伝えたいこと
どうもにょーるです。
今回はいろいろと私自身の中でもちゃんとしっかりと伝えておかななればならない出来事があったので誤解されないために言っておこうと思う。
私がなぜホームレスをしたいと思ったのには特別な理由があって、決してホームレス小谷さんのようなことがしたいとかプロ奢ラレヤーのような生き方をしたいという理由ではない。
なので誰かに助けていただこうとか誰かの親切心につけ込んでやろうというような下心は全くないのでこのことは絶対に伝えておきたかった。
私がホームレスをやろうと思ったきっかけはちょうど一年前のゴールデンウィークに神戸を一人で旅をしていたことに遡る。
その頃はジョーズクラブには入っていたが何も活動はしていなかった時期だった。
私が神戸の街をぶらぶら歩いていると後ろから誰かに
「すいません。」
とか弱そうな声をかけられた。
振り向くと身なりがとても汚く、髪の毛がボサボサで髭が不精に伸びた見た目からしてホームレスであろう一人のおっちゃんが私を呼び止めた。
私は驚きながらもそのおっちゃんの話を聞いてみることにした。
「どうか私に飲み物を恵んでもらえませんか?」
そのおっちゃんは申し訳なさそうに私に問いかけた。
私はそのおっちゃんとの出会いに何の運命も感じてはいなかったけれど、でも私はそのおっちゃんを助けてやりたいと素直に思ったので近くのコンビニへ行って好きな飲み物を買ってあげた。
私はおっちゃんの望みを叶えさせてあげたのでこれで終わるものだと思っていたが、自体は急展開を迎えた。
コンビニを出た瞬間にそのおっちゃんに凄い剣幕な顔で私に土下座してきた。
「えっ!?」
私はたかが飲み物で土下座されるようなことはしたつもりではなかったし、周りの通行人にも凄い注目をされてちょっと恥ずかしかった。
でもおっちゃんが土下座した理由はそれだけでは無かった。
「どうか、2000円をいただけないでしょうか。」
おっちゃんは必死に私に懇願してきた。
私は土下座までしなくても普通に欲しいと言ってくれればあげても良かったのでおっちゃんに顔を上げてもらい。
「分かったよ。2000円は上げるよ。」
私はそう言って財布の中を確認した。財布の中は1万円札しかなかった。
その1万円札を崩さなければ2000円を上げることが出来なかったのだか、そのコンビニで両替をすることは不可だった。
そこで私は考えた。
「よし、そのおっちゃんの欲しいものもあげよう。」
おっちゃんに欲しい物がないか聞いたところおっちゃんはこう答えた。
「タバコが欲しいです。」
私はおっちゃんの欲しい銘柄のタバコを購入して、2000円も渡した。
おっちゃんはすごく喜んでくれた。
先ほどの苦しそうな顔から一転して幸せそうな顔になってくれた。
その顔を見て私も嬉しかった。
少しだけそのおっちゃんとおしゃべりをして元気になってくれたようなので私はおっちゃんと別れることにした。
「バイバイおっちゃん!元気で生きてな!」
するとおっちゃんは私にこう言った。
「お兄さんに神のご加護を!」
そんなこと言われたのは初めてだった。その一連の流れは私にとってとても楽しかった時間であったし、そのおっちゃんに出会えて良かったと思っていたがそれと同時にこんなことも考えた。
私が2000円を上げたところでそのおっちゃんが生きていけるわけでは無いんだ。そのお金が無くなったらまた同じことを繰り返さなければ生きてはいけないんだ。
「生きるって一体何?土下座しなければいかないほど生きることは難しい事なのだろうか?」
私はその帰り道ずっと考えていた。
もし私がホームレスになった時に誰かに土下座することが出来るだろうか。ホームレスになる前にどのような生き方をした方が良いのか。私は今自分の力で生きているのだろうか。今自分が生きていることが当たり前だと思っているのか。
私はどれだけ考えてもその答えを見つけることがどうしても出来なかった。
あのおっちゃんから人生最大の宿題を提出されたような気がした。
あれからちょうど1年がたった今、その答えを導き出すことが出来ずに当たり前のように生きてしまった。
あのおっちゃんとの出会いをこれまでに忘れることはなかったし、忘れたくなかった。
「あのおっちゃんは今生きているのだろうか?あの2000円は何に使ったのだろうか?おっちゃん人生は幸せだったのだろうか?」
私は知りたかった。そして、伝えたかった。
伝えるために文章という武器が欲しかった。
それだけで良かった。それ以上は何も望まなかった。お金持ちにはなりたくなかったし、便利なものも必要ない。
ただ自分自身の力で生きていくことは出来るものなのかをどうしても知りたかったし、伝えたかった。
ある日に大阪にある本屋を見つけて何となく入ってみると私の胸に刺さる本のタイトルがあった。
「自分の中に毒を持て」
岡本太郎さんの本だった。
迷わず購入し、本を読み、私は決意した。
「自分がホームレスになればいい。」
私がホームレスになればおっちゃんの苦しみを理解出来るし、どう生きてきたかを少しでも分かってやれるかも知れないし、たくさんの孤独や不安、恐怖を自ら作り出してそれを伝えてやれる。
おっちゃんと出会ったちょうど1年のタイミングでホームレス生活をスタートすることにした。
ホームレスになった人間はどんなことを考えるのだろうか?
きっと私はそれにしか興味がないのかも知れない。
私がホームレスをやろうと思ったきっかけはそういう理由だった。
決して遊び半分でやろうと考えたわけではなくて私は生きるって何だろうかを知っておきたかったし、知らなければずっとこんなことを考え続けるような気がした。
そのことはホームレスをするのと同時に伝えておかなければならなかったのだが、それを怠ってしまったが故に大切にしなければならない人を傷付けてしまった気がして私は辛かった。
もっと思いやりを持てる人間になりたい。
私が対談をしたかったのにはみんながどんな人生を送っているのかを知り、私がどう生きるべきかを考えたかった。
誰かに泊めてくれなどとそんなおこがましい事は言うつもりはない。
ただその人の人生を知りたいだけ。
私は頭が狂っているかもしれないけど、そういうきっかけをすごく大切にしたい。
それではありがとうございました。
また次回
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