【気づき】Vol.0907(2011年1月6日発行のブログより)
KAGEROU。
幼稚園の頃から大好きで⽔槽に大量飼育していたアリジゴク。
通っていた小学校のすぐ傍に木曽川があって、
川沿いに広大な砂場が広がっており、⼀帯がアリジゴクの宝庫だった。
穴からつまみ出しても、お尻からガサゴソと⼀瞬にして穴を掘っていく姿が神秘的で好きだった。
アリジゴクが大人になるとウスバカゲロウになる。
ウスバカゲロウは数時間から2週間ほどの儚い命だと言われる。
蝉もそうだけど、別に儚くはないんだね。
蝉にとっては地中にいる数年間こそが人生であって、
成虫として生きているのは人生の⼀部に過ぎないんだ。
ウスバカゲロウも儚い命だなんて、
余計なお世話であって本人たちはそれで幸せだと思う。
瞬く間にミリオンセラーになった、ポプラ社小説⼤賞を受賞の、
・・・1冊の本として本当に面白かった。
僕にとっては何賞を受賞したとか、タレントだとかまったく意味がない。
ほとんど娯楽番組を観ないから、
この本に出逢うまで著者の顔と名前が⼀致しなかった。
信じられないかもしれないけど、本当のことだから仕方がないよね。
昨年末のことだけど、骨董通りのスタバのレジ横の特別シングル席で、
とりあえず100ページまで読んで、
その後自分の書斎で残り136ページを⼀気に読んだ。
テンポよく読めるようにしてあるのも僕好みだ。
初版が12⽉15⽇で、僕が購⼊したのは3⽇後の18⽇で
すでに5刷となっている。
それはともかく、最後のオチも好きだ。
ロマンがあるね。
これは映画にしたら絶対面白い。
キョウヤ役は⽔嶋ヒロさん本⼈で、茜ちゃん役は綾瀬はるかさんかな。
主人公のヤスオは吉岡秀隆さんをイメージしながら読んだ。
今さらながら著者の齋藤智裕さんは、 1984年⽣まれの26歳。
予備知識は何もないけれど、
壮絶な幼少時代を送っていたであろうことは間違いない。
孤独でなくてはあの文章は書けないからだ。
だから、これから先もじゃんじゃん小説を書いて欲しい。
僕の大学の先輩で、ミステリー小説で有名な伊坂幸太郎さんがいる。
が特に好きなんだけれども、伊坂さんの小説には必ずといっていいほど、
全知全能の完全無欠人間が登場する。
容姿端麗、頭脳明晰で冷静に対応していくような人物。
たぶん伊坂さんの中では、
そうした人物を登場させる必然性があるのだと思う。
今回のKAGEROUを読みながら、なぜか伊坂作品のいくつかを彷彿させた。
購⼊した⻘⼭ビブロで、
『⽂藝別冊 伊坂幸太郎』が隣に陳列されていたせいかもしれないケド。
追伸.
表紙が素敵だと内容も面白い。
面白い本の条件に1つ追加しなくてはならなくなった。
最近でいうと、村上春樹さんのインタビュー集、
『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』(⽂藝春秋)の表紙、
長谷川潔さんの「⽇蝕」がピカイチだった。
表紙も内容の⼀部なんだって改めて気づいた。
...千田琢哉(2011年1月6日発行の次代創造館ブログより)
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