ノーって言うたらアカン
昔働いていたお店の店長が、ホテルのフィットネスルームにいたことのある方でした。
おしゃれでいつもバシっと決まっててミニスカートのよく似合う方でしたが、内面はザ・京都人でりこ妻さんちょっとえぇか?と綺麗な京都弁で指導されることが多々あり、言葉の柔らかさとは裏腹の厳しさに何度も震え上がりました。
ある日、店長が以前働いていたホテルでのお話を聞く機会があり、新人はとある部署のベテランパートさんにあめちゃんを渡されたら一人前だとか、ホテルの裏側などをおもしろおかしく教えて下さいました。
その中で一番印象的だったのが「ホテルスタッフはお客様の要望に絶対ノーと言ってはいけない」です。
些細なお願いから無理難題、理不尽なことを言われてもかしこまりました、と笑顔で返すのです。
同い年の同期と私がなかなかの問題児で、同期は一度無断欠勤して辞めそうになったところを店長と部長で引き止めて戻ってきてもらったり、私は人の話を聞かないことでありえないミスを繰り返し、その度に店長にフォローしてもらっていました。
その問題児二人に店長が続けます。
「うちで働いているスタッフにもお客様にノーって言って欲しない。出来ることは全力でやってあげて欲しいねん。どうしても無理な場合は私に振ってくれたらなんとかするから、ノーって言うたらアカン」
店長とは2年足らずしか一緒に働いていなかったのですが、この教えはその後の私が仕事をする中での大きな指針となりました。
出来るか出来ないかではなく、まずやってみて、出来そうにない場合は誰かを頼ることを実践できるようになりました。
社会人4年目で浮ついていた時期に、ほうれんそうを教え込んで下さったのもこの店長でした。
最後は経営母体が店から引き上げることになり、店長がお店を買い取って今も運営されています。
チキンだった私は厳しい店長が経営者となられて、その下ではのらりくらりと働くことはできない。。。と経営母体が変わったタイミングで退職させてもらいました。
働いた時期は短かったけれど、今でも思い出に残る職場です。
仕事のやり方や方向性で悩んだときは、あの時の店長のノーって言うたらアカンを思い出すようにしています。
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