そこが海外旅行最大の支出になります。つまりいかにここを安く抑えられるかがコストダウンの勝負所なのです。その方法は色々あるわけですが、そのうちの一つ「LCCを使う」という選択肢の問題点を直面する機会がありました。

まずLCCとFSCはサービスと価格の面で以下の違いがあります。
サービス:FSCは預け荷物、座席指定、機内食、ブランケットなどが無料です。一方でLCCはこれらをオプションとして購入する事が一般的です。
価格:LCCはFSCに比べて料金の変動が大きい事が多いです。またLCCは格安キャンペーンを定期的に実施しますがFSCは価格が一定しています。

このような違いは確かに気になるかもしれませんが、値段の安さは財布事情との兼ね合いもありますしそれさえ納得できればサービスの多少の無さは我慢すればいいのです。しかしLCCは欠航した時に対応してくれないという大きな欠点があります。飛行機(特に日本の航空会社)は遅延・欠航が少ない事で知られていますが、それでもトラブルに遭遇する可能性はあります。
↓↓↓私がマレーシア航空の欠航に巻き込まれた時のyoutubeです↓↓↓

この動画で欠航トラブルに巻き込まれたマレーシア航空はその対応に大いに問題がありますが、れっきとしたFSCですので代替便やホテル、さらには想定外の移動費や食費などの補償もしっかりありました。しかしLCCは基本的に返金対応のみとなります。国内旅行ならば飛行機がダメでも新幹線や高速バスなどの移動手段がありますが、海外旅行の場合は他の手段が島国には一切ありません。しかし旅程は動かせないのですぐに別の飛行機を予約するしかありませんし、フライト直前に空席があるかは運次第です。

 今回の韓国旅行では知人と現地で合流する予定がありました。私は2/21の早朝入り、知人は2/22の昼入りでそこから夜ご飯まで少し一緒に観光するという算段でした。しかし2/21の夜はソウルは警報が発令されるほどの大雪になり、私は初めての国で避難勧告(=ホテルに帰還)を受けたのです。そして次の日は街中で雪がどっさり積もっており、たくさんの日本→ソウル便が欠航となりました。その中で知人はLCCに搭乗予定でしたので前述の通り、返金対応のみで代替便を自分で探すという事になったと聞きました。そして新たに予約した便も大幅に遅延して結局韓国に到着・合流してマッコリを飲みながら落ち着いて一連のトラブルの愚痴を聞けたのは2/23の夜でした。

翻訳したら「外に出てないと早く家に戻れ。事故るから車を使うな。」と書いてありました。

ゲストハウスとロッテホテル

 海外旅行で飛行機のチケットの次に大きな支出になるのは宿泊代です。ソウルのホテル相場は東京とほとんど同じ値段ですのでおよそ¥10,000/泊が一般的です。東京のホテルは高級ホテルは多様にありますが、それ以外は同じエリアにあるホテルは大体同じで価格の""底""があります。一方でソウルのホテルは低価格帯も候補がたくさんあるという特徴があります。今回の旅行はひとり旅で、一緒に泊まる人の意見を伺う必要もないので、以下の条件で一番安い宿を探しました。
・繁華街(明洞・弘大・梨泰院など)にアクセスが良い
・メインストリート・駅から近い
・個室が確保できる(ドミトリーではない)

というわけで見つけたのが龍山エリアにあるゲストハウス・Korstay Guesthouse Seoul Station、4泊5日で2000元でした。なんで韓国なのに支払いが中国元なんだ???という疑問は今も解決しておりませんが日本円換算で約¥4,000/泊でしたので文句は言えません。しかし大雪でマイナス3℃というとても寒い韓国旅行初日の夜は、簡素で最低限しかないゲストハウスで凌ぐには厳しいものがありました。ベッドや窓などは問題なかったのですが、シャワーのお湯は出ずエアコンは故障していました。さらに人件費節約のためか助けるを求められる常駐スタッフはいません。暖を取るならこれを使えと言わんばかりに置かれていたのは部屋を暖かくするには明らかに火力不足な電気ストーブ1個でした。

