牌譜検討⑯雀聖3さん

さて、添削シリーズ今日も行ってみましょう!
と、言いたいところですが、今日のタイトルは牌譜「添削」ではなく、牌譜「検討」です。理由はこの後お話しします。

●成績概観

今日の牌譜主さんは、なんと雀聖3の実力者さん。
「ワイで教えられることあるんかいな…」と絶望をしながら牌譜屋成績をのぞき込むと…

主さんの玉の間成績

安定段位魂天。ワイより強そう。

…はい、牌譜添削終了です。お疲れさまでした!

と言いたいところですが、一度お受けしてしまったからには何かしらの役には立てるように頑張ります。よって今回は偉そうにアドバイスできる立場ではないため、フラットな議論のパートナーとして書いていきたいと思います。そんな思いも込めてタイトルを「検討」としました!また、今回もNAGAの力も借りながらやってまいります。

スタッツを見ても攻守バランス抜群で、立直重視の面前型。私とタイプが違って良かったなと少し安心しました。これならアドバイスはともかく何か新しい考え方くらいはご提供できそうな気がしました。(同じタイプの上位互換の方にはマジで何も言えることが無いので…笑)

●検討の余地があると感じたポイント

5半荘牌譜を拝見し、あーこれはかなり強いなと感じました。麻雀で一番重要な押し引きの精度が高く、シンプルな手組で変なことしないので大きなミスも少ない。これは昇天は時間の問題でしょうね!

普段は繰り返し見られた課題について見解を述べさせていただくことが多いのですが、このくらいのレベルにくるともう複数半荘見ても明確な課題を見つけるのは難しかったです。でも、検討の余地はあるかな?と感じたポイントを3つ記載していきます。

検討ポイント①後手の粘り方

押し引きは結構シンプルで、無理な時はスパっとオリることが多かったですね。安定するし、良いと思います。
ただ、主さんくらいのレベルに来ると、ここから一歩ずつ踏み込んで行くことくらいしか成長の余地は見いだせないように感じます。
ポイントは
・粘っても安全度を大きく棄損しないか
・粘る価値がある点数状況か
・将来出ていく牌をできるだけ安全にできる打牌はどれか
あたりの論点をサボらずにしっかりチェックして踏み込める余地を模索していくことかなと思います。
今回牌譜を拝見して気になったポイントは大半これでした!

検討ポイント②最終形を意識した手組

シンプルに牌効率重視でリーチを目指す手組が多いですね。これ自身は基礎通りでとても良いと思います。
反面、逆に言えば
・遠い手役を意識した手組
・鳴ける形を意識した手組
は少ないことを意味します。私自身がこれらを重視する寄りの打ち手なので、「私ならこうする!」という意見も出してみますのでご参考になれば幸いです。

検討ポイント➂合わせ打ちの功罪

最後は結構無理やり引きずり出した論点ですが、後手になった時に通った牌を無条件で合わせ打ちをしていくのが体に染みついているように感じました。

これら3つ以外にも、せっかく牌譜を拝見したので細かい気になったポイントも最後に可能な限り紹介していきますね!

●事例集

2/10 22:58の半荘 南1局

上家の7sをスルー

検討ポイント①、後手の粘りです。
前巡の7sチー、下家の2mポンはどっちでもいいレベルかなと思いましたが、このラス牌7sは個人的には相当チー寄りの感覚です。
自分は微差3着のビハインドの南場親、ノーテン流局は瞬間ラス落ちで親流れ、面前でのアガりは厳しい巡目。そんな中ですのでこの局面はスルーでオリ気味になるのも自然に感じますが、よく見ると2m2mが安全牌、4mも1チャンス、その他現物も2sがあり、一旦踏み込んでもあまり手詰まりにはならなそうです。これはチーして粘るべきだと思います。
(チーしてから何を切るかはかなり難しいです、、私は現物2mを切りそうです。捨て牌の切り順が79mなので結構良形率高い、そんな中7pはノーテンから打てる牌ではないとの判断です。)

2/10 22:58の半荘 南4局2本場

上家の立直、一発目に打2s

こちらも検討ポイント①、これは9sを打ちたいです。
オリの9sではなく、粘りの意味も含んだ9sです。この牌姿はいろんな論点がありますね!
まず2sを切ったとしても、形上1シャンにはなりますが、手役を考えると実質2シャン、かつ危険なピンズをどれかが必ず出ていく形になってしまいます。
一方、現物9s切りは一旦メンツを崩してしまいますが、2シャンテンでアガリまでの距離は2s切と変わっていません。
さらに、注目していただきたいのは上家の索子の切り順です。
5s5sの間隔切りは、1355からの切り出しがあり得ます。実はダイレクト筋の2sはそこそこ危ないです。しかも赤入り麻雀で55を切り出すということは123三色等の手役も絡む可能性があり、平均放銃打点も少し上がりそうな気がします。
一方、索子の上はほぼ安全であることはお判りいただけますでしょうか?
9sが早く切られているので5579sからの切り順は無さそうだし78sのシャンポン残りやペン7sも薄そう、宣言牌5sなのでカン7sも無さそうです。
よって、安全な索子1メンツを落としながら終盤に粘りこむ構えがやや優秀そうに感じます!

