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フルカラー漫画の作画メイキング

Twitterで募集した質問箱で、「カラーはモノクロよりも手間ですか?」という質問を頂きまして…。それなら少しメイキングなんぞを公開してみようと思った次第です。

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『水神鳴』はフルカラー漫画です。本編もすべてカラーで描かれています。

完成原稿がこちら↓。これが完成するまでの経緯を色々端折ってはいますがご紹介!

064 第肆章 六0

・ネーム。
下書きの下書きみたいなもの。私はアナログでネームを描き、それをスキャナー取り込んで、下書きの「アタリ(大まかな位置取り)」に使用しています。
画像はネームを取り込み後、フキダシとセリフ、枠線まで入れたもの。

064 第肆章 六1

・3Ⅾ素材を置いていく。
作画に使っているソフト「クリップスタジオ」には3Dの人物があり、これにポーズを取らせて配置することもあります。以前は使っていませんでしたがソフトのアップデートにより使いやすくなったので、これを使ったほうがデッサンに狂いが出にくく時間短縮になります。なかなか便利です!

064 第肆章 六2

・下書き
アタリや3Dから下書きをします。私は結構しっかり描き込むほうです。ペン入れに入るときには黒色に線を水色に変換します。

064 第肆章 六3

・ペン入れ
人物をペン入れします。このページの背景は自然物だけだったので背景のペン入れは行わず、着色時に描き込むことにします。(建物や室内の背景は、ペン入れをしています。)
人物に使っているペン(といってもツールの名前)は「なめらか線画ペン」です。弱い筆圧でもスルスルと描けるのでお気に入りです。モノクロ原稿の場合は「リアルGペン」を使っています。こちらも弱い筆圧で描けるので。

なんで弱い筆圧にこだわるかと言えば、手が痛くなり難いからです。アナログでペン入れしていた時は、思いっきりペンを握り締めて描いていたので、よく指が痛くなっていました。デジタルになってそれが解消されたので良かったです(*´ω`)

064 第肆章 六4

・色分け
肌や着物の色をベタ塗りしていきます(下塗り)。ひたすら単調に決めた色を塗っていく作業で、2・3ページならいいですがたくさんページがあるので飽きます。背景もペン入れがしてある場合は背景も色分けして塗っていきます。私は一番この作業が苦手です…(´・ω・`)

コミックアプリで連載していた時は、締め切りに間に合わせるためと、自分のモチベが下がらないように、この下塗りの作業をアシスタントさんにお願いしていました。今は自分でやることも多いです。

064 第肆章 六5

・陰影付け
ベタ塗りの色分けが終わったら、陰影をつけます。塗ってぼかして、それぽくなるように塗ります。髪のツヤや目の光などホワイトも入れます。ここは完成に近づいている実感がある作業です。

064 第肆章 六6

・背景作画
筆ツールなどを使い、色塗りしながら作画します。人物やフキダシで隠れてしまう部分もある程度描いています。背景はまったく別のページに描いて、それを重ねて使うこともあります。(2枚目が別ページに描いた背景。)

064 第肆章 六7

064 第肆章 六11

・効果を入れる
別々に描いていた人物と背景を重ねて、臨場感やスピード感がでるように効果線(スピード線)を描き込みます。茶色と白色の二種類を使って線を引いています。完成に近づいてきました!

064 第肆章 六8

・効果音を入れる。
擬音など、手書き文字を入れます。

064 第肆章 六9

・セリフ・フキダシを表示させて完成!

064 第肆章 六10

ざっくりとでしたが、こんな感じで原稿を作っております。
モノクロ原稿の場合、色分け(下塗り)の工程はいらないですし、陰影付けももっと簡素です。なので、カラー原稿のほうが、やっぱり手間がかかります。(そして色分けは一番嫌いな作業なので心的負担が…(;´∀`))
それに、塗り残しがあるとモノクロよりも目立つ気がする…というかカラーのほうが雑に描くと、余計に雑さが目立つ気がするので、丁寧に作画しています。

とはいえ、写真もテレビもすべてがカラーの時代ですし、PCやスマホで見た時にはカラーのほうが見栄えもするし、見やすいと思っています。
それにカラーで始めた作品をモノクロにするとなると読者様から見たら、がっかり案件だろうな…と。私が読者だったとしても(´・ω・`)ショボーンってなりますし。

なので『水神鳴』はこの先もフルカラーでいく所存です!
(別作品ならモノクロでも描きますけどね!)

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