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三者三様の葛藤の中で息詰まる神経戦を繰り広げる様は3人の臨界点をぶつけ合うような凄みのある演技も手伝って、鋭い衝撃を与え続ける…★劇評★【舞台=死と乙女(2019)】

 加害者と被害者の果てしない暗闘、そして目まぐるしく交錯する立場…。心理サスペンス劇の最高峰「死と乙女」が、宮沢りえ、段田安則、堤真一という最高の組み合わせで上演されている。民主主義が始まったばかりの国を舞台に、かつての独裁政権時代に拷問を受けた女性と、それに加担したかもしれない医師の男性、そして女性の夫で新政府のもとで独裁政権の罪を調査する弁護士が三者三様の葛藤の中で、息詰まる神経戦を繰り広げる様は、3人の臨界点をぶつけ合うような凄みのある演技も手伝って、観客の心に鋭い衝撃を与え続ける。観終わるまでの約100分。観客は自分が加害者なのか被害者なのか分からなくなる。ひとつだけはっきりしていることは、もう演劇という「戦場」の傍観者ではいられなくなっているという事実だけだ。演出は小川絵梨子。(写真は舞台「死と乙女」とは関係ありません)
 舞台「死と乙女」は、9月13日~10月14日に東京・三軒茶屋のシアタートラムで、10月18~21日に大阪市のサンケイホールブリーゼで上演される。

★通常、劇評の続きを含む劇評の全体像は、このクリエイターのための作品発表型SNS「note」で有料公開していますが、今回は10月21日までの公演期間中に限って劇評全文を無料公開しました。10月22日午前0時以降は有料(300円、一度購入すると以降は何度でも無料でお読みいただけます)公開に変更いたしました。ご了承ください。序文以降の劇評には、作品の魅力や前提となる設定の説明。宮沢りえさん、堤真一さん、段田安則さんの演技に対する批評、小川絵梨子さんの演出に対する評価などが含まれています。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスはいくつかの例外をのぞいて、2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★舞台「死と乙女」公演情報

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