手描き桃鉄

 どうも、戦犯アットです。テストがギリギリ赤点になりそうなのでこれを書くことにしました。

 さて、私の記事を読んでくださったり、ポストを見てくださる暇人諸兄らにおかれましてはすでにご存じかと思いますが、私桃太郎電鉄が大好きです。しかしいくら好きだからと言って学校や、公共施設にまで持ち込むことはできません。実際にいつか試そうとしたことがありましたが、なかなかに教師の徘徊頻度が高く、しかも教卓はクラスのすべてを監視できる絶対的な王座です。そこを崩す力も知能もなかった当時としては、諦めるしかありませんでした。

 家に帰って桃鉄をしながら、当時の私は真剣に考えました。DSなんて異質なものを開いていてはバレてしまう・・・。そのとき、脳に電流が走りました。そうか、異質じゃないものを使えばいいんだ。異質じゃなくて、自由にカスタマイズできるもの。

 ノートだ!!

 この時の私の高揚は、さながら未知の物質を見つけた科学者のように絶頂に達していました。自身の発想に震えてしまいました。

 さてノートです。最初は無地のノートを使っていました。無地なら自由に使えますからね。

 しかしこれは失敗でした。目安となるマスがないのです。最初は思い切りずれてしまいました。まだ釜石しか書いていないのにすでに半分埋まっています。こんどは収まりました。しかし、すでに下田をかいたはずが、まだ半分過ぎたくらいでマスがろくに見えません。

 なんとか試行錯誤を繰り返した結果、ついに完成しました。さあ遊ぼう。すでにこのころは小2も終わりに差し掛かり、ぬたのまずさに辟易していたころでした。楽しく遊んでいたのですが、ある問題に気が付きました。どこに置いていたのかわからねえ。汽車のようなものがないので、どこにいたのかわからないのです。どうにかしないとなぁ。小2の春休みは、そんなことばかり考えていました。当時はサイコロを5つしか持っていなかったので、さくまとプレイしたと想定した場合、サイコロの数が足りないという問題も発生していました。どうしようもなくなって、押入れを漁っていたところレゴブロックを見つけました。これだ!私は直感的にそう思いました。レゴブロックで遊んだことのある諸兄らはわかると思いますが、小さい一マスブロックと、その二倍ある長方形ブロック。これを組み合わせて汽車だと言い張ることにしました。サイコロに関しては、とりあえず妥協することに決めました。

 さあ思い切り遊ぼう。そう思って3年生に進級しました。社会の教科書が配られたとき、指を切ってしまったので印刷所を恨みつつ、ノートを展開しました。

 プレイした感想ですが、それはもう楽しい楽しい。当時は見つけばかりのゆっくり実況と同じくらい、手描き桃鉄のことばかり考えていました。しかし物足りなさを感じてしまいました。マップに変化がないのです。

 諸兄らはご存じだと思いますが、独占していけば駅や看板が色づきますし、新しい駅やカード売り場も追加されます。しかしこの桃鉄にはそれがない。私は悩みました。悩んだ末に、こんな結論を出しました。

 原本を作ってそれをコピーすれば無限に遊べるな。

 さっそく行動に移します。宿題で使うから、といいプリンターを用意させました。インクのカートリッジに二、三万飛んだといっていましたが、そんなの知ったことではありません。使えるものはすべて使っていく主義なのです。ついでにサイコロも買ってもらいました。

 さて、とりあえず5枚用意しました。100年プレイするのにいつも26時間くらいかかっているので45×6=270分。だいたい一週間はもつだろう、という結論に至ります。早速プレイすることにします。ある程度の大きさをとっておいたので、マス目のいい感じです。しかし、物件駅にいくつか色を塗ったところで気が付きました。

 独占していない駅ってどうすればいいんだ・・・?

 諸兄らはご存じでしょうが、独占していない駅というのはそのままの色になります。青赤黄緑色々と鮮やかに飾り付けられている駅ですが、マップ上で見れば未開拓の駅と色が変わりません。
 
 当時の私は悩みました。理科の授業よりも悩みました。当時すでに理科に苦手意識を持っていて、地元岡山大学の文系学部の倍率を調べていましたが、それよりも解決すべき重要事項が現れたのです。
 
 当時の私にとっては南海トラフと同じくらい大変な問題でした。そんな30年以内に30%の確率で発生しない問題よりも、100%発生している問題に対処しろよと脳内では言いますが、いいアイデアが浮かびません。だってマップには何もできない・・・マップには。そうです、マップには何もできません。ではどうしよう。答えは単純です。全ての物件データを手書きすればいいのです。

 というわけで私は、家にあったノートを探って必死に物件名を書き続けました。親は私がついに勉強に目覚めたと勘違いして、大好物のカステラをよこしてきました。しかし実態は全く違うわけです。それでも『違うんだ母さん、俺はただ桃鉄が好きなだけで、授業中に桃鉄をできるように、いうなれば勉強しない努力をしているんだ。だからその目は無駄なんだよ』とは口が裂けても言えません。親も冷静になったのかあ、違うわとなったそうです。どうせ賢者タイムにでも入ったのでしょう。

