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尽きることのない暴力性と純粋な魂がとぐろを巻き合いながら互いを高みへと押しやるような迫力に満ち、現代人の心に鋭い切っ先を向ける…★劇評★【舞台=カリギュラ(2019)】

 小説「異邦人」や戯曲「誤解」などを生み出したアルベール・カミュの黄金期と言われる1940年代に発表されたカミュの代表作のひとつ「カリギュラ」。暴虐の限りを尽くして孤立を強める中で破滅の予感を抱きながらも、不可能なことを実現しようとする美学の中に没入していくローマ帝国皇帝カリギュラの姿を、若き演技派として注目される菅田将暉が舞台「カリギュラ」で狂おしいまでに表現している。人間の裏地のようなざらついた感触をベースに、時にコミカルに時にパンキッシュに人間そのものを描き出す菅田の演技は、尽きることのない暴力性と純粋な魂がとぐろを巻き合いながら互いを高みへと押しやるような迫力に満ち、現代人の心に鋭い切っ先を向ける作品に仕上がっていた。演出は栗山民也。(写真は舞台「カリギュラ」とは関係ありません)
 舞台「カリギュラ」は、11月9日~24日に東京・初台の新国立劇場中劇場で、11月29日~12月1日に福岡県久留米市の久留米シティプラザ ザ・グランドホールで、12月5~8日に神戸市の神戸国際会館こくさいホールで、12月13~15日に仙台市の仙台銀行ホール イズミティ21 大ホールで上演される。

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★舞台「カリギュラ」公演情報

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