電化製品屋で一番安いやつを買ってきた雰囲気しかない電気ストーブ

これがロッテホテルだったらすぐに別の部屋を用意してくれるだろうなぁとその時思いました。ロッテホテルは一泊¥30,000以上のソウル屈指の高級ホテルで、そもそもエアコンが壊れてシャワーのお湯が出ない状態に気づかないという失態自体も無いでしょう。しかし私は勿論ロッテホテルに泊まれる余裕はありませんので、この価格でも電気ストーブを用意してくれる事に感謝して部屋の隅に体を寄せる事しかできません。お金をしっかり払えばトラブルがあった時にすぐに対応してくれる、これがYou get what you pay forという事なのです。

東大門市場とヤンニョムチキン

 そして旅行4日目には韓国旅行の目的の一つでもあった「東大門市場で安い服を買う」にチャレンジしました。あらゆるモノが売っているのが特徴のソウルの市場でも最大規模を誇るのが東大門市場です。ここは服に関連した店が多くダウンジャケットからスニーカーまでが道沿いに所狭しと並んでいます。さらにここはお店の人が日本語で堂々と「偽物あるよ~」と観光客に声をかけるほどコピー商品が多い市場としても知られています。ちなみにコピー商品を日本国内に持ち込む行為は違法ですので、私は質はそこそこ良いのに異常に安いと評判の白Tシャツや靴下などを買うつもりでした。しかし高かろう良かろう、安かろう悪かろうというフレーズが頭に染み込んだ私は質が良いのに安いという怪しい商品なんぞ信用できないという旅が始まる前と真逆の思考に至っていたのです。

東大門の近くにある巨大市場。この中にも周辺にも露店はいっぱいあります。

 結果的に東大門でここでは何も買わずに友人おすすめのヤンニョムチキンを食べて私は次の目的地に移動しました。当初の計画では東大門市場で良さげな服を買うために丸一日を割くほどショッピングに期待していました。しかし知人の欠航トラブルと自身も過去に経験した欠航について極寒の宿の小さい電気ストーブの前で一人で振り返る時間は「安物は買わない」という結論に至るには十分でした。そして私のケチ気味の金銭感覚も変わっていきました。欲しいものは納得できる価格のモノが出てくるまで我慢する(そしていつの間にか物欲は消えて結局買わない)タイプだった私がお金を払わない事で価値を得られないリスクに恐怖するという今までにない考え方に芽生えたのです。これは欠航などのトラブルに巻き込まれる危険性の回避・保険という意味だけではなく、自分が本当にやりたかった経験やずっと気になっていたグルメをその値段のみを見て諦めるという愚行に走らなくなったという意味でもあります。
 ひとり旅は一緒に喋る相手がいないので基本的に無言で観光します。つまり絶景も歴史遺産もグルメもその感想を即座に口に出して共有する相手がいません。国内ひとり旅は何度もしてきましたが、海外になると共有したくなる情報が一人で抱えられなくなり、いつもあんまり更新しないインスタのストーリーも上のバーが細切れになります。ちなみに韓国では食事はみんなで共有する時間という考えがあり、一人でレストランに入る事はあまりしません。つまりひとり旅の人間自体が異質な上に、つい「うまっ」と口から感動がこぼれようものならお店の人に警戒されます。そんな事を思いながら入ったヤンニョムチキン屋も若者がシェアする料理の代表格で、メニューも最低12個入り・約¥2,100です。みんなで分けるなら安いかもしれないけどさ…..一人で食べるには多すぎるし高すぎるだろ!!!と心の中で怒りつつ甘辛く癖になるソースに敗北した私は無言でチキンに齧りつきました。

BHCチキンというお店が一番日本人の好みに合っていて美味しい。という評価でした。


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