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Junya Watanabe Manの編集力

Shigeaki Arai (@mistertailer) さんのクラウドファウンディングで「カスタマイズテキスト」のリターンを購入して、せっかくなのでnoteにもアップしてくださいとお願いしました🙏  (内容がっつりでありがとうございます🙇‍♂️)

好きなとこ(そうそう、それー!ってとこ)抜粋しときます↓

渡辺淳弥は「これまで見たことのある服を、見たことのない服」へと作り変えるアプローチだ。
服に違和感を際立たせ、それが視覚的魅力を呼び込む。
スタイルの横断自体、特別珍しいことではない。異なるスタイルをミックスして新しいスタイルを作る。これまでモード史で何度も繰り返されてきたデザインアプローチだ。だが、渡辺淳弥の横断は大胆さと数が際立つ。
例えば、クラシックとアウトドアにトラッドスタイル、そこにカントリーテイストも加える。それだけの数のスタイルを混合しながら破綻しないのは、シルエットの統一感があればこそだ。

ちなみにその時にお願いしたテキストの候補はこんな感じです。

で、新井さんのテキスト読んでたらずーっとnoteになんか書きたいと思ってて全然進んでなかったのが急にやる気になって大晦日の夜に友達を福井駅に迎えに行く前くらいから勢いで書きはじめてみました🚙

新井さんのテキストとの共通項もありつつも、基本的には完全に個人的な解釈というか勝手な思い込みです。(先に言い訳)

1stコレクションの印象

ジュンヤのメンズのデビューコレクションは↓のリンクから見れます(僕が学生の時にコレクションの写真見れるサイトといえばfirstviewって感じでした)(めっちゃなつかしい)

Junya Watanabe Man Spring/Summer 2002
http://firstview.com/collection_images.php?id=9208

この頃って90年代後半に全盛だったアヴァンギャルドなデザインが停滞しはじめた時期で、Hedi SlimaneのDior Hommeが抜け出てきた頃って言うイメージです。(今見るとHelmut LangとかHussein ChalayanとかRaf Simonsとかいいなって思うんですけど90年代後半のインパクトが大き過ぎて当時はそこまで印象に残ってなかった)(当時のDior Hommeのスーツ、最近まためっちゃ着てる)

ジュンヤのベーシックな服(リーバイスのデニムもオリジナルそのまま)をベースにシンプルに大きくフォントを乗せる、とかポップな色使い、とか(curry riceのセーター逆に今欲しい)、この時期にジュンヤがこのアプローチでメンズを始めたことが新鮮に感じてました。(裏原的な表層をサンプリングする手法を再解釈したのかなとも思いました)(話ずれるけどRaf Simonsは一貫してサンプリング型のデザイナーさんだと思う)

2010年代の印象

最初のコレクション以降は1994年頃からのComme Des Garçons Homme Plusのアプローチ(色や柄の使い方だったり、ディテールの再配置、生地のパッチワーク等)(Spring/Summer 2000のゴブラン織りのパッチワークは印象深かった)を踏襲しながら、ミリタリーだったりワークだったりマリンだったりカントリーだったりテーラリングだったり、Homme Plusより元ネタが更に渋いと言うか男臭いと言うか、2000年代はその中で様々なアプローチを模索していたものが、2010年頃には明確な手法として現れているなって印象です。

個人的にはこの辺がその分岐点かなと(超勝手に)思ってます。

(横編みニットのテーラードジャケット、本格的に仕立ててるところがめっちゃかわいい)

Homme Plusが先駆けて行ってたアプローチ(ディテールの再配置と生地のパッチワークの手法)は継続しつつも更に踏み込んで、過去の様々な服の構成要素そのものを複雑にパッチワーク(再編集)していくことで、シンプルな服として落とし込んでも違いを作り出せる、必要に応じてデザイン的な違和感も作り出せるような手法に変化していったと思います。

特に好きなのはこのあたり↓

全体的にはComme Des Garçonsっぽい生地のパッチワークが印象的なんですけど、落ち着いたカラーパレットに粗野な表面感、テーラードからワーク、ミリタリー、アウトドアを横断する様なデザインとスタイリングで、構成要素のパッチワークを違和感なく格好良く仕上げてる感じがして好きです。

