落合陽一 日本再興戦略 読後メモ

昨年の 12 月ぐらいに同僚から Weekly Ochiai の動画をいくつかシェアしていただきまして、それをきっかけに彼と彼の思想にのめり込んでいきました。
世間でも話題になっていたのは知っていたのですが、アーティスト色が強いのかなと思っており、積極的に調べることをあまりしてきていませんでした。

同僚に感謝です…





さて、Weekly Ochiaiを観ていれば彼の言わんとする事はなんとなく分かりますが(「日本再興戦略」というワードも出てきますし)、一度体系的にテキストとして読んでおきたいということもあり「日本再興戦略」を手に取りました。

ここでは、個人的に改めて刺さった箇所を引用しつつ、ひとこと思うところを記述していきたいと思います。

「何のために英語を勉強するの?英語を学んでどうしても海外の人に伝えたいことがあるの?」
発信する内容もないのに、英語を学んでも意味はありません。むしろ、グローバル人材という言葉が広がったことで、グローバルに話ができるトコロテンみたいな人(右から左に流すだけの人)が増えただけで、その分、実はコミュニケーションスピードが遅くなっています。

あとでも出てきますが、AI がリアルに代替し始めたというのがここ1〜2年くらいの体感でしょうか。
Google が DeepMind 社を買収してから、一気に加速し始めたような気がします。
Google が DeepMind 社の買収を行ったのが 2014 年 1 月。Google 翻訳の精度が急激に上がったのが 2016 年 11 月。そして、昨年から今年にかけての AI 代表格である AlphaGo、AlphaGo Zero の開発を牽引しているのはもちろん DeepMind 社です。

少し話が逸れてしまいましたが、AI による翻訳はここ数年で急激に進化してきています。
果たして、お互いが母語でコミュニケーションを行えるようになるまであとどのくらいの時間が必要なのでしょうか。

これについては、また後述します。

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結婚式、婚約指輪について言及した流れから、

こうしたよくわからない洗脳を可能にしたのが、限定チャンネル数による地上波という強力なシステムです。

洗脳と言ってしまうと、各所から何かが飛んできそうですが、個人的にはこのような文化圏で生きることを楽しむほうが良いのかなー、と思ってます。
限定チャンネル数であるが故に、トレンディドラマの流行に世間が大いになびいたり、少ないコンテンツを大勢が楽しむ文化ができたのかな、と。
「バルス」で Twitter が落ちたりするのは、そういうことなんだろうと思います。

ただ、たしかに無自覚であるというのは少々危険かもしれません。マスメディアに踊らされているということは自覚した上でコンテンツを消費する。ある程度客観視できると良いですね。

論文では、しっかり言葉の意味を定義し、5W1Hを意識しながら書き進めるので、よく推敲された論文は最近の機械翻訳ではおおむね完璧に訳せます。

話が前後してしまいますが、翻訳の話に戻ります。

進化後の Google 翻訳はまさにこれで、正しい日本語の文法で書けば、かなり正確な外国語が出力されます。
ここで大事なのは、正しそうな出力を探りながら、入力を変えていくという、ひとりフィードバックループです。出力となる外国語が英語であれば、自分も多少なりとも理解できるので、これなら問題なく意味が通じるであろうという文が分かります。

そのように入力となる日本語の文章を書いていくと、どうしても 5W1H からは逃れられません。落合氏も書いていますが、日本語は主語を略すケースが非常に多いので、明示的に主語を意識して書くのはもちろん、その前に認識するということが大事です。

今後は「訳せない」こととは、考えがまとまっておらず、コミュニケーションが取れないことと同義になる

なので、まずは母語でロジカルな文章が書けないということは当然外国語も書けないということになります。

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「東洋はかっこいい」ーーそう僕たち自身が思えるように、そういうイメージをブランディングするようになれば、日本企業は未来の競争にもきっと勝てるはずです。

「マインドフルネス」という言葉が日本にやってきた時、なんとなくかっこよさを感じたことはないだろうか?
しかし、中身を紐解いてみると起源は仏教だったりします。(このあたり全く詳しくないので間違っているかもしれません)

日本人は横文字に弱い、というのは本当かもしれません。気付かないうちに、文化を逆輸入することになっていたりするものです。

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Airbnbについても、「こんなサービスはなじめない」と言う人がいますが、頭ごなしに否定するのではなくて、むしろ「自分のマインドセットが今風ではないのではないか」と疑ったほうがいい。そういう新しい価値観を受け入れていくほうが生きやすい。

これには完全に同意で、老害が老害たる所以はこういったマインドセットの切り替えを行わない頑固さにあると考えている。結果的には、周りも自分も生きづらくなり、誰も幸せにならない状態になる。

新たな文化を作っていくのは基本的には若者からである。自分がさらに年をとっても、なるべく柔軟に価値観を変えられるように訓練をしておきたいと思っている。

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トークンエコノミーが広がると、これから面白い開発が行われる自治体ほど、いいビジョンがある自治体ほど、お金が集まるのです。

ふるさと納税にも言及しており、なるほど確かにビジョナリーな自治体にお金が集まるロジックは理解できる。
ただし、現在のふるさと納税は納税者へのあまりにも分かりやすいインセンティブとなっているため、可能性に投資するという発想にまでは至っていない。
今後、より良い仕組みにアップデートされていくことを期待している。

