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R5予備論文民事実務基礎を振り返る〜出題趣旨を踏まえて〜


0.はじめに

どうも、司法です。ご覧いただきありがとうございます!本noteが皆さんのお役に立てれば幸いです。
今回は、民事実務基礎を振り返っていこうと思います。内容・形式について、ご指摘やご批評、ご要望のある方はぜひお願いいたします。それでは振り返っていきます。

1.本番と評価について

(1)時間配分等
刑実(90分(答案構成30分ほど)、83行)
→民実(90分(答案構成40分ほど)、73行)の順で書きました。
(2)主観的な評価と実際の評価
主観的な評価:B
実際の評価:A(刑実込み)
(3)出来ていないところ
・設問1(5)→摘示する条文はあっていたものの、内容は本当にトンチンカンなことを書いた。
・設問3→全く分からず白紙。文字通り全く書いていない。
(4)出来たところ
・設問3以外の要件事実
・準備書面
→47行目に「設問4(2)」、73行目に「以上」です。ほぼ1頁しか書いていませんが、理解は示せたと考えています。5の部分でも触れます。

2.設問1について

「設問1は、保証契約に基づく保証債務履行請求権が問題となる訴訟……[の]訴訟物の法律要件及び要件事実の正確な理解が問われている。また、仮差押命令の申立てに当たり疎明すべき保全の必要性について、債務者の資産状況に即して具体的に検討することが求められている。」

・保証契約に基づく保証債務履行請求の訴訟物や要件事実については特に変なことは聞かれていない。
・期限の利益喪失約款とそれに該当する事由についても、要件事実としては基本的で落とせない。
 →但し、全体的な出来はあまり良くはなかった印象を受ける。
・保全の必要性については、相当難問
 →出来た人と出来ない人とで大きな差がついたであろうが、この部分が出来ていなくとも上位にはなり得る。
 →私は内容はトンチンカンなことを書いたが、条文摘示と問題意識自体はあっていたため、多少の点数が入ったものと思われる。

3.設問2について

「設問2は、設問1の請求原因に対する抗弁として機能するために必要な要件事実及びその事実が必要となる理由の説明を求めるものである。主たる債務者の錯誤に基づく取消権を理由とする保証人の履行拒絶(民法第457条第3項)につき、法律要件及び要件事実の理解が問われている。」

・457条3項の要件事実が問われている
 →ここを落とすと差がつく印象(∵ 条文を軸に勉強をなさっている方はここを落としていない。)。
・試験委員は要件事実の勉強が単なる暗記ではないことを伝えようとしている?
 ∵R4民事の口述試験と本問。457条3項の要件事実はメジャーとはいえない。
 →日頃から条文を中心に考える勉強が必要となる(法律学習全般)。

4.設問3について

「設問3は、設問2の抗弁に対する再抗弁として機能するために必要な要件事実及びその事実が必要となる理由の説明を求めるものである。法定追認(民法第125条第1号)に関する法律要件及び要件事実の理解が問われている。」

・法定追認についての問い。書けた方は少ない印象。全体的な出来はあまり良くなかったと考えられる。
・他方でA答案の方の多くは、しっかり書けている方が多い
 →上位のためには書けていてほしいが、合格答案という観点からは不要であったと考えられる。

(私自身のミス)→この設問は本当に分かりませんでした。10分ぐらい悩んだ末、何も書かずに飛ばしました。答案回収されている最中に、法定追認に気付き、発狂しそうになりました。
ただ、試験時間中に気づけない時点でもう点数は変わりません。皆さんは、3〜4分悩んでも分からなければ変に拘らず、さっさと飛ばすのが良いと思います。

第5.設問4について

「設問4は、……いわゆる二段の推定が働くことを前提に、被告が文書の成立を否認する理由を整理した上で、原告代理人の立場から、本件契約書(Y作成部分)が要証事実である保証契約締結の事実についての直接証拠となることを踏まえつつ、……本件契約書(Y作成部分)が真正に成立したものであり、要証事実が認められるという点を、説得的に論述することが求められる。」

・設問4では、(1)文書の成立を否認する理由を整理し、(2)本件契約書が直接証拠に当たることを踏まえつつ、本件契約書のY作成部分の成立の真正、ひいては要証事実が認められることを論述することが求められている。
・(1)は、二段の推定を理解し、過去問を解いていれば、落とすことはないと考えられる。
 →記載の巧拙はあれど、点差はつかない。
・(2)は、準備書面問題で、差がつくと考えられる。
・本件契約書が直接証拠に当たることを踏まえて論じている方は相当少ない印象。書いておられる場合、Aがついている割合が高い。
 →二段の推定のみを記載した方と、本件契約書の実質的証拠力との関係を踏まえて二段の推定を記載した方とでは、評価が(相当程度)異なると考えられる。

(私の準備書面の内容)→私は概ね次の内容を書きました。なお、私は1行35文字程度です。
1(1)本件契約書が処分証書に該当すること、成立の真正が認められれば、特段の事情がない限り、その内容通りの契約が締結されたことを認定できるとするのが判例であること、本問では特段の事情がないこと(4行ほど)
(2)成立の真正について、手書き部分のYの署名の部分を論じた後、押印部分について二段の推定を2行ほど論じ、設問4(1)のYの主張を踏まえて、どこが争点になっているかを確定(5行ほど)
2 Xに有利な主張(6行ほど)
3 Yに有利な主張への反論(9行ほど)
4 結論

こんな感じです。1(1)をちゃんとかけたことが良かったのかな、という印象です。1(2),2,3部分は多くの方がしっかり書いていますからね。

(準備書面の分量について)
私は、1頁程度(24〜25行程度)に収めるべきだと考えています。配点割合(14点ほど)が示されていた時とあまり事情の分量が変わっていないからです。問題文は一貫して「1頁程度」で、と指定しています。
また「読みやすい準備書面」の特徴の一つとして短いことが指摘されることもあります(圓道至剛先生の『企業法務のための民事訴訟の実務解説[第3版]』176頁。)。
現に、(私を含め)1頁程度しか書いていないのにAがついている方もいれば、大量に書いてAがつかない方もいます。そうするとやはり、日頃から1頁程度に収める訓練をしておくことが有益でしょう。
1頁程度じゃ収まりきらない場合には重要なところ(争点)だけ厚く書き、細かい主張等については軽く触れる程度にすれば良いのではないでしょうか。その見極めは、過去問とその解説解答によってある程度分かると思います。

以上です。ご覧いただきありがとうございました!皆さんの勉強の参考になれば幸いです。それでは。

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