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映画「天気の子」を観た感想

※このブログには、映画「天気の子」及び、映画「君の名は。」のネタバレがガッツリ含まれております※

映画「天気の子」を見てきました。

陰キャ的素養を持ち合わせた人間なので、「超人気!」「めっちゃ面白いから絶対みるべき!」「涙がとまらない!!」とか高テンションで言われると途端に観る気を失ってしまうのですが、それを乗り越えても観たいなという気持ちになったので、けっこう頑張って映画館へ行きました。

未視聴の方への配慮して映画のあらすじの説明などはしませんので、いきなり見た感想を述べますね。(ネタバレしかないよ)

▶︎舞台が東京

まず新宿を中心としたド都心が舞台となっている点。聖地巡礼ブームの影響で地方が舞台のアニメ映画が多い昨今、毎日通勤で通るあの駅やこの道が映画の中で描かれるのは感慨深いものがありました。しかもものすごく微細に!!2021年の東京の人々の日常を残した資料的価値すら感じました。

そして普段暮らしている場所だからこそわかる距離感。池袋警察署から逃げ出し→バイクに乗せてもらい→目白のあたりから代々木まで走るというクダリ、距離感がわかるので、「この距離をあの石ころだらけの線路走るとかめっちゃ体力あるぅ〜!!愛の力〜!ひゅ〜!」と楽しめたのが嬉しかったです。

▶︎お散歩オタク的観点

東京都心というのは坂が多く、普段から川と谷そして海抜を気にしながらお散歩するのが趣味の私にとって、大雨で徐々に東京が沈むという設定がヤバい!!!(いやほんとにそんなことになったらもちろん胸熱とか言ってられないが…)

なにより、陽菜の家が田端にある点!!!!!!
田端〜日暮里のあたりって、山手線の線路に沿って断崖になっていて、昔東京の半分が海だった時代に海と陸の境目だった箇所なんですね!!!(火サスでいう犯人が自白をする地形)灯台や神社でも建てたくなるようなポイントに陽菜の家があることにテンション爆あがりしてしまいました。亡くなった母親のブレスレットをチョーカーとしてつけていることからも暗示されますが、家が田端の崖の上にあるということからも陽菜は晴れ女の血筋なのだと推測されます。(ここまでオタク特有の早口で喋るやつ)

実際水没することになったら東京の地下鉄網、新しいゆえに深い地下を走っている副都心線・大江戸線あたりから使えなくなり、古い路線である丸ノ内線・銀座線あたりが最後まで運行可能なのかなとか、東東京以外も渋谷とか後楽園とか低い土地は沈むだろうなとか、沈んだ街を観光するスキューバダイビングとかたくましく流行るんだろうかとか、無限に妄想して永遠に時を過ごせますね。


▶︎一番グッときたポイント

穂高が陽菜を連れ戻そうと空を落下しながら「もう晴れ女じゃなくていい!!!」みたいなことを宣言したシーン。

晴れ女の仕事を始めて自分の力で稼げるようになり、自立することができ、「やっと自分の存在価値を見つけたかも」「私この仕事好きだな」とまで言わしめた「晴れ女」をやめろというのは、「仕事なんか辞めてオレの嫁に来い!!」くらいのしんどみがありました。(しかも家出中の高校生)

音楽でもイラストでも自分の命を削って創作をするタイプの人間っていると思うんですけど、例えばその人に「お前はこのまま音楽続けてると死ぬから、もう音楽やらなくていい!」って言えるのかという話。そして当人は当人で、死なないために音楽を捨てられるのかという話。そしてそれぞれの立場に自分を置いてみたらどう思うかというあれがごっちゃになっておいおい泣くことしかできませんでした。


▶︎「君の名は。」

映画館を出るときに「君の名は。みたいにハッピーエンドだったらよかったのにね〜」と喋っている女子達がいたのですが、私は言いたい…

瀧くんを追って東京へむかった三葉はともかく、「天気の子」作中で妹の二葉や友人夫妻までもが東京に住んでいるのはなぜか?人命は助かったものの、彗星が落ちた彼女らの故郷は人が住める場所ではなくなってしまった。「君の名は」の作中では、エピローグ的に数カット入るのみでその部分あまり詳しく描写されませんでしたが、けして万々歳のハッピーエンドではなかったと思っています。「天気の子」はけしてハッピーエンドではないんだよという部分がバッチリ描写されてるのが個人的には最高でした。そしてもちろんバッドエンドでもないのが大変納得がいきました。

とても面白い映画でした。

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