2/11 22:43の半荘 東1局

7sを合わせ打ち

これは議論しがいがある牌姿、検討ポイント③です。私はギリギリ絞りを選択しそうです。
下家が明らかに索子の染め手の中、自分の手は面前聴牌はさすがに厳しそうで、鳴いて2000点が良いところで価値は微妙なところ。
一方、デメリットとしてはもちろんチーされるリスクです。この7sをチーと言われると結構清一色、赤含むとハネマンまであり、アガらせてあげるにはちょっと通行料が高いかなという感覚です。放銃しない今のうちに7sを切ってしまいたい気持ちはとてもよくわかります。この7sを逃がさなかったとしても、全方向にそこそこ安全牌があるので、あえて鳴かせてあげる必要はないかなと思います。
堀慎吾さんの「至極の戦略」によれば「子相手に絞るのは大体損」ということなので、私が間違っている可能性も高そうですが、一応見解を述べてみました。
ただ、この局続きがあり

4sを合わせ打ち

こっちは多分切らない方が良い気がします。
子に絞るのが大体損な理由は「相対的に親を得させる」ということですが、もはや親の反撃が来そうな捨て牌でも巡目でもなさそうですね。ならば、下家の手を進めてしまう可能性がある牌をおろしてあげる必要は無さそうです。自分の粘りの意味合いもあったと思いますが、白が残っているのが厳しい。勝負しに行ける機会も少なそうなので一度3pを切って大体絞り&オリに構えつつ、数少ない粘りとしては運よく下家が白をツモ切ったりした時だけ急いで4sを打ちに行くくらいで良い気がします。

2/11 22:43の半荘 南2局1本場

打南としたところ

これは5sを…って熱弁しようとしたところで気付いたのですが、よく見たら隣ですし主さんほどの方が南を切る気もしなくなってきたのでこれはクリミスでしょうか?もしやはり南切りだということであれば、再度熱弁しますのでご連絡ください笑

2/11 22:43の半荘 南3局

打東

検討ポイント②、最終形の意識です。
これもNAGAは東切だったのでこれで良いと思いますが、こんな考えの人もいるというご紹介として、私は5mを切りそうです。(NAGAも5mに少しバーが伸びてはいました)
大きな理由は点数状況による大局観です。
下と微差2着目の南三局、私の感覚としての優先順位は
・放銃ダメ・絶対
・アガれたらほぼラス回避確定でデカい
・でもできればトップに迫れる打点も欲しい

くらいに感じます。よって、安全度は担保しながらアガリを目指せる構えにしたい。そうなってくると、数手先を考えた時に、北のみのポン発進や面前での立直のみはあまり嬉しくないというのが個人的な感覚です。それよりは字牌をもう一つ重ねて手に残しながら役牌ホンイツチャンタなどの進行をメインに据えたいと考えます。そう考えると、どっちにしても5mはかなり使いにくい。
これは結構ウマブリ気味の偏った考えだと思いますのでご参考までです。
なお、こちらも続きがあり

上家の3sをスルー

これは結構チーしたいです!こちらは検討ポイント①ですね。
理由としては、鳴かないと聴牌はかなり厳しいこと、鳴いても12p北北で安全度は大丈夫そうだしあまりリスクを負わずに聴牌できる道が残ることですね!

2/11 22:43の半荘 南4局

親リーにバシっと7sプッシュ

これも検討ポイント①、8p切がバランスの取れた選択だと感じます。
上家にアガられてもラスですが、自分が放銃しても当然ラス。そんな中、終わらせてあげるよ!と親からリーチが来てくれたので、親がアガってくれてラス回避の道がかなり現実的になったことは大きい。
でも自分の手もかなり良いので完全にオリるのはもったいないですが、7sは結構危ない。そこで折衷案のワンチャンス8pです。これを切ったところで聴牌しやすさには影響ありませんし、一旦放銃回避すればその間に親がアガってくれる可能性があります。さらに索子を残しておけば、索子が伸びた時に現物6mを切って粘る道も残ります。

2/23 22:32の半荘 南1局

打1mで迂回

これも検討ポイント①、結構南を切りたいかなぁと思います。
親立直とはいえ自分はラス目、1m切り迂回はマンズの切れ具合と9m9sを自分が切ってしまっていることを鑑みると、良くて形式聴牌どまり。
一方南を切れば七対子のイーシャンテンとなり、聴牌すれば押し返しの価値もありそうです。

