命を削りカネを得る:バイク便
ぼくはバイク便の仕事をしたこともあります。一日中バイクに乗ることは苦にならなかったし、当時はまだバブルの残り香でそこそこ景気がよかったので仕事もありました。
バイク便のなにがいいって
バイク大好きでバイク乗ることが全然苦にならない、さらに都心の道をそこそこ知っているとなるとバイク便は手っ取り早い稼ぎ方になります。当時はナビもないしね。なんたってカネがいい。
それにムダなストレスがない。
走ってる間が仕事なんで誰とも関わらなくていいし、さらにいいのがバイク便をしょっちゅう使う人ってそんなにいないんですよ。高いから。
なので、「遅せえよ」ってピザ屋みたいなことを言われたことは一回もないですね。基本的に「え!?もうきたの?」ってわけでこっちも気分がいい。
けど、なんでもすぐに持って行ってくれるバイク便。当然、ヒヤヒヤものだったり濃いいところへの配達もありましたねえ。
白い粉
まったく知らないお客さんからの依頼。行ってみるとかなりのこわもて。声もどすが効いていて、「これ、急ぎで新座まで頼むよ」。
東京から埼玉の新座までとなるとバイク便だったら恐ろしく高いです(万単位)。送料の半分が取り分なのでウハウハなはずでしたが、こわもてさんから渡されたのが白い粉。普通のビニール袋に入った2キロくらいかな。
「え。これっすか?」
「おう。早いとこ頼むよ。」
「ああ。これ絶対ヤバいやつだ。事故したら死刑、お縄でも牢屋かなあ。」などと恐怖を感じつつ、いつもにもない安全運転で新座へ。
指定された住所についてみると工事現場。「バイク便でーす」といったところ、「おお!もう来たのか!待ってたよ。」といって、早速粉を水に溶かす職人さんたち。
漆喰でした。。よかった。
クラウンレコード
ご存じの方も多いかと思いますが、演歌専門の音楽会社さんです。
たしかなんかの書類を届けに行ったんだと思いますが、ロビー以前にそのスジのポスターがぎっしり。
いる人も「どう見ても演歌歌手のマネージャーさん」ばかりでしたね。ちょっとした異世界転生でした。
ファミコン通信
粉も運んだし演歌の巣窟にも行ったし、モノホンのヤクザさんへバレンタインのチョコを届けにも行きましたよ。けどね。マジで一番恐ろしかったのはファミコン通信編集部。
ゲーマーを悪く言うわけじゃないですが、当時(1990年初頭)はインターネットもなくゲームをやりこんで雑誌の記事まで書く人ってのはかなりヤバい人たちだったんですよ。
基本デブでメガネ。そして気持ち悪いあだ名で呼び合っている。
マジで怖かった。
まだあるのかな。
バイクは危ないよ
首都圏でなんでバイク便なんて稼業が成り立つか。
そりゃあ景気がよかったころは首都圏はクルマだらけ。クルマでものを運んでいたらいつ着くかわからないし、景気がいいので急ぎの仕事が多かった。
ではなぜバイクか。
渋滞していてもクルマの隙間をすり抜けてどんどん進めるからね。それで2回死んだと思ったけど。
ま。けっこう稼げたし楽しかったからいいや。
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