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浅井七海・ファイナリストへの歩み

第1回大会から欠かさず参加し、第5回大会でようやくファイナリストの座を手に入れ、悲願のファイナリストLIVEのステージに立つことができた浅井七海。
思えば長い道のりでした。

第1回大会
・予選(2日目18位、総合敗退)
 『手紙~拝啓 十五の君へ~』/アンジェラ・アキ

第1回大会の予選での浅井七海の歌い方は、とても丁寧ではあったのですけれども、今ひとつ情感に欠けているように感じられたのですよね。
もちろん歌は上手かったのですけれども、表現力という点で物足りなさを感じたのも事実です。
とは言え、歌声はとても優しくてきれいでしたので、本人がその気になって取り組んでくれば、いずれファイナルにまで登ってくるに違いないと、これ以降、彼女に注目していくことになったわけです。

第2回大会
・予選(2日目8位、審査員推薦枠)
 『ありがとう』/いきものがかり
・決勝1曲目(第3組敗退)
 『何度でも』/DREAMS COME TRUE

第2回大会では、審査員推薦枠で決勝に進出しました。
ただ、決勝で歌った『何度でも』が、彼女の持ち味を活かした歌になっていなかったような気はしました。
もしかしたら、こういった歌い方もできるということを示したくてチャレンジしたのかもしれませんけれども、選曲ミスだったかもしれませんね。
生バンドの演奏をバックに一人で歌うのは、このときが初めてのことだったでしょうから、その緊張もあったのでしょう。

この大会で彼女は、審査員推薦枠ではなく自分の実力で決勝に進みたい、ひいてはファイナリストLIVEにも出たい、という気持ちがとても強くなったのではありませんかね。
この第2回大会以降、彼女は毎回決勝に進出することになるわけです。

第3回大会
・予選(2日目9位、審査員推薦枠)
 『ORION』/中島美嘉
・決勝1曲目(グループC敗退)
 『MOTHER』/奥華子

第3回大会では、前回に引き続き審査員推薦枠で、かろうじて決勝に進出しました。
本人も言っていましたけれども、ギリギリで滑り込んだといったところでしょうか。

決勝1曲目に歌ったのは『MOTHER』。
本人も、このときの歌唱が大きな転機になったと言っていましたけれども、とてもすばらしい歌唱だったと思います。
客席に招待した母親に向けて、感謝の気持ちを込めて感情豊かに歌っていて、その思いのたけは聴く人の心にも届いたのではありませんかね。

このときの歌唱では、技術面でのレベルが上がっているのもさることながら、なによりも聴き手に訴えかける力がとても強くなってきていたように感じました。
おそらく、この間の1年で大きく変わったところは、そこなのでしょう。
これまでは、上手いのだけれども本人が歌っていて気持ちが良いという歌い方に留まっていたのに対して、このときの歌唱では自分の思いを聴き手に届けたいという強い意志が感じられる歌い方になっていて、それはこちら側にも十分に伝わってきました。

ただ、不運だったのは、決勝の組み合わせで池田裕楽や岡田奈々と同じ組になってしまったことでしょう。
どの組に入っても厳しいことに違いはないのですけれども、このときは、優勝した怪物級のとんでもない新人の池田裕楽と、3位に入賞した誰もが認める実力者の岡田奈々がいた組だったわけですから……。
もちろん、彼女らを超えられなかったのは、力不足であったわけなのですけれども。

このときは、ファイナリストたちにも楽曲(ゴスペラーズ・黒沢薫さん作詞・作曲の『はじまりの唄』)が提供されるということで、それも含めて、悔しい気持ちでいっぱいだったのではありませんかね。

第4回大会
・予選(2日目2位、総合6位)
 『点描の唄』/Mrs. GREEN APPLE
・決勝1曲目(グループB敗退)
 『Sincerely』/TRUE

第4回大会の予選では、浅井七海が歌った『点描の唄』を山崎亜美瑠も歌っていましたけれども、同じ曲目でありながら、全く別の「歌」になっていましたね。
山崎亜美瑠も浅井七海も、それぞれに自分独自の世界観を作り上げ、そこに自分なりの主人公像で自分なりのストーリーを展開して、しかもそれをちゃんと歌に表現できているものですから、それぞれに彼女らの持ち歌のようになっていました。
どちらも完成度が高いだけに、同じ「歌」としては比較のしようがありませんでした。

予選を6位という高い順位で通過するとは思ってもみませんでしたけれども、第2回大会の歌唱から第3回大会の予選、それに続く決勝1曲目、そして今大会の予選へと、まるで階段を1段ずつ登っていくがごとく、浅井七海の歌は歌うごとにレベルアップしていたのですよね。

