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BUCK-TICKとPlastic Treeの類似点・相違点―『見世物小屋』と『サーカス』



はじめに


こんにちは、せつなです。
気づけば6月、もうすぐ一年の半分が過ぎ去ってしまいますね…。
そんな中久々のnote投稿です。

さて、今回の記事は私の2大推しバンドであるBUCK-TICKとPlastic Treeについて書こうと思います。
この2つのバンドには似ている部分がたくさんあると常々思っていたので、2つのバンドを比較しながら共通点・相違点に着目してまとめていきます。



今回取り上げるバンド紹介


まずは今回取り上げる2バンド、BUCK-TICKとPlastic Treeの紹介から始めます。


BUCK-TICK

1987年メジャーデビュー。
メンバーは櫻井敦司(ボーカル)、今井寿(ギター)、星野英彦(ギター)、樋口豊(ベース)、ヤガミトール(ドラムス)の5名。
デビューから30年以上メンバーチェンジをすることなく、現在も音源リリースやコンサートなど精力的に活動している。
櫻井の深淵な歌詞とその世界観を表現する演劇的パフォーマンス、今井の独特なポップセンス、それらを支える楽器隊の演奏力が特徴。


『MOONLIGHT ESCAPE』(2020/8/26発売)



Plastic Tree

1997年メジャーデビュー。略称は「プラ」「プラトゥリ」。
何度かのメンバーチェンジを経て、現在のメンバーは有村竜太朗(ボーカル、ギター)、長谷川正(ベース)、ナカヤマアキラ(ギター)、佐藤ケンケン(ドラムス)の4名。
ヴィジュアル系の中では珍しいUKロックやシューゲイザーなどに影響を受けた音楽性で、有村の浮遊感漂う歌声、この世の無常を感じさせる世界観などが特徴。


『潜像』(2019/9/4発売)



2バンドの共通点


ここからはBUCK-TICKとPlastic Tree、両バンドの共通点を挙げていきます。


①楽曲の世界観

先ほどのバンド紹介の項でも書きましたが、BUCK-TICKとPlastic Treeはどちらも独自の世界観をもったバンドだといえます。

BUCK-TICKの楽曲の根底にあるものは「愛」と「死」。
特に櫻井さんが書く歌詞のほとんどはこの2つのワードがテーマになっています。
「愛」と「死」というのは、どちらも人間の本質を表すテーマだといえます。
「愛」=生の欲求(エロス)と「死」=死の欲求(タナトス)は対立関係であると同時に表裏一体の関係でもあります。
どちらか一方が強くなれば、もう一方も強くなっていく。
するとそこには大きな葛藤が生まれます。
櫻井さんはその葛藤を自分自身にぶつけ、流れた血で言葉を紡ぐのです。
そうして生まれた言葉には、リアルな痛みと共に退廃的な魅力が宿っています。

一方、Plastic Treeの楽曲のキーワードになるのは「無常観」。
かたちあるものはみんないつかはなくなってしまう。 楽しかった時間もいつかは終わってしまう。 大切な思い出もいつかは忘れてしまう。 大好きだった人たちともいつかは別れてしまう。
諦めにも似た「無常観」。 それがPlastic Treeの楽曲に漂う哀愁、せつなさ、やりきれなさにつながっているのだと思います。
しかし、そうした無常の中でも変わらないものがあります。
たとえ形を変えたとしても変わらない、本質的なもの。
それが「枯れない樹」(=Plastic Tree)の存在です。

両者に共通するのは、人間の本質的な部分を見つめているということ、自分自身と向き合い対話していることだと思います。
内向的といえばネガティブな表現に聞こえるかもしれませんが、悩みながら自問自答を繰り返したり、思慮の世界へ深く沈んだりといった経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。
そういった経験がある方は、どちらのバンドの楽曲にもきっと共感できるはずです。


②モチーフ

BUCK-TICKとPlastic Treeの楽曲には、度々似たモチーフが登場します。
例えば『パレード』
BUCK-TICKには『LOVE PARADE』、Plastic Treeには『そしてパレードは続く』という楽曲があります。
どちらもパレードがやってきた高揚感とそれが過ぎ去った後の寂しさが感じられる楽曲です。

また、両バンド共に夜が舞台の楽曲が多いため『月』をモチーフにした楽曲もたくさんあります。
中でも『ムーンライト』(表記は違いますが)と『月世界』は同名の楽曲が両方のバンドにあります。

さらに楽曲以外のところでは、ファンの呼び方にも似たモチーフを使っています。
BUCK-TICKはファンクラブ名が『FISH TANK』で、ファンは『FISH TANKer』または『お魚さん』(同じ水槽の中を泳ぐ魚であるという意味)と呼ばれます。
そしてPlastic Treeはファンクラブ名が『JellyFish Breed』で、ファンは『海月』(ファンを音楽に漂うクラゲに例えたもの)と呼ばれます。


