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抱腹絶倒の物語の中に哲学的な問い掛けも…★劇評★【舞台=Mann ist Mann マン イスト マン(2019)】

 横浜市にある「KAAT神奈川芸術劇場」と長野県松本市にある「まつもと市民芸術館」。ともに白井晃と串田和美という多才な演劇人を芸術監督にいただき、東京や大阪の劇場・劇団・プロデュース体に一歩も引けを取らない作品を生み出し続けている注目の公共劇場だ。これまでも一方の制作作品を連携して上演することは多かったが、両者が初めて本格的な共同プロデュースを果たしたのが、横浜公演を終えて、現在長野県内の劇場を巡演中の舞台「Mann ist Mann マン イスト マン」だ。演劇界の永遠の異才、ブレヒトの喜劇として知られるこの作品はおバカな兵隊さんの些細な悪事が招いたドタバタがやがて多くの人を巻き込んで大騒動に発展していく抱腹絶倒の物語だが、単に愉快なだけでなく、人が人であることの不可思議さや、幸せの本当のありかを考えさせる哲学的な問い掛けもちりばめられ、とびきりファンキーな生演奏と、ペーソスあふれる語り口も相まって観客をぐいぐい引き込んでいく上々の仕上がり。選び抜かれたキャスティングと、最前方の一部の席では食事も供されるなど工夫を凝らした「キャバレー演劇」とでも言えるシステムが物語の面白さを一層盛り上げている。(写真は、舞台「Mann ist Mann マン イスト マン」とは関係ありません)
 舞台「Mann ist Mann マン イスト マン」は2月8~13日に長野県松本市の信毎メディアガーデン1階ホールで、2月23日に長野市のホクト文化ホール中ホールで、2月27日に長野県伊那市の伊那文化会館小ホールで上演される。それらに先立って、1月26日~2月3日に横浜市のKAAT神奈川芸術劇場で上演された横浜公演はすべて終了しています。

★舞台「Mann ist Mann マン イスト マン」公演情報=横浜公演はすべて終了しています

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