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四姉妹の人生の悲喜こもごもが交錯していく様は一種の凄みさえ感じさせる…★劇評★【舞台/MUSICAL=Little Women リトル・ウィメン ~若草物語~(2019)】

 「かわいい淑女の皆さま」あるいは「小さなご婦人方」という意味がある英語の「Little Women(リトル・ウィメン)」という言葉は本来は成人した複数の女性たちに呼び掛ける言い方を子どもたちに使う場合に使われるが、世界的大ヒット小説としてあまりにも有名な「若草物語」の原題としても広く知られている。これは作者であるルイーザ・メイ・オルコット(Louisa May Alcott)が自分たち姉妹を父親が呼ぶときの常套句であったようだ。欧米では幼いころから自立した人間に育てようとする傾向が強く、女性に対する敬意も手伝って、こうした呼び方が使われていたようだが、「若草物語」を舞台化したミュージカル「Little Women リトル・ウィメン ~若草物語~」を見ていると、そのことの深い意味合いが伝わって来る。時にしなやかに時に激しく時代と格闘しながらも、それぞれの人生の中で自立した生きざまを見せる四姉妹の姿は、ある種の自由を彼女たちよりは多く獲得しているはずの現代の私たちにも力強い勇気を与えてくれる。しかもその四姉妹の物語を、芯のある強さと自由奔放さが魅力の朝夏まなとや伸びやかな感性を持つ彩乃かなみ、可憐な輝きを持つ井上小百合、伸び盛りの下村実生が演じるとあっては、目が舞台にくぎ付けになるのも致し方のないところ。村井國夫、香寿たつき、久野綾希子ら日本の演劇界が誇るベテラン陣がしっかりと物語を支えていることもあって、四姉妹の人生の悲喜こもごもが交錯していく様は一種の凄みさえ感じさせる。演出は小林香。(写真はミュージ
カル「Little Women リトル・ウィメン ~若草物語~」とは関係ありません)
 ミュージカル「Little Women リトル・ウィメン ~若草物語~」は、9月3~25日に東京・日比谷のシアタークリエで、10月2日に名古屋市の日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールで、10月5~6日に福岡市の福岡市民会館で上演される。

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★「SEVEN HEARTS」の「Little Women リトル・ウィメン ~若草物語~」劇評ページ

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通常、ジャニーズの公演や所属俳優が主演されている演劇公演の場合は、たくさんの方が劇評を見に来てくださることに配慮して「note」では最も低い料金設定の1本100円で有料公開していますが、今回は林翔太さんは主演ではないことから、通常の劇評公開料金である300円での有料公開とさせていただきます。林さんのファンの方には申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。ご了承ください。

★ミュージカル「Little Women リトル・ウィメン ~若草物語~」公演情報

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