ここで追求すべき指標は、個々のプレーヤーの時価総額ではなく、市場全体の規模感です。1社の時価総額を上げて、そこで株式を売り払ってお金持ちが生まれるというゲームではなく、どうやって人類全体のためになるゲームをつくれるかということです。

同意。利己主義同士が集まり、各々の利益追求に走ってしまうと、マーケットの信頼が失われる可能性が高い。
「人類全体のためになるゲーム設計」がしっかりとなされたマーケットの登場が待たれる。仮想通貨における、PoWやPoSに代表されるアルゴリズムがそのマーケット全体を支えていくような、自然な仕組みが入るとうまくまわる。

2024年ぐらいには中国のGDPがアメリカのGDPを超えると予測されています。また、インドも急速な勢いで成長します。2022年には、インドの人口が中国の人口を超えて、2035年にはGDPもインドがトップになると言われています。

アメリカの GDP を追い抜くのは時間の問題で、ソフトウェア産業も中国の台頭を多少感じることがある。
どういうときに感じるかというと、GitHub の Trending を定期的に観察していると、README がすべて中国語で書かれているリポジトリを見かけるようになった。Trending に入るロジックがおそらくスター数だと思うので、中国語が分かる人口が単純に増えてきたのだな、と感じる。
そして、数は強さに直結するので、デファクト・スタンダードも取りやすくなる。
もうしばらく後に、中国の一人っ子政策のツケが 2030 年代に回ってくる。その頃の日本人の人口は約 1 億人とちょっと。インドが台頭した後はアフリカが来る。まだだいぶ先だけども。

リーダー2.0の時代のリーダーは、すべて自分でできなくてもまったく構いません。何かひとつものすごくとがっている力があればよくて、足りない能力などは参謀など他の人に補ってもらえばいいのです。リーダー2.0時代のリーダーのひとつ目の条件は、「弱さ」です。共感性の高さが求められるのです。

自分が「弱い」ということを伝えるのには勇気が入ります。ただ、人間にはそれぞれ強みもあり弱みもあるということを認識した上で、自らの弱みを認めることができる人間には、安心して自分の気持ちの内を話すことができるのではと考える。
共感性の高さ、自分はあるほうだと思うので一度チャレンジしてみたいとは思う。

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これからほぼすべての日本人は百姓になります。百姓とは100の生業を持つ人という意味ですが、ひとつの職業訓練を受けて永遠にその職業についていれば大丈夫という考え方はなくなるということです。これからの時代は、あらゆる人が、職業のポートフォリオを組みながら、暮らしていくことになります。

私は幸いにも 20 代前半の時の師匠みたいな人に出会うことができた。いつだたか、働き方のアドバイスをもらったときがあったのだが、「できることをリストアップしてごらん」「その組み合わせの希少性が価値になる」といった内容のことを教えてくれた。
できることリストに項目を増やしていく、ということがポートフォリオを組むことだなと改めて感じた。

高校生で将来の進路を選ぶのは早すぎます。ポートフォリオ教育をして転職可能性を意識させるべきです。

私は高専に入学すると決めた 14 歳より前からプログラマもといエンジニアになりたいと決意が決まっており、将来の進路は疑う余地がなかった。
しかし、私のようなパターンは稀であることは認識している。また、それが間違っている可能性だって大いにあった訳だ。

ポートフォリオ教育をするのであれば、まずは中学生のタイミングでよりリアルな労働について知る機会が必要と感じる一方で、中学生がそこまでリアルに労働について想像力が働くかと言われれば、甚だ疑問である。

具体的な手法については書いてなかったように思えるので、今回は割愛。

個人として、ストレスマネジメントのために力を入れているのは、筋トレです。
なぜなら筋トレを楽しくできるくらいのメンタルがあれば、それは病的なメンタル状態ではないと推測できるからです。だいたいメンタルを壊してしまった人は、まず筋トレをする気がなくなってしまいます。

たしかにメンタルがやられているときなど、体を動かす余裕など真っ先になくなる。メンタルのバロメータに筋トレを設定するのは適切かとは思うが、周りに誰かがいて、気付いてあげられることがどちらかというとストレスマネジメント、メンタルケアの観点から言うと大事に思う。

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本の最後にこの一節が引用されている。これは個人的にかなりグッとくる Tweet である。

熱を帯びているように見えて、視線は遙か先を見据えている。そんな印象を抱く。目先の事はとても大事だし、一歩一歩着実に成果を出し続けるしかないのだが、まわりの一挙手一投足に惑わされず、淡々と進むこと。
さらに、今の時代はゲームのルールが簡単に変わる。昨日までこうだと思っていたものが今日は別のものになっている。そんなことは容易に起こりうる。

しかし、過去のゲームルールに固執していると、正しいゴールにたどり着けなくなる。客観的な視点を忘れずに、自分がたどり着きたいゴールへ向かおう。

総括

現在の日本をネガティブに捉えるのではなく、客観的事実から極めてポジティブでチャンスに溢れていると、リフレーミングされた。

日本を脱出していく小金持ちが溢れる昨今、落合氏の日本への愛を感じた。
願わくば、その愛が途切れないような政治であり、世間であり続けて欲しいと。

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