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さらに目標を高く掲げ、作品を成長させていくようなチャレンジスピリッツがいくつもの箇所に散りばめられている…★劇評★【ミュージカル=ラ・マンチャの男(2019)】

「ラ・マンチャの男」は今の自分を映す鏡である。その反射の光は時には厳しく、時には優しく私たちを照らし、「日々の現実、つまりあるがままの人生に折り合いをつけていないか」と激しく問うてくるからある。「自分があるべき姿のために戦う」ことが夢を持つということであると説くこの作品は、単に物語を観客に伝えるだけでなく、その観客の心の中にまで、今の自分に人生の真剣度を試してくる作品なのだ。たとえ夢はまだかなっていなくても、そのために前進を続けることこそが大事で、それこそが人生なのだという高い理想を掲げるこの作品に、私も何度救われてきたことか。そんな単なるミュージカルの域を超えた運命的な作品であるミュージカル「ラ・マンチャの男」が4年ぶりに上演されている。しかも今回は市川染五郎時代から松本幸四郎時代を経て演じ続けてきた松本白鸚が襲名後初めて挑む公演。完成の域に達する寸前でさらに目標を高く掲げ、作品を成長させていくようなチャレンジスピリッツがいくつもの箇所に散りばめられ、決して立ち止まらないそのありようは、まさしく松本白鸚の生きざまと二重写しになる。(写真はミュージカル「ラ・マンチャの男」とは関係ありません)
 ミュージカル「ラ・マンチャの男」は、10月14~27日に東京・丸の内の帝国劇場で上演される。なお、東京公演に先立つ9月7~12日に大阪市のフェスティバルホールで開かれた大阪公演、9月21~23日に宮城県仙台市の東京エレクトロンホール宮城で開かれた宮城仙台公演、9月27~29日に名古屋市の愛知県芸術劇場大ホールで開かれた名古屋公演はすべて終了しています。

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★ミュージカル「ラ・マンチャの男」公演情報

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