2/23 23:00の半荘 東2局

素直に打東

これは検討ポイント②最終形の意識、マニアックですが、ここは打6pも面白いと思います。
まずこの手はほぼ鳴かないとアガれない手であることを前提とします(面前だと七対子くらい)。最終形を構想した時に、ブロック候補として白、北、マンズで1つ、索子の両面は有力候補となります。そんな中、この局面は残りの1つをどこに求めるかという打牌選択になります。候補は9m69p東。この中で、6pにくっついた時は「白のみ」の安手にしかならずあまり嬉しい最終形が待っていないように思います。9pを縦に引けばドラ、東やマンズ上を引けばホンイツが残る構想を持つと、ここで6pを打ってしまうのも面白いなと思いました。

でもこれ、NAGAには怒られるだろうな、と思ったのですが…

6pがいいかも

まさかの一致でした!

●まとめ

ということで、実力者の牌譜検討は神経も使うし、疲れますね…笑
私なんかが偉そうに検討できるレベルの方ではありませんでしたが、何とか少しでも示唆になっていれば嬉しいです。

●おまけ

最後に、繰り返し見られた傾向ではなかったのでうっかりミス等の可能性もあるなと思ってスルーした牌姿も一応いくつかご紹介しておきますね!

2/10 22:58の半荘 東3局

打9p

三色の見落としでしょうか?これはおそらくうっかりだと思いますが、このタイプのうっかりがあるということは、やはり序盤で最終形構想を持つ意識、鳴ける手役に対する意識は少し強めても良いかもしれませんね!

2/10 22:58の半荘 南4局5本場

打白

激戦のオーラス。これは面白いですね。個人的には結構1pを切りたいです。
1pを切れば白を安全牌として1枚持てるのと、それによって25m69mを鳴いた時の形に安定感が増す感覚です。また、最終形で白単騎というアガりやすく回りやすい待ちにできそうなのも大きいです。
白切りも3p引いてノベタンを残せるメリットもあるのですが、放銃できない点数状況も鑑みるとやや前者のメリットが上回る感覚です。実際このあと…

上家の9mをスルー

この牌姿でもチー推奨ですが、鳴きにくい気持ちはすごくわかります。でも、1pを切っておいた形だったら躊躇なく鳴けたと思いません?

2/11 22:43の半荘 南3局

上家の4sをスルー

個人的にはチー推奨です。ただ、NAGAはギリギリスルーでした。あまりNAGAは手牌読みをしてこない印象があり、ここはNAGAに私の読みでチャレンジしたいです。
配牌オリとかするはずのないラス目があの濃い捨て牌で、ピンズじゃなくて索子の真ん中をチーして打4s。これ、かなりやばく見えません?速度感的にも最低1シャンくらいまで仕上がってそうです。加えて打点も欲しいはずのこの局面、結構「ドラの白」があそこにあるなって感じました。
そう考えると、ここは自分も絶好の手ではありつつ、4sを頂いて速度を合わせておかないと上家にアガられてオーラスに4着落ちの危機にさらされかねないなと感じます。

なお、

上家の手に注目

ここまでビタで当たったのは正直結果論もありますので、ドヤりもこの辺にしておきますが笑、そういう考えもあるということをご参考までです。

2/23 23:00の半荘 東4局

上家の4pをスルー

これはかなりチーテン取りたいですが、何かお考えありますでしょうか?

2/23 23:00の半荘 南2局1本場

5p切りダマを継続

前巡の6s切りダマは現物待ちでのオリ打ち狙いも効果的ですし、、どちらでも良いくらいに感じます。次巡のこれもダマ継続で悪くないですが、ツモ切り立直も面白いかなと思いました。脇二人が既にオリてそうですが、まだ4mが出てこないということは、結構山にありそうに見えます。ラス目で打点も欲しいことを鑑みると、ここは曲げ勝負にでる選択肢もあり得たかもしれないですね!

2/23 23:29の半荘 東1局

打9m

ここは1sにしたいですね!
同じ端牌で、違いはソーズ一通か789三色の差。シンプルに、三色まではあと3枚、一通まではあと4枚必要なので789の方が近いですね!

2/23 23:29の半荘 南1局2本場

打発

これは結構1mを切りたいです。面前では厳しそうな手牌の時に、役牌を重ねにいく意識はもう少しあってもよいかもしれません!

2/23 23:29の半荘 南4局

親立直に打1p

これは目をつぶってr5mをぶった切りたいです。
跳満が必要な厳しいラス回避条件の中、愚形残りで後手になり勝算は高くない。でも、この絶好のチャンス手でオリにまわり、次局もう一度ハネマンを作れる手牌が来る確率の方がさらに低いと思います。ここがIKUSA時だー!

以上です。おまけも長くなりすぎてしまいました…笑


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