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ブルックリン物語 #74 Ambulatory Detox

主治医と面会している時、
「一回受けてみる?」
「ええ、いいですよ」
軽い会話が発端で通いのデトックスプログラムを受けることになった。

お酒の。

僕は去年からいい子になって健康保険に再入会したので、先生は「だったら、保険でカバーできるので、いろんなワクチンは打った方がいいし、精神科医にもかかった方がいいし、肩のレントゲンも撮って痛み止めを打って......」次々に勧めてくれる。アメリカに来てから14年、最初の4年半は学校で入っていた保険がカバーしてくれていたのだけれど、そのあと入った保険が突然解約になり、保険不信に陥った。でもそんな保険のない状態の時にERで盲腸の手術を受けたり色々あって、やはり保険は入ろうと一念奮起。(因みに一方的に切られた保険会社の犠牲者たちが立ち上がり裁判が起こった。それで僕のところにもあの頃収めたお金が戻ってくることになった)

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色々あった健康生活だが、今は2カ月に一回主治医のアリスと会って血液検査をして、何か特別な問題が起こればすぐにレントゲンやMRIを撮るという風な対応をしてくれて、ずいぶん心も体も楽になった。だからついついちょっとした悩みとか人に言えないような小さなことを主治医アリスにこぼしてしまう。

普段から心配性で用心深い性格なので(リアリ〜?それは見えないかもしれないが)、もっとおおらかにでんと構えられればいいのになあと思ってはいたが、彼女によると「ワインの飲み過ぎでは?」という疑惑になっていたのだ。通院を始めた時の血液検査の結果が恐ろしく思わしくなく、「ワインをやめた方がいい。アルコールを一切飲まないこと」と言われ、僕もそれに順従に従って一度はやめていた。しかし何かと祝い事や乾杯にかこつけてまた飲み始めると、タガが外れて飲みすぎることもある。たまにだが。「最近お酒は飲んでないよね?」アリスの質問の常套句だが、「それが週に2、3回、いや3、4回?は飲んでますね」「え?」という会話からこの話は始まった。

「お酒はやめた方がいい」というアリスには申し訳ないけれど、数年前にピタッとやめたタバコのように「やめると決めたらやめられる」がその必要があるのか? と自問自答しながら、結果的にはダラダラと飲み続けていた。で、この前の診察の時に「この際一切のアルコール類を止めるためにデトックスを一回やってみる?」へとつながる。

僕はなんとなくの話の流れで、普段の生活や仕事が忙しくなったり逆に暇になったりした時に感じるAnxiety(不安)をなるだけ取り除くpsycology doctor(精神科医)との対話になるのだろうと踏んでいて細かく診断書を見ていなかったのだけれど、「早めに予約をして受けといてね」と言われ、「は〜い」くらいの軽いノリでそれさえもアルバムの完成にかこつけて忘れていた。

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