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なんとなくあった違和感が、書くことでだんだんクリアになっていく-岡本実希さんインタビュー 【2019年5月期受講生課題記事】

※こちらは「ライティング基礎ワークショップ(2019年5月期)」の受講生が、課題として作成したインタビュー記事です。

フリーライターとして活動されている岡本実希さんにお話をお聞きしました。ライターとして、un-contorol(アン・コントロール)というメディアを運営されています。

「これまでの常識やルールにとらわれない教育のかたち」を紹介していくとして、子育て中のお母さんや教育現場を取材されています。

前職は障害をもった子どもの指導員だった岡本さん。なぜ「書くこと」をしているのか、「書くこと」と教育にどのような接点があるのでしょうか。

ー岡本さんが、書くきっかけになった出来事として、子育てメディアでインターンされていたことがありますよね。元々、メディアで書きたい思いがあって始めたのですか?

インターンは、子どもの学習教室で子どもと関わることやメディアで書くこともありました。

私は、その会社で就職が決まっていたので、働き始めてからは、教室で子どもに関わる仕事に就くつもりでした。

だからこそインターンでは、就職してからあまりできそうもないことを経験したいと考えた結果、メディア選びました。最初は、書くことにすごく興味があったわけではなかったのです。

ーそうなんですね。現在、ライターされているのは、書くことの魅力を感じたきっかけがあったのですか?

そうですね。インターンをはじめるまでは、書くことは、他の好きなことと比べて格別好きでもありませんでした。自分が得意だとも思っていませんでした。

しかし、インターン先のメディアで書かせてもらうようになってからは、徐々に変わってきました。

メディアのメンバーから、実希ちゃんの書く文章、心に沁みていいねと言ってもらえたり、読者の方から、困っていたことが解決しましたと感想をもらえたりしました。

メディアを通して自分が発信したことのダイレクトな反応がある中で、書くことのパワーや魅力に気付いていきました。

ーしかし、就職では、そのまま書くことを続けませんでしたよね。元々指導員になると決めていたから、そのまま指導員になられたのですか?

それもありますが、メディアでは、書くことのパワーや魅力を知る一方で、問いも生まれてきました。そもそも書いていることが本当にお母さんたちの困りごとに寄り添えているのか?ということです。

なぜかというと、メディアを書く中では、本当に困っている方に直接お話を聞く機会はなく、本当に必要とされている物事について書けているのか?と日々感じていました。

また、困っている方の思いをきちんと理解したうえで、書けているのかと思い始めたのです。困っている方のことをより理解するためには、お話を実際に聞く経験が必要です。その経験をするためにも、書くことから離れて、現場に行くことにしました。

ー指導員をされている間は、書くことはされていなかったのですか?

最初は教室での指導に必死でしたが、しばらくして書くことを再開しました。un-control(アン・コントロール)も2年目くらいから始めたのです。

なんで始めたかは、教室に通っている保護者の方から学校教育の様子を伺う中で違和感が生まれたからです。

学校で教えることは、社会で適応できるようにする指導が中心でした。

例えば、座っていられない子や静かにしていられない子に対してどのように指導するかを考えるというものです。

そのような指導について聞くうちに、少しづつ違和感が生まれていきました。

書くことを始めたのは、違和感が生まれた時に、自分の思考を整理するためでした。1日の中で気になったことを自分のノートにメモ書き程度で書いていました。なんとなくあった違和感が、書くことでだんだんクリアになっていくのを感じました。

私はその子自身がやりたいと思ったことをサポートしてあげたい。

座っていられないんだとしたら、座っていられなくてもいい場所が社会にはあるとお母さんや子どもたちに伝えたいと思うようになりました。

どのように伝えるか考えた時に、インターンで書くことをしていた経験から、書くことで伝えようと思い立ちました。それから、自由にその子が感じたことを大切にしている人や、子どもたちがのびのびしている場所にインタビューに行き取材するようになりました。

ーun-control(アン・コントロール)では、「これまでの常識やルールにとらわれない教育のかたち」という強いメッセージがありますね。とても素敵だと思うのですが、この考えは、インターンや指導員時代の書くことを通して、少しづつ固まったのですか?

指導員時代に、自分のノートに書いていた段階があったのですが、その時は「なんで、ここに違和感が生まれるんだろう」ってことが、書くことを通して明確になっていきました。

教育のかたちを模索しながら、un-cotrolでの取材を始めました。書くことによって思考が深まることもあったのですが、取材を通して、人と話すようになったことも思考が深まる要因としては大きいです。

書くことを通じて人に話を聞くということが自分の新たな視野を広げるきっかけになり、今の価値観を作っています。

「書くこと」は教育とどのような接点が生まれるのかという取材でしたが、お話の中から、「書くこと」で思考がクリアになり、自分との対話になることや、「書くこと」から、取材として、人と話すことによって思考の広がりが生まれるということが分かりました。日々子どもと関わっていてなんだかもやもやしていませんか?「書くこと」があなたのもやもやをクリアにし、問いが生まれるきっかけになるかもしれませんよ。

(インタビュー・文/大城彩夏)
(写真/Ben White on Unsplash

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