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飯伏幸太の未来探し

飯伏幸太選手について考えてみる。

顛末などは省くが、2021年10月の試合中で右肩脱臼の大怪我を負い欠場、治療期間中の今年1月に新日本プロレスを退団、現在はフリーとして活動中だ。いや、活動中ではあるが、試合が見られないというのが現状である。
3月末にアメリカで復帰戦を行い、その後も海外で数試合のみ出場するものの日本での活動はなかった。が、8.4 GLEAT両国大会で1年10ヶ月振りとなる国内復帰戦に挑むことになる。ようやく、帰ってくる。
欠場の原因である右肩の怪我は完全に回復することはないとのことだが、その数少ない海外での復帰後の試合映像を見ても動きに大きな制限がある様子はなく、その点はひと安心といったところか。
退団後、数多くの団体やプロモーションからオファーがあったというが、日本の会場で飯伏の試合を見ることすらままならず、現時点では今後の試合やプランについての発表や告知もない。新日本退団までの経緯に複雑な心境になった方も少なくはないと思え、復帰したとはいえファンには何とも言えぬもやもやした感情が芽生えているのも事実。この焦らしも飯伏なりのテクニックであり作戦のひとつかもしれないが。

私は飯伏幸太が好きだ。
この選手のキャラクターも試合も好きだ。
誰が相手でもどんな場所でも何度でも見ていたい。その回数が限られているならなおさらだ。
だからこそ、今の飯伏にはもどかしさを感じてしまう。自由になったことで逆に不自由になってはいまいか、と。
なので、ここからの飯伏幸太がどうなってほしいか、その未来への望みを幾つか、無礼を承知で挙げておく。

プロレス界での飯伏需要は今も変わらず続いている。対戦を希望する選手も招聘したい団体も数多いのは間違いない。
ただ、動員も露出度も高い新日本という団体に所属しトップまで昇り詰めたことで、飯伏の試合を見たことがない層が薄くなっているのかもしれない。
デビューから数年間はDDTに籍を置きながらも、その話題性から他団体出場の機会も多く、そこではじめて試合を見た人から「とんでもない選手が現れた!」という衝撃と新鮮さを与え続けてきた。
その後もあらゆるマットあらゆる場所で試合をし、紆余曲折を経て新日本の頂点を極めたことで、飯伏個人のストーリーがひと段落してしまったのかもしれない。一般的なファンはそこまで見届けたことで満足してしまった感も考えられる。
ただ、飯伏の魅力は、抗争や因縁に関係なく、強烈な刺激の、誰が見ても盛り上がれるプロレスを見せてくれること。そして、まだまだ対戦経験のない選手とのドリームマッチも残されていること。どれだけキャリアを重ねても新鮮な存在なのだ。
大人の事情や個人の意向もあるかもしれないが、それが可能なフリーの今だからこそ残された夢の対戦を実現させてもらいたい。年頭にムタ×中邑という驚愕のカードが実現したのだから、不可能なことはないはず。一度でいい。ドリームマッチは二度なくて良い。
それができる今の環境なら、むしろ飯伏に追い風が吹いているような気もする。幾つもの団体を掛け持ちし各主力選手と対戦し続けるような、今の日本プロレス界にはないタイプの新しい契約が飯伏によって生まれるかもしれない。

各団体への単発参戦を前提に書いたが、もし長期且つ定期的な参戦ができるなら、願わくはAEWで戦ってほしい。いや、AEWに所属するケニー・オメガとの物語の続きが見たい。
ふたりの関係とここまでのヒストリーは、世界に誇れる素晴らしい大河ドラマ。7月のAEWのリングで一度その続きが実現しているが、それはあくまで特別編。アニメで喩えるなら劇場版。まだ完結していない粘っこいくらいに濃密なこのストーリーは必ず繋げなければいけない。
正直、私はこの飯伏とケニーのドラマのゴールを、できればハッピーエンドを、この目で確認するまでは死ぬに死ねないと思っている。
何年間もアメリカで生活するのも契約に縛られるのも苦手だと思うので、半年間でも良い。その期間は徹底的にゴールデン☆ラヴァーズとしての未来を見せてもらえたら最高である。それを待ち望んでいる人たちが世界中にたくさんいるので。

それと、復帰時に噂になったMMA挑戦、RIZIN参戦。こちらは賛成ではない。私が見たいのは飯伏幸太の「プロレス」なのだ。
もし総合格闘技のリングに上がるなら、いつぞやのK-1興行のように、4本のロープに囲まれたリングでグローブをはめたまま中澤マイケルとハチャメチャな人体実験的プロレスをしてほしい。ルールに縛られた飯伏は求めていない。

来年2024年は自身のデビュー20周年。過去最大の仕掛けや試合が組まれるかもしれないが、それがどれだけ大きい規模でも、どれだけの人が見る試合でも、まず今はいつもの飯伏幸太を見たい。飯伏しか出せないあの輝きを摂取したい。
これは所謂、飯伏不足の状態。まずは食べ慣れた定食で良いから栄養バランスの整ったもので満足させてもらえると気持ちも潤って救われるのだ。


…と、ここまで硬めの文体で長々と「今の飯伏がもどかしいのさ!」「こうしたらどう?こうしてほしい!」と書いてきたんですけどね、きっとそういう回りくどさじゃねぇな、と。
飯伏さんは「プロレス界の異端児」ではなく、「大人になっても変わらない異端児がプロレスやったらこうなりました」という唯一無二な存在なんですよ。
法に触れたり罪に問われる可能性があるので好き勝手とはいかないまでも、リングでもキャンプ場でも本屋でも交差点でも無人島でも、自由にやっちゃってください!が許されるんです。飯伏さんは。
伊集院光さんが「凄い。ど素人の僕にもセンスが伝わる」と飯伏さんの試合を初観戦したときに評していました。そんなプロレスが出来るのは飯伏さんだけです。
さくらえみ選手が「夢が人の形をしている」と飯伏さんが躍動する姿を見て称していました。飯伏さんだけは自由でいてほしいのです。夢っていうのは自由なんだから。

結論としてはですよ、
飯伏幸太のプロレスが見たい!
もっともっと見たい!
まだまだたくさん見たい!

ってこと、それだけです。今は。
まずは今夜のGLEAT両国大会での国内復帰戦。
そしてその先も、逃げずに負けずに諦めずに、見届けます。想像が追い付かない、そんな未来の飯伏さんに期待も込めて。
そうすれば「飯伏幸太しか創り出せない飯伏幸太のプロレスを見られる時代に生きていて良かった!」と私たちも幸せになれる未来しか待っていないでしょう。

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