ドラゴンの恐怖

「食べ物をお残しするとドラゴンに襲われるらしい」

わたしの家庭では食べ物のお残しは厳禁。
幼少期の頃、それはもう好き嫌いないよう厳しく育てられました。
嫌いな野菜を残そうとすれば母はすかさず

「残したらドラゴンに食べられるのよ」
と脅してきたものです。

恐怖ですよ、
子供の頃のドラゴンといったらわたしが思い浮かべたのは
「ドラゴンクエスト」というゲームに登場するあのドラゴン。
炎に焼かれ体をひきさかれるのではないかと…

わたしは食べた。必死に、それは必死に。
半泣きになりながら。

そのおかげでわたしは幼稚園時代、みんなに笑われたものです。
子供は野菜が嫌いです。残している友達を見るとわたしはすかさず
「どっドラゴンに食べられるのよ!!」と叫びました。
不思議そうな目でみられた。案の定噂の的です。

「不思議な子がいる」と。

彼らは何も悪くない。
わたしの拭いがたい偏見がいけなかったのです。

でも悲しいかな、そうやって母が教育してくれたおかげで好き嫌いはまったくないのです。ありがとうお母さん。ただ未だにドラゴンが怖い…。さすがに残したら襲ってくるとは思わないけど、でも少しだけ信じていたりする。

もしわたしに子供が出来たらこう教育しよう。

「残したら鬼に食われるのよ」

うん、ドラゴンより日本的である。
ただし、残した子に向かって「鬼だ鬼だ!」と泣き叫ぶような
失礼の御輿を担ぐ子にはならないよう、祈ります。

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