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『銭湯図解』が本になります。出版にむけた想いをまとめてみました。

こんにちは、高円寺の銭湯・小杉湯の番頭イラストレーターの塩谷歩波(@enyahonami)といいます。

普段は小杉湯スタッフとして番台やお風呂の準備をしつつ、「銭湯図解」というイラストを描いています。

銭湯図解とは、浴室での人との交流、お風呂やサウナの楽しみ方、建築的な面白さ、味のある銭湯の小物、お風呂上がりの至福のひと時など、多様で幅広い銭湯の魅力を図解したイラストです。私のSNS( TwitterInstagram )、webメディア『ねとらぼ』、雑誌『旅の手帖』で銭湯図解を公開しています。

なぜ、銭湯図解を描き始めたのか?

この銭湯図解を描き始めたきっかけは、前職での休職経験です。

小杉湯で働き始める以前、私は設計事務所に勤めていました。私の母がインテリアコーディネーターをしていて、小学生の頃にインテリアパースの描き方を教わった事がきっかけで建築の道を志し、2009年早稲田大学建築学科に入学。専門は「人間生活遺構研究」という街並みなどを研究する分野で、大学の設計課題では常にイラストを描き、卒業論文でも街並みの色彩研究として20枚以上スケッチを描くなど、”絵を描く事”が私の大学生活のテーマでした。

△卒業論文で描いたスケッチ 【佐賀県・鹿島市】

大学院の修士課程まで進学し、「設計と絵」をテーマにした卒業課題で大勢の人の前で発表する機会を頂きましたが、絵自体の評価は良かったものの設計の評価は悪く、絵を描く事と建築の成果物が結びつかないことに葛藤を抱きました。早く建築で成果を出して葛藤を払拭したい、そんな思いから卒業後は設計事務所に就職し、設計に身を費やしていましたが、体調を崩してしまい休職を余儀なくされました。

休職中、会社に迷惑をかけている事や休職で同期から遅れをとっている事から罪悪感を常に感じていた時、身体を温めた方が良いとの医師のすすめで気晴らしに行ったのが銭湯でした。

銭湯では、喋らずとも共にお湯に浸かることによって人の温かみを感じることができるので、私は安らぎを感じました。また、お湯で血行が良くなり心も前向きになったことに強い感動を覚えました。そして、いつしか銭湯通いが日課になりました。友人にもそんな銭湯の魅力を伝えたいとtwitter経由で銭湯のイラストを描いて送ったところ、友人だけではなく、知らない人から大きな反響があったのです。

△最初に描いた銭湯図解。寿湯図解【東京・上野】

そして小杉湯へ転職

twitterに投稿したときに、友人が「銭湯を図解したイラストだね」と言ってくれたので「銭湯図解」と名づけることにしました。反響があったことがとても嬉しくて、その後も銭湯図解を何枚も何枚も投稿を続けると、次第にネットメディアでも取り上げられるようになりました。そして、イラストを見た高円寺の小杉湯の若旦那である平松さんが声をかけてくれて小杉湯に転職することにしました。

銭湯へ恩返しがしたい!

銭湯の魅力を伝えたいと銭湯のイラストを描き始めたのですが、次第に銭湯へ恩返しをしたい、という気持ちも高まってきました。2016年の11月から都内中心に描き始めた「銭湯図解」は40軒以上にもなりました。

そして、中央公論新社さんからお声がけいただき、来年の1月頃、ついに銭湯図解の書籍を出版します。最初は枚数もそこまで溜まっていないし時期尚早なのではないかと思っていましたが、ここまで描くことができたのはSNSなどで銭湯図解を応援してくれた皆さんのお陰と考え、感謝の形として書籍化に踏み出すことにしました。

これまで、銭湯図解に対する応援の声があって、その声に答えたいと思いさらに技術をあげ、それを見た人がまた応援してくれて、その声に応えられるようにさらに頑張る・・・ということを繰り返してきました。私は、銭湯図解にまつわるその循環を大切に考えていて、その輪をさらに大きくしたい、銭湯図解を今までにない素敵な本にしたいと考えています。

このマガジンに掲載すること

このnoteでは、そんな銭湯図解の書籍化に向けて、銭湯図解の取材の様子や、銭湯図解の進捗をリアルタイムでお届けしていきます。書籍の刊行に向けてのアツアツの熱量をどうぞお楽しみください!

※写真撮影:前田立 

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