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変わりゆく時代の中で暴走する人々の心…★劇評★【舞台=ハングマン(2018)】

 目の前の舞台上で起きていることと、自分たちが感じていることのあまりにも大きな差に愕然とする。英国の鬼才劇作家で脚本家、映画監督でもあるマーティン・マクドナーの創り出す舞台作品は、例えばえぐい暴力が起きていても、思わず「何をばかなことをやってんだか」と感じてしまうことが多く、不覚にも笑ってしまったりする。そこにはとても生々しいのに、ひとつ人間性というものをすっとすくいあげて、ためつすがめつ眺めているような客観性もあるからだ。そのマクドナーの真骨頂であり、なおかつ、新たな方向性への旅立ちとなった衝撃の舞台作品「ハングマン」が日本人キャストによって上演されている。時代が変わりゆく時の社会や人々の動揺をベースに、ざわつく日々が導いたとんでもない場所に観客は否応なく連れていかれる。演出は長塚圭史。翻訳は小川絵梨子。(撮影・引地信彦)
 舞台「ハングマン」は5月16~27日に東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで、6月9~10日に愛知県豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールで、6月15~17日に京都市のロームシアター京都サウスホールで、6月21~22日に北九州市の北九州芸術劇場中劇場で上演される。これに先立って、5月12~13日にさいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で上演されたさいたま公演はすべて終了しています。

★舞台「ハングマン」公式サイト
http://www.parco-play.com/web/play/hangmen/

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