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樅ノ木は植物園に残った

以前から伺いたいと思っていながら、コロナなどで頓挫していた東北大学植物園Herbarium Tohoku University Sendaiensis; TUS)を訪れました。牧雅之園長に見どころを丁寧にご案内いただきました。

東北大学植物園は約52万㎡の広さがあり、仙台城址背後の御裏林(おうらばやし)には樹齢400年ものスギやモミの樹々が多数残っています。この林全体が特別天然記念物となっており、敷地内に特別天然記念物があるという大学は珍しいものです。

現在、植物園はイノシシ出没(!)という状況から一般の方の受け入れができない状況にあるのですが、その一部を拝見させていただきました。

左の2つの画像は落雷の後に御裏林に残ったモミの木。真ん中はとても大きなサルノコシカケにズームアップ。右は牧園長が「蒙古の碑」をご説明いただいているところ。

今回、ぜひにも伺いたいと思った一つのきっかけは、植物園が行っているクラウドファンディングでした。なんと、植物標本の保管の費用が枯渇しているということで、すでに多数の方々のご支援が……。

標本庫は「津田記念館 Herbarium Tsudanum」の2階にありました。津田様は東北大学理学部に学び、焼け出されて卒業は叶わなかったものの、その後、事業で成功され多額の寄付をされた方。約10万点の植物標本がまだ未整理の状態とのことです。

こちらの画像は上記クラウドファンディングのサイトから借用

牧野富太郎博士の残された標本なども多数あります。標本は互いに交換などをするとのこと(カードの交換のようですね……)。

美しく保存されている植物標本。デジタルだけではわからない質感や立体感などがリアル。真ん中は牧野富太郎作成の標本。右側は牧野の妻さえに由来する「サエコササ」の標本。
現在の標本作製は、乾燥+圧縮の工程の後、ディープフリーザーに入れることによって害虫等を死滅させる工程を経るという。右は新種の植物「アブクマトラノオ」が発見された当時の朝日新聞記事。存じ上げている記者さんのお名前を発見してびっくり! 左の「TYPUS」の赤い判子が押されたものは「タイプ標本」と言われ、当該植物の特徴をもっとも表す標準的な標本として極めて重要なもの。「TUS」という3つのイニシャルで東北大学植物園を表すというのは、空港の名前のようでカッコいい。

津田記念館の中には、牧野富太郎の若い頃の写真とともに、植物採集に用いられた「胴乱」も。

津田記念館にはNHK連続テレビ小説「らんまん」の関連で何度も資料供与に出された牧野富太郎の胴乱もありました!

展示スペースもゆったりとしています。青葉山の植生等に加えて、珍しいのは「冬虫夏草標本コレクション」です。とくに、オオクワガタに寄生する冬虫夏草の標本はここにしかないとのこと。

圧巻の冬虫夏草コレクション! 右側がオオクワガタに寄生する冬虫夏草の標本です。

クラウドファンディングで一定の寄付をいただいた方々を対象に、これらの標本等を見ていただくことも企画されているそうです。あと2週間弱の期間となりますが、ぜひ、ご支援宜しくお願い致します!

さて、その同じタイミングで実はただいま、東北大学附属図書館では「伊達騒動」の特別展を開催しています♫

歌舞伎の題材や、『樅ノ木は残った』で有名な伊達家のお家騒動に関して、多数の古文書等を展示しています。ちなみに、モミの木は、この地方に多い樹木であったことを、植物園で再確認でした。

多数の古文書等の資料が展示されています。
和書や浮世絵資料の保存状態も良く見応えがありますね。

合わせて附属図書館へもご支援いただければ幸いです♫ 今後も各種展示やデジタルアーカイブ等を充実させていきたいと思います。


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