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アンドロイド転生179

リペア室

キリが腕を組んで4人を見渡した。
「タケル、ルーク、チアキ、それと…エリカ。行ってきて。エリカは先輩達の動きをよく勉強してね」
「うん」

彼らは上下黒塗りのパンツスーツに装備を腰に撒き、黒いブーツ、黒い帽子を被っていた。目指すところは東京都内の一戸建て。邸宅へ忍び込み、絵画数点とダイヤモンドを盗み出す算段だ。

目的地に深夜に到着するように計算してホームを出発した。まずは下山して麓に到着すると車輌保管小屋へ行く。倉庫の中には車2台と大型バイクが2台がある。車に乗って行く。

車の前方にタケルが座り頸のソケットにケーブルを挿すとエンジンがかった。これでAIドライバーをコントロールする事が出来る。それぞれが席に着くと、車は静かに発進した。

山間の道路から一般道へ。そして高速道路に乗る。道路には多くの車が行き交っていた。同じスピードで車列に並び進む。都内に到着し高速から降りると目的地に向けて走らせた。

目的地の少し手前で車を降りた。走って屋敷を目指した。邸宅は広い敷地の周りを高い塀が囲みあちこちに監視センサーがあった。平和な日本では大変珍しいことだ。

それだけ厳重にしなくてはならない理由があるのだろう。塀の前でしゃがみ込む。タケルがリーダーだ。何があっても彼の指示に従って行動すること。4人は軽々と塀を飛び越えた。

全員がしなやかに地面に着地する。まるで黒豹だ。エリカは期待に胸が躍った。邸内には3体の警備アンドロイドとドーベルマンがいた。犬もアンドロイドだった。警備員は屈強タイプ。

こんなタイプは楽勝だ。力技は持ってこいだが、動きが鈍いのだ。タケル達の身軽さが武器だ。エリカとタケルがペアになった。タケルが警備員の膝裏を横滑りしながら蹴った。

エリカは曲がった膝に脚を乗せて肩まで登った。首周りに両足を掛ける。振り回されて落ちそうになるのを堪え、口に咥えたケーブルを警備員の頸に挿した。あっという間の出来事だ。

ケーブルの反対側のソケットには小型のバッテリー。バッテリー内部は電池を繋ぎ合わせたものだ。そこで高電圧をかけた。警備員は内部回路が焼けて崩れ落ちた。エリカは喜びを覚えた。

チアキがアンドロイド犬のドーベルマンと格闘していた。今にも彼女の首に噛みつきそうな勢いだ。タケルがドーベルマンを剥がそうとするが荒れ狂った犬はチアキとタケルの両方に牙を剥いた。

「タケルどけ!」
ルークが声を上げる。体の大きなルークが犬の上に追い被さった。犬の首に腕を回しギリギリと締め付ける。犬が息を荒げ、痙攣を起こして力を失った。4人は残りの警備員を倒し屋敷内に侵入した。

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