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オトナセツナイ香水を染み込ませて…★劇評★【ミュージカル=マイ・フェア・レディ 神田沙也加・別所哲也バージョン(2018)】

 言葉オタクの言語学者が、街角で粗野な言葉を吐く娘と出会い、ひょんなことから彼女を貴婦人のように育て上げるという、一見シンプルな物語である「マイ・フェア・レディ」。映画やミュージカルの世界的な大ヒットによってあまりにも有名な作品になったが、そこには女性のシンデレラ願望、男性の育成願望を同時に満たす要素があり、窮屈な上流階級と生命力あふれる庶民という英国ならではの階級闘争的な視野も入っている。また学問というもののご都合主義な面や貴族社会の欺瞞ぶりもたっぷり。もちろん男と女が互いに気付かないうちに平等な立場に立った時、これまでと違うものが通じ合って新たな世界が広がっていくこととも合わせ、なんとも豊かなフィールドが私たちを包んでくれることか。神田沙也加、朝夏まなとというフレッシュなヒロインをWキャストで迎え、2年ぶりに再演されているミュージカル「マイ・フェア・レディ」はそうした作品の深い懐をたっぷりと使いながら、心を震わせるオトナセツナイ香水を染み込ませた演出で観客を魅了している。特に、神田沙也加・別所哲也が演じるバージョンでは、それぞれの役柄への解釈が深く、キャラクターの細かい点にまで気を配った演技が物語に映える格別な出来上がり。今回はもう一方のバージョンである朝夏まなと・寺脇康文とともに固定された組み合わせのWキャストということもあり、G2による狙いすました演出の違いも楽しめ、見どころがたくさん散りばめられている印象だ。
 ミュージカル「マイ・フェア・レディ」は9月16~30日に東京・渋谷の東急シアターオーブで、10月6~7日に福岡県久留米市の久留米シティプラザ ザ・グランドホールで、10月10~11日に広島市の上野学園ホールで、10月19~21日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで、10月24~25日に名古屋市の日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで、10月31日~11月1日に大分市のiichico総合文化センターiichicoグランシアタで上演される。

 朝夏まなと・寺脇康文バージョンについての劇評もまもなく掲載予定です。今しばらくお待ちください。

★ミュージカル「マイ・フェア・レディ」公式サイト
https://www.tohostage.com/myfairlady/

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