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【西村】水声洞渓谷(スソンドンけいこく)

 ソウルのど真ん中を流れる清渓川(チョンゲチョン)は、鍾路(チョンノ)の交差点のあたりから突然現れる。近代化が進む過程で清渓川の上流は道路の下に隠されてしまった。ほとんど地中に埋められた流れの中に、気まぐれのように一部だけが地上に顔を出すところがある。

 2010年のこと。西村(ソチョン)にある玉仁市範アパートが取り壊された。このアパートは1971年に建てられたアパートだった。玉仁市範アパートの撤去によって、一つの渓谷が地上に顔を出した。それが水声洞渓谷である。

 朝鮮時代の歴史地理書『東國輿地備攷』によると当時から景勝地としてしられていたことがわかる。渓谷を流れる水の音がよく聞こえることから「水の声(=スソン/수성)」と呼ばれるようになったらしい。現在では、雨続きの時以外はこの渓谷で水の流れを見ることはなかなか難しくなっている。しかし、かつては王族、両班たちが好んで訪れ、絵をかいたり、詩を読んだりしたのだという。

 2010年。再度発見された「水声洞(スソンドン)」渓谷は復元され、周辺も公園として整備された。しつらえられた東屋(あずまや)で地元の住民たちがくつろいでいた。

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