_まいそわ

植物が育つ姿と彼らが育つ姿を重ねる

Share Re Greenの瀬戸山です。
最近、少し暖かくなってきて、午前中は畑で土を耕しています。大きな耕運機は入れないようなところなので、小さな耕運機でコツコツと。土のあたたかさを感じられるお昼どきの土仕事は、ホカホカして好きです。

さて、今回のタイトルですが、僕が畑をいじりながら「誰か」について考えているという意味ではありません。
このタイトルは、僕も関わらせてもらっている友人のバンドとそのファンのみなさんとの素敵な関係の物語です。

そのバンドの名前は、HIP BEAN SPROUTといいます。
いま、バンド自体は活動休止中ですが、ボーカルの森智仁くん(以下、森くん)は、個人でアーティスト活動をしていて、最近ではクラウドファンディングを活用して、面白いプロジェクトをしています。※そのプロジェクトの紹介は最後に!
もともと僕は、ギターの長谷川慶くん(以下、慶くん)が大学の友達で、バンドのはじまりから陰ながら応援してきました。

2018年5月、その慶くんから連絡をもらいました。
「8月に渋谷WWWでライブ決まったから、コラボの話実現したい!」

詳しく話を聞いてみると、彼らのバンド初の全国ツアーがはじまり、その最後のライブが渋谷WWWで、ツアーおよび新しくリリースしたアルバムのタイトルが「the sower」(タネを蒔く人)ということもあり、農関係の仕事をしている僕と「ライブ特典」の企画でコラボしたい、ということでした。

それを聞いて僕はどうしたら良いかと悩みましたが、「仕事や文化に農をインプットしてアップデートしたい」とぼんやり描き始めていた時期だったので、

「じゃあ、ライブにきてくれたお客さんと一緒に花を育てようよ」

と提案をしました。
お客さんにポットと土、タネをプレゼントし、その成長過程をSNSで共有してもらうという企画。バンドのメンバーもそれぞれ同じ植物を育て、ファンとバンドが時間・コトを共有する、というイメージでした。

そこから、森くん、慶くん、ドラムの江原千大(江原さん)、元メンバーのベースの方を含めたバンドメンバーと何度か打ち合わせを重ね、#マイソワをハッシュタグに決め、育てる植物もヒマワリに決まり、ステッカーも作成して、それぞれの備品、タネ、土も手配し、ライブ当日を迎えました。

素晴らしく熱狂したライブ。彼らの歩んできたプロセスが反映されて、もはや、いちファンとして感動していました。

さて、ライブが終わり、僕にとっての本番はこれから。


ファンの皆さんは、果たして、ライブで配布されたタネをわざわざ植えてくれるのか。そして、ヒマワリとバンドへの愛着をもって育ててくれるのか。
ぶっちゃけた話、「誰も育ててくれなかったらどうしよう。。。いくつかツイッターのアカウントつくって自分でハッシュタグつけてツイートするか。。。」と考えて、2つアカウントをつくったほどでした。

そして、ドキドキしながらツイッターを開いてみると、

あぁ、よかった。
何人ものファンの方が、タネを蒔いて芽が出た写真を投稿してくれていました。無事に芽が出たということで、まずは安心しました。

さて、月日は流れ、渋谷WWWでのライブから約半年、ちょこちょこツイッターの#マイソワをのぞいてみると、

無事、ヒマワリは咲いたようで。よかった、、、ホッとしました。

実はこの約半年間、HIP BEAN SPROUTにはいくつもの大きな変化がありました。メンバーの脱退、活動休止、森くんのソロライブ、などなど。彼ら一人ひとり、きっとこの上ないくらい悩んで進んで、それぞれの道を進み始めた、バンドとしても、そしてファンとしても、山あり谷ありの日々だったように思います。

そんな日々を暮らしながらも、ファンの方々はヒマワリを育てつづけてくれました。どんなおもいで、毎日水をあげつづけてくれたのか。正直、HIP BEAN SPROUTのファンにとっては、悲しいことの多い時期だったのではないかと思います。

育っていくファンの方々のヒマワリの投稿を見て、
「ああ、もしかしたら、HIP BEAN SPROUTとは切り離して、ヒマワリはヒマワリとして愛着をもって育てているのかな?」
という考えが浮かび、「ファンとバンドの一体感が生まれる」という当初の考えはハズれたかなぁと、頭によぎりました。

2019年2月11日。この日は、新宿Marbleでボーカル森くん主催のイベントMORI FES。今回Share Re Greenは、ケールビールやスムージーカクテルを販売させてもらいました。そして、このイベントでは、久々に、脱退したメンバー以外の3人がそろって、HIP BEAN SPROUTの一夜限りの復活の日。
会場の熱は、最高潮。盛り上がりまくりました。
またもや、いちファンとしてジーンときました。

演奏の合間、MCのときに、
「今日は、#マイソワでコラボした、Share Re Greenがケールのカクテルを販売してくれています!」
と紹介してくれたこともあり、ライブ集合後、カクテルのブースにも人だかりができました。

そして、本当に、たくさんのファンの方が、スマホのヒマワリの写真を僕らに見せてくれました。
多くの方が、「ヒマワリ育てるの楽しかったー!」と言ってくれて、そこから会話をし、

「水あげるときとか、毎日どんなこと考えていましたか?」
と質問すると、ほとんどの方が、

「ヒップ(HIP BEAN SPROUT)のこと考えてたよー!」
と答えてくれました。

音楽をかけなくても、ツイッターを見なくても、必ず毎日HIP BEAN SPROUTのことを考える。


そして、
「一回しょんぼり枯れかけてたけど水をあげたら元気になってさ!」「ヒマワリの成長がすごく早く感じたよー」「1本でも綺麗に咲けーって願掛けしながら水あげてたよ(笑)」
などなど。

まるで、「ヒマワリ」を比喩にして、HIP BEAN SPROUTというバンド、そして彼らの姿に重ねているような言葉の数々が。その「おもい」「願い」の強さは、単なる「ヒマワリ」に対するそれとは違いました。

ヒマワリの成長と彼らの成長を重ねて、「おもい」が大きくなり、「希望」が続き、「育てる」ことに愛情をもてる。


何よりも、僕自身が、まさにヒマワリを通して、彼らの歩みを観察していました。ヒマワリの5粒のタネのうち、1本でも綺麗な花をつければ、きっとカタチは違えど、彼らの面白い人生はこれからも続く、と。


僕らは、このように「農」の仕組みや行動様式などの要素を仕事や文化・シーンにインプットして、どのように日常をアップデートできるのか、ということを研究・実験しています。このことをAgrification(アグリフィケーション=“農化”)と読んでいます。
今回は、「植物を育てる」ということの「愛情を育む」行為をバンドとファンという関係性・音楽シーンにインプットして、少しだけ、日常に良い変化を起こせたのではないかと振り返っています。

最後に!
コラボさせてもらったHIP BEAN SPROUTの森くんが面白いプロジェクトを立ち上げて、クラウドファンディングを立ち上げたので、こちらも応援、よろしくお願いします!


Share Re Greenの活動に興味がある方、Agrificationに興味がある方、ぜひご連絡ください。
MAIL : g.d.share.t.y.y@gmail.com

忙しくて「消費」になってしまいがちな朝食を、コミュニケーション溢れる「楽しみ」な時間に。野菜ペーストでつくった「やさいクリーム」を開発し、パンに絵を描く「やさいのキャンパス」という「美味しい絵の具」のようなプロダクトを開発中。いつかはラオスのフォーサイ村で製造したい!