「この世界の片隅に」を見て

ずっと気になっていた映画「この世界の片隅に」をついに見ました。

見る前は、絵や雰囲気からほのぼのとした映画かと思っていました。

もちろんほのぼのと心癒される日常を描いたシーンもありましたがそれと同じくらい心揺さぶられるシーンも、見ていられないほどつらいシーンもありました。この両方のシーンを丁寧に描いている点がこの映画の素晴らしいところだと思います。

ただ辛いだけの戦争映画でなく、日常の中のささやかな幸せを喜び、大切にしている様子を細やかに描いたことで、すず達が必死に生きる姿はこれまでにないリアリティをもって我々の心に訴えかけてきます。

戦争や貧困から遠く離れ、毎日満たされ安心して眠ることの出来る時代に生まれた僕にとって、襲い来る悲劇の中にあっても日常にある幸せを見出し穏やかに生きるすずの姿に、自分が見失ってきた多くのものに気付かされました。

経済的に豊かになったはずなのに、誰も彼もが悩みを抱えるこんな時代だからこそすべての人に見て頂きたい素晴らしい映画です。