異国惑星ガイド階層構造社会編

塔の頂は天の膜を突き抜けて、他の塔どもと癒着している。

(昇降機は止まり、眼下にけぶる町並みが見える)

高いところとはすなわち王の居所だろう。塔は柱だ、支える天井は地上にとって文字通りの天だ。……ああ、追放の噂を知っているか。星の地表を覆う淀んだ空の果ての天、『外殻』はパージの向こう側だと。冷たい空気は凜と澄み、生き物の肺に閉じ込められたことのない処女空気があたりを埋めている。王たちは温く暖められた地上から押し出された。そういう話だ。

(目の前の男は笑ったようだ)

さて、地底は星の懐だ。母なる胎の中は暗く湿っている。肉の腹はぐずぐずと温かい。温かく、何よりも眠りに近い。胎に抱かれたまま眠りについたものも多い。不思議なものだ。生みの親の腹を掘るのが『よい』のか、それでも住民は隙間を広げていく。俺のときは……いや、ああ、どこへ行きたい。どこへでも案内できる。

(目を伏せた男は被せるように言った)

(続く)


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