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フラクタル

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 夢の中で私は、爆発の衝撃で目の前に落ちてきたタブレットを使い、自らをスキャンした。救世主メンバーを探す彼の手持ちのスカウターは私を、「非対象、女性、排除せよ」と表示していた。私は男だ。なのになぜ「女性」と表示される?メンバーに相応しく無いはのは分かるが、排除せよだと?少なくとも私はこの世界の良心的な住民なはずである。
 そもそもこの数名の部隊は何者なのだ。装備は電子銃らしきものとスカウターと通信機。排除される理由を知りたい。私は彼に詰め寄った。
「これはどういう意味か教えてくれないか?私は男であるし、排除される道理はない。このスカウターは故障しているのではないのか?」
 部隊の彼は言葉を発しない。
「秘守義務か?私を排除するのか?」
 淡々と作業をこなす部隊は2人、いやもう数名いるのであろうか。連絡を取り合う彼らは爆発の中心部を目指しているのか、何かのターゲットを捉えているように見える。そのお陰でおそらく私を排除せよの指示は後回しなのであろうか。これは少しまずい事になった。これから私は彼らに捕捉され続ける事になるのは少し気が重たい。などと考えている内に私は目を覚ました。
 夢か…久しぶりの明晰夢だ。疲れすぎていると正確な明晰夢は見る事ができない事を、最近私は知ったのだが、適度な疲労と快適な睡眠こそが夢見の極意と心得ている。
 アニメの影響で、ネオ東京と呼ばれるこの街の暮らしにもすっかり慣れて、最近では散歩なる余暇を過ごす技も身につけている。
 下町の運河と海の匂いのする、この沿岸部が私のお気に入りである。夜はことさら繁華街の喧騒と、どこか懐かしい赤提灯の横丁が並ぶ帰り道。幼心から好きであった酒蒸しの甘く麗しい香りに郷愁を感じて私はいつもの店の暖簾を潜った。
 その後家に帰るまでの記憶は曖昧であるが、またいつものように平穏な休日が訪れるはずであったのだ。
 再び同じ夢の中の、同じシチュエーションに出会うまでは…

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