見出し画像

第40-42回猿橋賞授賞講演会にて

故気象学者の猿橋勝子先生によって創設された猿橋賞、今年、第42回の受賞者は、東京工業大学教授(東北大学契約教授)の関口仁子(せきぐちきみこ)先生が受賞となり、本日、学士会館にて授賞式が行われました。

関口先生は、第3回東北大学優秀女性研究者賞(紫千代萩賞)の受賞者です♬ 本学の顕彰がさらに大きな猿橋賞に繋がったのであれば何より。

ちょうど第40回および第41回はコロナ禍で受賞講演会が開催されなかったため、合わせて3年分の講演会も行われました。

実は、この3名ともに東北大学に縁があります。関口先生は、ついこの間まで東北大学の准教授(現在も大学院生の指導に当たられています)、市川先生は、受賞時点で京都大学でしたが、現在が東北大学大学院理学研究科教授、田中先生は宮城県出身で、大学院時代が東北大学。さらに言えば、第39回の受賞は東北大学金属材料研究所の梅津理恵先生、その前には現在、東北大学理事となられている小谷元子先生も受賞者でした。

左より、「女性科学者に明るい未来をの会」会長の石田瑞穂先生、東北大学縁の受賞者、小谷先生、市川先生、関口先生、田中先生の記念写真です。

今回、関口先生の原子核物理学と、市川先生の素粒子学を続けて伺えたのは理解の助けになりました。お2人とも理論ではなく実験物理学なので、打ち立てた理論をどのように厳密に証明するのかについての努力や執念のお話も興味深いものでした。
田中先生のご研究領域である発生生物学に近いということもあり、受賞講演の座長のお役目を仰せつかりました。冒頭のご紹介では、大学時代に団まりな先生、ポスドク時代にSherill Tickle先生という、素晴らしい女性科学者の薫陶を受けられたことなどもお話しました。
ご講演は、魚のヒレから陸上に上がった動物の手足の形態になるのに、どのような発生プログラムの進化があったのか、水かきの部分の細胞死が、実は酸素の影響によるものだったのか、など、着想の面白さも素晴らしいものでした。生物学は生命科学の時代になりましたが、今のところは一人の科学者が仮設を自分で立てて、本人と数名の共同研究者がそれを証明していく………という段階なので、物理学のように理論と実験が分かれていくのは、まだ100年くらい先なのかもしれません。
3名の皆さん、いずれもパワフルな講演をされ、心強く思いました。これからさらに後進の育成に務めていただければと思います。改めまして、おめでとうございました!

歴代受賞者の方々の集合写真。対面の受賞講演会だったので、多数の先生方に久しぶりにお目にかかれ何よりでした。前列左より相馬先生、市川先生、関口先生、石田先生、田中先生、真行寺先生、後列一番左は存じ上げず、その隣より、母、中西先生、小谷先生、石井先生、川合先生、持田先生、長原先生。
関口先生のお祝いに駆けつけた学生さんや原子核研究関係の方々。大人数で実験を行う実験物理系の皆さん、結束が固いですね♬


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?