  さて、こうして物件データリストを作ったわけですが、そうなるとカード売り場のデータも作りたくなります。というわけで書きます。書きます。とにかく書きます。士別、知床・・・指宿、赤嶺。総て書き上げました。周遊だけが無駄にきれいに書けるようになったことを覚えています。

 さて、2010を完成させた私ですが、ある問題が発生しました。それは桃鉄16を入手したことに起因します。桃鉄16と2010ではマップが全く違います。ではどうするのか。もちろん16も書き上げるに決まっています。2010より少なく済んだので、4年生になるころには完成していました。

 さあ完成したマップで遊ぼう。サイコロを一投。レゴブロックで作ったコマを進めていきます。それはもうとても楽しいものでしたよ。16のマップがいつでも遊べる。退屈な算数の時間も紙さえ広げれば、あっという間に楽しい桃鉄の時間に。

 しかし終わりはやってきます。小4の11月ごろ、異常にインクの減りがはやいと怪しんだ母が、私の異常行動はないかとと詰問してきました。私は無視していましたが、嫌疑は晴れませんでした。そして学校。サイコロをいつものように振った際、サイコロが落ちて行ってしまいました。授業を止めて犯人捜しです。私は勿論知らぬ顔をしていましたが、ここで出てくるのがあの田中です。田中はいらないことばかりする典型的なヒステリーで辟易する存在正義感が強い人でしたので、私の行為を悪だとみなして密告しました。私は教室にあった小さい穴にサイコロを捨てました。手荷物検査された際にも言い訳できるようにしたのです。そしてコピー用紙、こいつはゴミ箱に二重にくるんで捨てて隠蔽しました。昼休み、検閲がやってきました。私はランドセルをひっくり返して見せました。机の中も自由に見せてやります。もっとも当時から整頓は下手くそで、自分以外のだれにもどこに何があるのかわからないという状況でしたが。必死に当時の担任と田中は探します。なぜ田中も混じっているんだ、と思いましたが満足するようなのでそれでいいかと思いました。

 しかし探せど証拠の品は出てきません。このころの隠蔽技術はCIAに匹敵すると自負していましたね。田中の必死な形相は、忘れ物をしてしまった私を見ているようで非常に滑稽でしたね。
 
 田中はだんだんと苛立っていきます。プライドだけは一丁前にあるので、素直にごめんなさいということができません。謝ったほうがいいんじゃないか、ほら戦犯くんに一言すまなかったといえばいいじゃないか。どこからともなくそんな声すら聞こえます。しかしそれは田中の精神を逆なでするだけで、空気はどんどんと悪くなります。
 痺れを切らした田中は、ついに私の下に詰め寄りこう言います。どこに隠したんだ。私はもちろんそんなものはない、サイコロは誰かが持っているのだろう。と返しました。結局公には犯人は不明。今後はこのようなことがないようにと厳命が下り、田中に対してはざまみろ、という風潮が発生しました。勘違いしないでほしいのですが、田中は結構な頻度であることないことを騒ぎ立てて、自分の非を認めないというゲスの極みのような人間なので、ほぼ全員から嫌われいていました。なので私は自分に完全に非があるとは思えません。

 さて話を戻しまして手書き桃鉄の件です。すでに続行は、ほぼ不可能な状況に陥りました。どうしようかと思った結果、ある考えに至りました。脳内桃鉄です。
 
 脳内に自分の桃鉄情報を完全に再現し、汽車を進めます。年数まで完全に再現し、一日中そのことを考えていました。ときどきゲーム内と脳内の情報が混ざって、10年近いラグが生まれることもありました。 

 卒業式の日。すでに新型ヴォルデモート卿の影響を受け来賓を招かず短縮された素晴らしい式の最中にも、私の脳内ではさくまがぶっとびカードで、青森からグアムへぶっ飛んでいました。みなが涙ながらに写真を取っている最中に私の脳内では『どうせ同じ中学に行くのに泣く必要があるものか』という考えがよぎると同時に、西日本編の京都独占RTAのチャートを整理していました。
 
 そして私の妄想は止まりません。ついには存在しない地域の、存在しない桃鉄を書き始めてしまいました。いつぞやに使っていた私のX(旧Twitter)のサブ垢のアイコンは、その架空の桃鉄でした。ちなみにMinecraftで作っていたのですが、そのデータを間違えて消してしまったので完全再現はもうできません。ペーパーには残っているので、いつかお見せできるかもしれませんが。

 このようにして妄想の世界から発生した架空桃鉄は、ついに具現化してしまったわけです。もちろん物件データも存在していました。(こちらはノートを間違えて捨ててしまったの完全に消滅してしまいましたが。バックアップは大事大事)そうして私はついに、この架空桃鉄を実際にプレイできるようにしようと考えます。

 どこに許可を取ればいいのか。そもそも時間もない中でそんな事ができるのか。数Ⅰは赤点続きだが進級できるのか。不安や疑問は残りますが、私の野望はそれを焼き尽くさんとばかりに激しく燃え上がっているのです。
 
 






 
 

 


 



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