③ライブでの演出

BUCK-TICKとPlastic Treeは、どちらもライブでのシアトリカル的演出が特徴のバンドです。
ここでは大きく2つの要素について書こうと思います。

まず1つ目は映像的演出です。
ライブでの演奏中は、どちらのバンドも楽曲のイメージを投影したような映像が背面のスクリーンに映されます。
BUCK-TICKの場合は後ろに映った蝋燭の火を櫻井さんが吹き消す仕草をするなど、映像と一体化したパフォーマンスも素晴らしいです。
Plastic Treeの場合は楽曲の世界を何倍も深めるような映像が印象的で、特に『アンドロメタモルフォーゼ』や『剥製』という楽曲はライブで観ると必ず号泣してしまいます。

2つ目は小道具を使う演出です。
BUCK-TICKのライブではステージ上に仮面がいくつか並べてあり、楽曲によっては櫻井さんが手に取って様々な表現に使用することもあります。
またシルクハットを被ったりステッキを持ったりすることで、より奥行きのある世界観を演出しています。
Plastic Treeのライブでは雨をテーマにした楽曲で有村さんが傘を差したり、真っ暗なステージでランタンを持って歌う演出もあります。

ここまで、両バンドのシアトリカル的演出について書きました。
視覚的な演出は記憶にも残りやすく、より没入感に浸れるものです。
世界観重視の演劇的なライブを行なっている点が両バンドの共通点の1つだと思います。


2バンドの相違点


先程まではBUCK-TICKとPlastic Treeの共通点を探してきましたが、次は両バンドで違う点について、3つ挙げたいと思います。


①バンド内の作詞・作曲者

BUCK-TICKの楽曲の作詞は櫻井さんが7割、今井さんが3割ぐらいの割合です。また、作曲は今井さんが8割、星野さんが2割ほどです。(筆者の体感)

一方、Plastic Treeはメンバー全員が作詞・作曲を手掛けています。
ちなみに、2020年発売のアルバム『十色定理』では、シングル2曲に加えて4人それぞれが作詞・作曲を行なった楽曲が2曲ずつ収録されています。


②音楽的ルーツ

BUCK-TICKの音楽的ルーツはYMOやRCサクセション、歌謡曲など邦楽からの影響が強いようです。
また、デビュー当時の音楽性もBOØWYのようなビートロックが主体だったことなどからも、ジャパニーズロックの系譜の中から生まれたバンドだといえます。

対して、Plastic Treeの音楽的ルーツはキュアーやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ニルヴァーナなどの洋楽にあります。
日本ではあまり馴染みのないシューゲイザーという音楽を取り入れているのも、洋楽に受けた影響が強いからでしょうか。


③ライブ中のMC

BUCK-TICKはライブ中のMCはほとんどありません。
メディア出演の際もあまり話さないので、無口で怖い人たちだと思われがちです。(その分喋った時がかわいいんですけれどね!)

対してPlastic Treeの面々はよく喋ります笑
MCでもいつも笑いが止まりませんw
初めてプラのライブを見た人は「この人たちこんなに喋るの!?」って思うはず。


ここで挙げた相違点は、バンドのオリジナリティに通ずる部分だと思います。
比較してみることでそれぞれのバンド「らしさ」がより鮮明になりました。



以上を踏まえて―『見世物小屋』と『サーカス』


さて、これまではBUCK-TICKとPlastic Treeの共通点と相違点について書いてまいりました。
ここからは、そもそも私がなぜ今回の記事を書こうと思ったかについてお話します。


2021年7月17日、BUCK-TICKがストリーミングライブ『魅世物小屋が暮れてから -SHOW AFTER DARK-』を開催します。

そして2021年7月25日、Plastic Treeが有観客+配信ライブ『Peep Plastic Partition #10 "樹念"特別公演「サーカス」』を行います。

近い期間に2つのバンドが似たモチーフでライブを行うのです。

常日頃から「BUCK-TICKとプラには似た部分がある!」と言い続け、海月さんにはBUCK-TICKを、お魚さんにはプラをお勧めしていた私にとっては、お互いを知ってもらういいチャンス。
ということで、この記事を書くに至りました。


ちなみに、ライブ開催に際して両バンド共に新アー写が発表されました。


雰囲気がめちゃくちゃ似てるんですよこれが!
両バンドとも、シアトリカル的な表現で楽曲の世界観を深めていくバンドだということが分かりやすいですよね。

ただ『見世物小屋』と『サーカス』は似て非なるものでもあって。
それがお互いのバンド「らしさ」を表現するのにとても良いと思いました。

例えば、BUCK-TICKはどこか日本的なイメージがあります。
アー写であっちゃん(櫻井さん)が着物を羽織ってたり。
『”魅”世物小屋』という表記も日本語ならではだと思いますし。
こういうイメージはやっぱり音楽的なルーツが日本の音楽だからなのかなぁと考えてみたり。

逆に、プラは西洋的なサーカスのイメージが強いです。
メンバーのメイクの感じとか。
あと有村竜太朗はピエロの恰好似合いすぎ…。(BUCK-TICKにも今井ピエロがいらっしゃいますが笑)


ということで、今回はここまで。
長々と書いてしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事を読んでそれぞれのバンドに興味を持ってくださった方がいらっしゃればとても嬉しいです。

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