ところが、決勝1曲目でつまずいてしまった……。
声が裏返るというわかりやすいミスを犯してしまったのですよね。
彼女にしてみれば歌い慣れた曲であるはずの『Sincerely』。
1度もミスをしたことのないところで、思わぬミスをしてしまったわけです。
もしもこのとき、前回の決勝1曲目の『MOTHER』のような歌唱ができていたなら、間違いなく1位通過していたはずです。
同じ組になった山崎亜美瑠が、思いもよらず振るわなかっただけに……。

緊張よりもプレッシャーに負けたといったようなことを本人は言っていましたけれども、まあ確かにその通りだったのでしょう。
AKBでは岡田奈々に続く人がなかなか現れませんでしたから、そのぶん彼女に対する期待は大きかったでしょうから。

技術的な面で言えば、ファイナルに残ったメンバーたちに決して引けを取ってはいませんでしたので、要はその持てる力を100%引き出せたかどうかということになるのでしょう。
残念ながら、このときはメンタルの弱さを露呈させてしまったわけです。

第5回大会
・予選(2日目2位、総合3位)
 『さよなら大好きな人』/花*花
・決勝1曲目(第1組1位)
 『Close to you』/大原櫻子
・決勝2曲目(総合4位)
 『僕が死のうと思ったのは』/中島美嘉

当初はユニット戦にも出るつもりでいたようですけれども、諸々考えて個人戦に集中することにして、結果的にそれで良かったのではありませんかね。

予選は3位通過と、彼女としては過去最高の順位で決勝に進むことになりました。
結果が発表されるまで本人はずいぶんと不安がっていましたけれども、これまでいた上位陣がずいぶんといなくなっていますし、今の彼女の実力からすれば、予選上位通過は別段不思議でもなんでもないことでしょう。
審査員の人も言っていましたけれども、彼女の歌唱におけるスキルレベルは断トツで高かったのですから。

決勝大会の入場時の表情は前回よりもだいぶ和らいでいるように見えましたので、ファイナルには間違いなく残るだろうと、このとき確信しました。

1曲目の歌唱は『Close to you』。
緊張はしたけれども落ち着いてベストな歌唱ができたようで、本人としても満足していましたね。
メンタルの弱さも克服できたのでしょう。
ちなみにこの曲は、第3回大会の決勝2曲目に歌う予定だった曲なのだそうです。

グループ1位通過を告げられた瞬間、悲願のファイナリストLIVEへの出演権を獲得したのですけれども、意外と平静でしたね。
まあ、今の彼女の力量をもってすれば、ファイナルには間違いなく残れるだろうし、最終結果においても3位以内に入る可能性も十分にあったわけですから。

2曲目の歌唱は『僕が死のうと思ったのは』。
こちらの曲も、前回大会の決勝2曲目に歌う予定だった曲なのだそうです。
前回、古畑奈和と候補曲がかぶってしまい、ジャンケンで譲ってもらった曲。
けれども、ファイナルに残れなくて歌えなかったのですよね。
それが申し訳なくて、古畑奈和に約束して今回リベンジで歌ったのだそうですけれども、なんとも義理堅い人です。

最終結果は4位となり、AKB48に限れば歌唱力No.1となったわけですから、本人としても満足のいく結果だったでしょう。
これまでは決して口にすることがありませんでしたけれども、「優勝」を目標に掲げても良い位置にまで来たのではありませんかね。

そんなこんなの悪戦苦闘を経て、ようやくたどり着いたファイナリストLIVEです。
選ばれし者たちだけが立てる夢のステージ。
本人としては、何度も悔しい思いもして苦しい道のりだったかもしれませんけれども、少しずつ着実に歩みを進めていく姿は、それを眺めているこちら側としては、とても楽しかった。
ファイナリストLIVEで『はじまりの唄』を歌う浅井七海の姿を会場で目の当たりにしたときには、感慨無量でした。

第5回大会・ファイナリストLIVE 浅井七海出演曲
M01『世界はあなたに笑いかけている』/Little Glee Monster
 (全員)
M05『未来のひとへ』/TRUE
 (浅井)
M12『アイドル』/YOASOBI
 (浅井・村山・三村)
M16『目抜き通り』/椎名林檎とトータス松本
 (豊永・田口/サックス:浅井)
M18『好きだ。』/Little Glee Monster
 (三村・清司・新井/サックス:浅井)
M19『どうしても君が好きだ』/AKB48
 (浅井・村山・田口)
M25『はじまりの唄』/Nona Diamonds
 (全員)
M26『Maxとき315号』/NGT48
 (全員)
M27『また あなたのことを考えてた』/AKB48
 (全員)

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