見出し画像

【偶然日記#8】記憶のデトックスをしよう

noteを書き始めて20日目くらい。

昨日、ちょっとプンプンしていた友人に声を掛け、夜ご飯を食べに行った。仲の良い友人のそういう姿をみるとついつい声を掛けてしまう。

そんな時、僕は最近自分が体験した出来事や考えたことをきっかけの話題として出しながら対話する。会話のなかでお互いにとって新しい発見があったりすると一日の終りがプンプンからルンルンに逆転する。笑顔になって、ちょっと嬉しい気持ちになる。

で、その日は「実はnoteでブログを書き始めたんだよ」という話をした。そこからよくある展開だが「インスタとかで写真を上げるのって、やっぱ承認欲求からじゃない。」と彼が言った時、僕は次のことが口をついて出てきた。

「そうなんだよ。俺も承認欲求ってのも間違いなくあって書き始めたんだけど、この2週間くらい毎日noteでアウトプットし続けてたら、また違う感覚を覚えてきたんだよね。」

それは何かというと、先週書いた「偶然日記#5」につながることだった。「記憶の再編集」の話。

僕は亡くなったじいちゃんが好きだった。見た目は強面だし、たまに怒ると怖いのだけど、記憶に残るのはひょうきんなじいちゃん。帰りにバイバイする代わりに、ケツを出して振ってくる。そして、おばあちゃんに突っ込まれる笑。ほかにも面白エピソードー例えば、「じいちゃんはな、戦地で花札で大分儲けたんだぞぉ。」とか、「じいちゃんは、戦争から帰ってきてホテルで働いてたけど、各階に彼女がいたんだぞ。だからお前もたくさん恋をしろよぉ。」とかーを話してくれた。とにかく人間味が溢れる人だった。

大学の頃バイト終わりに母親から急に「おじいちゃんが亡くなった」と連絡が入った。じいちゃんの家はバイト先から近かったので、その足ですぐ向かった。僕はじいちゃん家に入っていくことはできず、家の周りを何周もした。じいちゃんと対面したとき、涙は出なかった。父親に声を掛けられ、外に散歩に出た。近くの都電の踏切まで来たとき、突然、涙が溢れてくるのと同時に立てなくなった。

そんなじいちゃんの姿は遺影や家族写真で残っている。写真には確かにリアルなじいちゃんー巌(いわお、じいちゃんの名前)ーがいるのだが、やっぱり僕の中での巌像はエピソードの中の巌なのだ。事実の巌と、巌が盛ったエピソードの巌、そして僕の中の巌は、決して同じじゃない。僕にとっては事実の巌はどうでもよく、巌によって、さらに僕によって再々編集された巌こそ、僕が大好きな巌の記憶なのだ。

「それで書き続けて思ってきたのが、羅列した事実にどんだけ価値があるのか?ってこと。もちろんケースバイケースだけど、自分や誰かがホッコリしたり、支えになったりするならば、羅列した事実よりも事実を再編集したストーリーの方がよっぽど価値がある場合も多いんじゃないのか?」と僕は話した。

「あーなるほどねー」と彼は答えてくれた。

「それでさ、記憶を再編集するのに、インスタやfacebook、ブログはすごい良いツールなんじゃないか?とも思ったんだよね。というのも、誰かに見てもらおうとするって第三者の視点に立つと、”良く”見せようとする。結果、”良い”ように編集されたポジティブな記憶が残る。これって、記憶のデトックスみたいなもんじゃないかって。だから、インスタとか上げ続けてる理由は、承認欲求以上に、ジョギングやヨガと同じように心身の健康のために続けてるじゃないかと、今話してて思ったわ。」

そして、自分自身でアウトプットし続けて、ストーリーなんて多かれ少なかれ創造するものだと自覚できると、事実じゃない他人のストーリーと何で競ってるんだろう?って思えるかもしれない。この見方が、誰かのキラキラSNSで疲れさせられてしまった人の気持ちを、少しでも軽くすることに繋がればいいなと思う。そんなお友達がいたら話してみてください。

僕は自分だけが見る用の備忘録をGoogle Keepに書き連ねている。それとは別に、誰かが見てくれるかもしれない、このnoteをペンネームで書いている。一旦、Google Keepに吐き出したものを、noteで浄化している感じ。noteでは吐き出したものをポジティブに解釈したメッセージを残そうとしている。もちろん、ダークサイドに陥ってなかなか難しい場合もある。そのときは、まだ試行錯誤中だけれども、コメディのように、間抜けな姿を表すことで、誰かがポジティブな気持ちになってもらえればという思いで書いてみている。「雄手舟瑞物語」はこっち。

インスタやfacebookとかもあるけれど、僕の場合はnoteを続けることで、ポジティブな解釈ができるようにトレーニングを積んでいきたいなと思っています。

(おわり)

雄手舟瑞の過去の話をベースにしたフィクション「雄手舟瑞物語:青い鳥を探していた男が見つけたこと」と雄手舟瑞の今を書くエッセー「偶然日記」を毎日交互に更新しています。よろしければご覧ください


この記事が参加している募集

noteでよかったこと

こんにちは