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政治とカネの影響明らかに―2023年衆議院補欠選挙で見る投票率と野党の勝因

昨日行われた衆議院補欠選挙は、全3選挙区で自民党が1議席も取れずに終わった衝撃の結果となりました。そこで、久しぶりにnoteを書きます。自民党が直面する「政治とカネ」の問題が影を落とす中、立憲民主党が大きな勝利を収めたことが注目されています。今回の記事では、投票率の低下が自民党支持者の投票行動にどのように影響したのかをデータとグラフを交えて詳細に分析します。さらに、この結果が今後の総選挙にどのような影響を与えるのか、将来の政治情勢を予測しつつ、深掘りしていきます。

昨日の衆議院補欠選挙分析:野党の圧勝と自民党の苦戦

東京15区

東京15区は、自民党の柿沢未途氏の逮捕・辞職による補欠選挙。その前から、自民党の秋元司氏のカジノ利権での逮捕・有罪判決、木村弥生前区長の公選法違反での立件、元・区議会議長の汚職事件など政治的な荒廃状態。

そうした情勢で自民党が候補者を擁立できるわけもなく、小池百合子・都知事が擁立した乙武洋匡候補にのるかとみられたものの、乙武候補が反自民候補を応援していた過去への反発もあって結局は不戦敗。

荒廃した政治情勢を反映して、9人の候補者が乱立。

野党連合というまとまった支持基盤のある酒井菜摘候補が圧勝。

9人の候補者が乱立する中で、誰が当選するかよりも、次期総選挙に向けて得票順位に注目があつまりました。

2位につけたのは、須藤元気候補。元・立憲の参議院議員ですが、地元出身の格闘家として高い知名度がありました。無所属だからこそ政党にこだわらない層の期待も集めて、17%を超える票を得ました。
野党第一党を目指した維新・金澤候補は3位。「維新」色が強すぎて、広がりを欠く結果。
須藤氏は、地元江東区で政治活動を継続するとしても無所属で小選挙区を勝ち得るとも思いませんので、今回掲げた消費税減税を許容する国政政党との連携も視野に入れることでしょうか。

ベンチャー国政政党をめぐる争い

参政党、N国と最近国政政党に参入した「ベンチャー国政政党」の現時点の勢いを測る選挙ともなりました。
参政党、N国ともに浮沈が激しい局面。参政党は前回参院選で議席確保したものの、内部の混乱で分裂気味。それでも今回、5%の得票率を確保。
N国は完全に分裂して、国政政党の権利は大津綾香党首にあって、立花氏ののN国は諸派。候補者は選挙区でなくてエベレストで活動というガーシーばりの選挙でしたが得票率は1%を切る完全な泡沫。
選挙妨害で話題を集めた「つばさの党」はその下でした。

注目も票も集めたのは、「日本保守党」飯山候補。維新に迫る14%を獲得。

https://twitter.com/okatakashi_oota/status/1784557905175572813

NHKの出口調査では、5番手でしたが、4位に入る健闘を見せました。

次期総選挙でも比例区で確実に議席を確保して、国政政党に参入してきそうです。河村たかし・名古屋市長も共同代表を務めているので、名古屋では小選挙区の議席獲得もあるのでしょうか。

長崎3区

前職・谷川弥一氏が裏金4,000万円超を受け取っていたことを認め、辞職。選挙区も統廃合で消滅することから、自民党は後継を立てられず、不戦敗。

立民 vs 維新の一騎打ちとなった珍しい選挙区。
山田勝彦候補はいわゆる2世議員で、前回も次点で比例復活していたくらい知名度も実績もある候補者であったこともあり、ダブルスコアの結果。

投票率は、前回総選挙の60.9%から35.5%に大幅ダウン。自民党支持者は投票に行かなかったようです。

島根1区

細田博之・前衆議院議長の死去に伴う補欠選挙。
不祥事補選ではないけど、旧安倍派(細田派)の裏金問題、統一教会問題の影響が直撃して、自民党には大逆風。
対抗馬の亀井亜紀子候補は津和野藩藩主の家柄で亀井久興氏を父にもつ世襲候補と、保守層の受け皿にもなりそう。

結果、大きく差をつけて、亀井亜紀子候補が当選。

NHKの出口調査でも、自民党支持層の3割程度が亀井候補に投票と保守層に食い込んでの大勝。

投票率は、前回総選挙の61.2%からダウンしたものの、3補選では最も高い54.6%

与野党対決になったので、投票に行く人はおおむね投票に行った結果。
とはいえ、投票に行った自民党・公明党支持者も野党候補に投票してしまいました。

「政治地図の再編」:衆議院補欠選挙の示唆する政党動向と将来像

島根1区で示されたように、自民党・公明党支持層も投票に行っても、一部は野党候補に投票してしまう。野党候補に一定の知名度がある場合は、ほとんどの小選挙区で野党が議席確保してしまうでしょう。

長崎3区で示されたのは、野党第一党は立憲民主党であって、政権批判票の受け皿になります。多くの大衆の期待の受け皿になるべく、政策や理念を洗練させてほしいと思います。結果、多くの議席を確保して、政権交代の可能性もはらみます。

「ベンチャー国政政党」の枠は、日本保守党ひとり勝ちとなりました。とはいえ、候補者を大量擁立するとトンデモナイ候補者が出て一気に崩壊することもあるでしょう。実績ある現職議員も巻き込んでの成長に期待します。

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