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2018年度人工知能学会全国大会に行ってきました

弁護士ドットコムでは法律と技術の組み合わせで問題解決を行うリーガルテックに力を入れています。自分はその中でも人工知能関連技術の活用を担当をしているので、動向調査などを目的として、2018年度人工知能学会全国大会(以下、JSAI2018と記す)に参加してきました。

JSAI2018 は、2018年6月5日(火)から2018年6月8日(金)までの4日間、鹿児島県鹿児島市の城山ホテル鹿児島で開催されました。城山ホテル内に17の会場が設けられており、開催期間中の多くの時間帯において全ての会場でセッションが並行して進められていました。研究成果の発表を行う一般セッション・オーガナイズドセッション、企業の取り組みを発表するインダストリアルセッション・ランチョンセッションの他、チュートリアルセッションなども行われました。全世界的に人工知能分野に注目が集まっていることもあり、発表の総数は800を超え、運営からの速報によると参加者数は過去最高の2,572人ということで大盛況でした。

参加したセッションについて

初日のプログラム(リンクが切れたときのためにスクリーンショットをアップロードしました)を見てもらうとわかりますが、前述したとおり多くのセッションが並行して進み、研究発表の場合はセッションごとにいくつかの発表がされます。ということで、どのセッションを選ぶかというのはなかなか難しくなります。自分は以下の基準でセッションを選びました。

・対話システム関連のもの
・機械学習関連のもの
・ランチョンセミナー
・基調講演など
・各種チュートリアルセッション
・企業の取り組みについてのセッション
・インタラクティブセッション(ポスターセッション)

他にも面白い話はたくさんありましたが、特に印象的だったものを簡単に書いておきます。

対話システム関連
自分は対話方式で交通事故の過失割合を算定する機能の開発を担当したこともあり、対話システムに関するセッションや発表をいくつか聞かせてもらい、より興味を強くしました。交通事故の過失割合については特定の用途に特化したものなので「タスク指向型対話システム」に分類されるだろうし、ユーザーに対しても自由入力ではなく選択肢からの回答となります。この分野では雑多な話題についての対話を目指す研究がいくつかあり、人工知能研究者たちはそちらを目指しているのかなと感じました。

ランチョンセミナー
AWS のランチョンセミナーと電通のランチョンセミナーに参加しました。AWS のランチョンセミナーでは、「研究者は研究に集中しサーバーの管理などその他の雑務は AWS を使うことで解消しよう」というメッセージが発せられていたと感じました。特に Amazon SageMaker の紹介は人工知能学会の参加者により訴えかけたのではないかと思いました。
電通のランチョンセミナーでは、 AI MIRAI の活動の紹介がされていました。人工知能のクリエイティブな分野への応用として、広告コピーを生成する AICO は画期的な存在ではないでしょうか。

人工知能は未来の経済をどう変えるか?
招待講演の「人工知能は未来の経済をどう変えるか?」では駒澤大学経済学部の井上智洋准教授が人工知能と未来の経済、人工知能とベーシックインカムについてのお話しされました。技術も経済政策も世の中にインパクトを与えますが、人工知能とベーシックインカムとを合わせて考えたことはなかったので面白いと思いました。講演を聞いた後で人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊を購入して帰りの飛行機で読んでみました。

計算社会科学におけるWebマイニング
東京大学大学院の鳥海不二夫准教授のチュートリアルセッション「計算社会科学におけるWebマイニング」では、実例を用いた計算社会学の紹介(恵方巻きがいつ頃から流行り出したかをクックパッドのデータから抽出、日本三大がっかり名所をTwitterのデータから抽出など)がされたり、データ取得にまつわるノウハウが話され非常に面白かったです。こうして発信されると企業としても共同研究などの取り組みがしやすそうに思いました。
発表資料が公開されているので、一度見てみることをお勧めします。

まとめ

普段の業務から離れて4日間たくさんの話を聞くことができて、大いに刺激を得ました。来年の全国大会は新潟で開催予定とのことですが、当社からも何か出せるように頑張ろうと思いました。

おまけ

以下に何枚か写真を掲載します。ちなみに本記事冒頭の写真はホテルの中庭から見た桜島です。 JSAI2018 開催期間中は梅雨入り直後だったこともあって、残念ながらカラッと晴れて桜島がくっきりと見えることはありませんでした。ちなみに撮った時には気づきませんでしたが、山の上のもくもくしているのは噴火の煙のようでした。

ホテル正面に設置された JSAI2018 のポスターです。大会ポスターのデザインについてによると

今年の人工知能学会全国大会のポスターは、「飴」をモチーフにデザインしました。飴は脳の栄養の象徴です。本大会での様々な講演や展示、そこでの様々な出来事が、来場者の皆さんの知能の栄養となり、人工知能の未来にわずかでも貢献できるように。今回の大会への意気込みと願いを込めてデザインしました。

とのことです。

展示ブースでは南国白くまが振る舞われていました。美味しく頂きました。

天気はあまり良くなかったのですが、折角鹿児島まで来たんだからと思って最終日の閉会の後でフェリーに乗って桜島に行きました。桜島フェリーは鹿児島港と桜島を結ぶフェリーで大人片道160円(2018年6月現在)でなんと24時間営業しているということです。

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