だから「チー付与」20話が心に刺さった

7月14日ニコニコ静画で「追放されたチート付与魔術師は 気ままなセカンドライフを謳歌する。」の20話が更新されました。

これはなろう原作の追放ものなのですが、原作の要素・ストーリーを悉く無視していることで話題になっています。
今回の話はギルドの借金を返すためにサイクロプスを討伐に向かったところ、そこに元々派遣されていた冒険者マルチナが自分のランクを本当はC級なのにA級と偽っており……という話なのですが、おそらく原作ではランクを偽っている設定はありません。

これは原作1巻の挿絵ですがマルチナの説明には「ウラリス王国の貴族令嬢にして自給者の最有力候補」と書かれています。この設定から勇者ランク詐欺の流れは出てこないでしょう。

原作とは違う、でもそれが心に刺さった

この展開が心に刺さったのはマルチナの状況が自分の状況と重なっていることがあります。自分は駐在員としてタイに来て働いていますが今まで来た人たちがA級だとすると、自分は本当にC級ぐらいの経験しかないので正直実力が不足しています。自分も慕ってくれるローカルメンバーの期待を裏切らないために騙し騙しやっているので、そんな自分の状況とマルチナの状況が重なってしまい某忍者漫画でいうところの「アイツは俺だってばよ」の気持ちになってしまいました。

魔力の設定にマチルナの善性

今回出てきた設定にレイン(と読者)以外の冒険者には魔力が見えているというものがあります。この魔力は銃や車のような現代的な物を使うと減少してしまうので冒険者はそういったものを避けるのですが、今回の村人はそのことを知りませんでした。

原作は中世ファンタジーなのでこのあたりの設定は当然マンガオリジナルなのですが村人がそのことを知らなかったということはマルチナは彼らの善意を無碍にせずそういったアイテムを使っていたのでしょう。
だからこそ彼女は魔力が弱かったという面もあるのだと思われます。冒険者としては正しくなくとも彼女の人柄が伺えます。

主人公レインの説得

S級、最低でもA級でなければならないという実家からのプレッシャー、 サイクロプスに苦しめられる村人たちからの期待、そして自分が嘘をついたことにより主人公たちに怪我をさせてしまった自責からマルチナは引きこもってしまいます。そんな彼女に主人公レインが話をしようと犬のものまねをしたシーンがこれです。

レインはしばしば他の人のトラウマを解消するために突飛な説得の仕方をしますが今回もギャグとして決まっていて噴き出してしまいました。ただこういうことをするレインにしか開けられない心の扉も、救えないトラウマも間違いなくあると思うんですよね。今回も狂気で思考を停止させて真っ当な説得をするという流れは熟練の技を感じざるを得ませんでした。

このセリフなんかはいつか自分が言われたいことでもあるので、もうがっつり心に染みてしまいましたね。
ここでお互いに謝って綺麗に水に流され、サイクロプスとの再戦に向かうという流れは爽やかで漫画力の高さが出ていたと思います。
ただ、村を襲撃したサイクロプスの対策に終始していて、サイクロプスがおそらく3体いることに全く気付いていないので、これが次回どうなっていくのかについては気になります。
月一更新なので来月までが本当に遠いです。

追伸

チー付与は次にくる漫画賞にもノミネートされているのでよろしければ応援よろしくお願いします。

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