男性/性嫌悪の話

人間が気持ち悪く思えてならない時がある。
特に男性が。

肌の質感、指の爪の形、髪の生えた頭皮、汗や香水の匂い、生え放題なすね毛、伸びてきた髭、1日着たスーツ、笑うと見える歯、生温い手、私に向けられる声、欲。

気味が悪くて吐き気がする。
女性相手なら中々こうはならない。
私の周りの女性はいい匂いがするし、手は柔らかいしすべすべで、話す声は優しいし、大概私に性欲を向けないからだ。

そもそも男性が怖いのかもしれない。
よっぽど華奢でない限り私より力が強いし、声は低いし、背は高い。
いざと言う時わたしはこの人に勝てない、と思うと、恐ろしくなったりする。
この人に腕や髪を掴まれて殴られて蹴られても私はどうにもできない、と。
滅多なことではそんな事態にはならないと分かってはいても。

以下、男性についてあけすけな言い方をするので注意してください。気分を害されたらすみません。


私に興味を持つ男性は、当たり前だけれどシスヘテロで、大方性行為を望んでいる。
私にはそれが酷く苦痛で、もう本当にこの世から性行為なんてものが無くなればいいとずっと思っている。
人間が持ちうる欲求の中で性欲が一番気味が悪い。
そんなものを私に向けるのはやめてほしいと常に思う。
そしてそれを持っている人自体がとても気持ち悪くて、たぶん十代前半の頃から長いこと嫌悪している。
なんだか理性のない動物のように思えて嫌なのだ。
例え愛情の上に成り立っているものだと言われても鳥肌が立って仕方ない。
その愛情を確かめる術などありはしないのに、と思う。

第一、好きな相手に対してしかそういう気持ちにならない、という人(名称があったが忘れてしまった)なんてほぼいないと言うし、私は男性の「好き」を信用していない。
もう本当に、うんざりするくらい信じていない。
「好き」という言葉で誤魔化して私を蔑ろにする人たちに散々自尊心を踏み潰されて来た。
元々あるかないか分からないような自尊心が、それこそぺちゃんこになって、今はもう踏み潰されるのに慣れてしまった。
私だけは私を大切にしてあげれば良かったと、今になって少しだけ思うこともある。
思ってもどうしようもないが。

出会った男性が合わなかっただけ、と言えばそうなのかもしれないけれど、とにかく私は私を女として見てくる男性が嫌いなのだ。嫌いになったのだ。
ベタベタと触れて、粘度の高いねばついた目で見てくるのが我慢ならない。
許されたなら私は彼らを一人ずつ丁寧に殴りたかった。
男性側はそんなつもりがなくても、私は怖かったのだ。
強く抵抗してもし逆上でもされたら、私は死ぬかもしれなかった。
そういうことを、たぶん彼らは一生知らないのだろう。
苦しくて堪らない。

私は彼らの所有物や道具にはなりたくなかった。
トロフィーにもなりたくなかった。
男性の隣にいると、私はいつも物になった心地がする。
だから私は一人が好きだし友達も女友達しかいない。
恋愛も結婚も出産も絶対にしたくないと、最近は思う。

思春期の内に色々と拗らせてしまったとは感じるけれど、男性嫌悪も性嫌悪も別に厭ってはいないのでこれからも付き合っていこうと思っている。
これもひとつの個性のようなつもりで。

重ね重ね、気分を害された方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。

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