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『ガウディとサグラダ・ファミリア展』を観に行って来ました!

夏休みに入るとさらに混むだろうし、自分自身も来週から仕事がしばらくの間立て込んでくるので「金曜日17:00以降が空いている」というネット情報を信じて『ガウディとサグラダ・ファミリア展』を観に行って来ました。

事前にネットでチケットを購入しておいたので、すんなり入場できました。650円かかりましたが「音声ガイド」があるとやっぱり細かいところまで分かりやすかったですね。城田優の声が耳に心地よすぎました(笑)。

ガウディがヴィオレ=ル=デュクという建築家に影響を受け、スペインが約800年もの間「イスラム教」と「キリスト教」の共生する時代があったということから、イスラム建築に色濃く影響を受けていたという点が興味深かったですね。

「ガウディのオリエンタリズムはナショナリズムでもあったという側面も忘れてはならず、ガウディ建築がスペインだからこそ生まれ得たという例証の一つにもなり得るだろう」

「サグラダ・ファミリア展」図録より

この図録の言葉に、だからこそ納得でした。

一番印象に残ったのは、ガウディが「パラボラ(放物線)アーチ」=「釣り合いの取れたアーチ」にこだわっていて、自らの「釣り合いの法則」を見つけ出すために「逆さ吊り実験」を繰り返し行って理想の形状にたどり着いていたということでした。

これはガウディの挑戦であり、彼の建築物のトレードマークになったわけです。「サグラダ・ファミリア」にもその形状が見事に活かされているのかと思うと、あの独特のフォルムがますます魅力的に思えてきたりしました。

また「粉砕タイル」の破片で被覆する手法もガウディの発見であり、これが「サグラダ・ファミリア」の中でも一番私自身が好きな場所、色鮮やかな「鐘塔頂華」で使われているというのが感動でした。

「サグラダ・ファミリア」の鐘塔頂華の映像より

ヴェネチアの工房に金と赤のガラスタイルを発注したらしいのですが、頂華1本のお値段が年間の献金総額くらいかかったらしいです。これこそガウディのこだわりの強さであり、完成までにこんなに永い年月を要している理由の一つなんでしょう。

「サグラダ・ファミリア」の完成予定図とその模型をしみじみ眺めていたら、最初はたった一枚のスケッチから始まったのかと思うと、この建築物はまさに「奇跡」の連続の賜物なのだと感じました。

「サグラダ・ファミリア」完成予定図
「サグラダ・ファミリア」模型

この建築にガウディをはじめ一体どれだけの人が関わり、費用と年月がかかり…血と汗と涙の集大成であることは間違いなく、ガウディの「魂そのもの」ですよね。だからこそ、ガウディが亡くなってからちょうど100年の2026年に本当に完成するならば、それは「必然と言える奇跡」なのかもしれません。

ガウディが「サグラダ・ファミリア」の二代目建築家に就任した翌年、四旬節の伝統に従って断食に入り。その断食を解こうとしないで衰弱していくガウディにピック司教トーラス神父がこんな言葉を言ったそうです。

人生ははかなく、すぐに去ってしまうものだ。だから、人間は自らの意思でなく、神の意思によって命をたたなければならない。特にあなたの場合、そうしなければならない理由がある。
この聖堂は、神の望みにより、またキリスト教徒たちを精神的に養う目的で着工されたものであり、あなたは、この聖堂を完成させるという現世での使命を受けているからだ。

「サグラダ・ファミリア展」図録より

神様が聖堂の完成をガウディに託した…「神の建築家」としてのガウディの新たな出発点になった出来事だったそうです。その使命を背負い続けたガウディの人生が幸せなものであったのか否かは分かりません。でも、少なくとも「サグラダ・ファミリア」完成に全人生を捧げた「神の建築家」としての役割は十分全うしたのではないかと感じます。

ガウディの最期が”不慮の事故死”だったとは知らなかったので驚きました。晩年孤独だったガウディは、身なりにも気を遣わなくなっていて事故後に発見された時はホームレスだと思われ、ガウディだと誰も気づかなかったそうです。

「サグラダ・ファミリア」で執り行われた葬儀にはバルセロナの市民が多数参列し、大聖堂の聖母カルメン礼拝堂の地下に埋葬されたそうです。そこから「サグラダ・ファミリア」の完成を今も静かに見守っているんでしょうね。

先日noteに書いてから、久しぶりに卒業旅行のアルバムを引っ張り出してみました。今のように便利なデジカメではなくフィルムだったので、一つの場所でたくさん写真を撮ったわけでもなく色も褪せてしまっていますが「サグラダ・ファミリア」を撮影したその中からの何枚かの写真です。

卒業旅行の時の写真たち

右上の写真に何となく人が写っているの見えますか?これが実際に作業をしていた人です。この一つ一つの小さな力が、こんなにも壮大な建物を作り上げてきたんですよね。人間の力も偉大です!

私のように建築物に対して素人でも、勉強になったり感じることも多々あった「サグラダ・ファミリア展」。この「奇跡の建物」の全貌を知ることができるという意味でも一見の価値ありだと思います。この夏ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか?

【追加情報】
ネット情報通り金曜日17:00以降は比較的空いていました。めちゃ混みだともっと所用時間かかるかもしれませんが、1時間ちょっとあれば十分ゆっくり全部見られると思います。グッズが思った以上にたくさん売っていて、あれこれ欲しくなって目移りしちゃいました(笑)。ちなみに図録は3,300円でしたが、内容は充実していると思います。

長い文章、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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