The North Face、Levi's、Carhartt、Vans、Barbour、Kangol、Gloverallとコラボのやつ。サンプリングを構成要素のパッチワークまで踏み込んでるから新鮮な違和感がある。(ノースフェイスの特に好き)

もうこれは完全にKarrimorのコート、やばい、めっちゃかわいい、なんで伊勢丹で見た時買わんかったんや(語彙力)

アイテム毎に見てもかっこいい服が山ほどあるので、Googleの画像検索とかPinterestとか店頭でいっぱい見てください。

CdGのメンズはユーザーフレンドリー

Junya Watanabe Manに限らず、Comme Des Garçonsのメンズは、感度の高い層だけじゃなくて、幅広い層の顧客にも手に取りやすいようにデザインされてるなって印象です。

ファッションの感度の高い人って、だいたいみんな思春期くらいに雑誌とか読みはじめて色々試しはじめて、数えきれないほどの黒歴史を乗り越えて、そこで服の知識だったり、サイズ感とか素材感とかバランス感覚を身に付けてる人たちだから、シンプルな服も外連味のある服も時代の気分とか自分の現時点での気分も念頭に、ある程度自信を持って選べるんだと思うんですけど、世の中のほとんどの人ってそうじゃないと思うんです。

たぶん80年代のギャルソンのメンズとか(バスキアがランウェイ出た頃)、初期のマルジェラのメンズとか(Marc Jacobs、Alexander McQueen、Viktor & Rolfなんかが私物で着てた)とかもそうだったと思うんですけど、玄人向けすぎて普通の人達の選択肢に入ってこないというか、何を買ってどうやって着たらいいかわからんってレベルなんですよね。(一般の人から見たら世の中の高い服なんてほとんど全部そうやと思う)

で、そういう玄人ではないけど、服を選びたいっていう人がどういう服を選ぶかっていうと、なんかわかりやすくデザイン入ってるっていうか、一時期の3プライスのスーツ屋さんのドゥエボットーニに派手な糸のボタンホールの謎シャツとか、ロールアップしたらチェックが見えるクロップドパンツとか、そういう感じ(内輪で話す時はジーンズメイト感って表現してるんですけど)があるとどうやら安心感あるみたい。

で、ギャルソンのメンズはスーツを着る仕事じゃない経営者の人がシーズン毎に直営店で全身まとめ買いみたいなイメージがあるんですけど、難しいサイズ感じゃなくて、ある程度デザインされてて、差別化もできて、統一感もあって、っていうところで、安心感があるんだろうなって。

ちょっと本筋と違うんですけど、ギャルソンのメンズって、すごい感度の高い層以外にも届く様にデザインされてると思います。基本的なデザインの方法論は変えずにアイテム毎に使い分けてるというか。

そろそろおわりです

何が言いたかったか忘れかけてきたんですけど、タイトルの「Junya Watanabe Manの編集力」っていうところで、ギャルソンらしいデザインアプローチをベースに、初期の当時の90年代後半のモードのコンセプトの複雑さに対する反発と裏原的なサンプリングの手法の再解釈、そこからオーセンティックなメンズウェアの考察とサンプリングを辿って、「構成要素のパッチワーク」っていう手法が醸成したんじゃないかな、って本当に個人的な勝手な解釈です。めっちゃデザインの編集能力が高いな、って。

で、この手法に影響を受けたデザイナーさんは世界中にかなりたくさんいると思います。(前に海外のデザイナーさんが参考資料として買ってくブランドとして人気があるっていう話をTwitterで見たような🤔)

最後にもう一回話逸れるんですけど、今ってSNSで世界中のいろんなデザイナーさんを知れる様になって、個人的にいちばん影響を受けた服は90年代後半から2000年くらいなんですけど、今のデザイナーさんってその頃よりデザインの編集力が遥かに高いなと思います。

インスタとか見てると日本にも海外にも本当にすごい人山ほどおるな、と。ディテールの作り方もそうだし、コンセプトワークのレイヤーがひとつかふたつ多い感じ。そんなデザイナーさんって昔だとJohn Gallianoくらいだと思ってた。

ただ、デザインの編集力=ビジネスとしての結果ではないところがまた難しいところで、ファッションのあるひとつの側面にすぎないんですよね。

と、いったところで本当に終わりです🙏

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