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雲のいたずら

山梨県・山中湖に夏の日差しを求めてドライブに行ったのはいいんですが、見た通りのどんよりとした雲が全天を覆っています。憂鬱な空ではありますが、どこかの親子連れが妙にはしゃいでいます。

「お母さん、見てみて、あれピカチュウだよ。」
「本当だ、ピカチュウだねぇ~。よ~く、見つけたね。」
ということで、私もその雲を見つけて写真を撮った次第。
言われてみれば、確かにピカチュウそのものです。

雲って、水蒸気の塊が・・・・・なんて野暮な説明は、この際しないで、単純にその造形を楽しみましょう。
子供の時に、草原に転がって、のんびりと日がな一日、空を眺めていたことはありませんか。

そんな時、仲間がいれば、きっと誰かがこう言ってきます。
「ねぇ、あの雲すごく速いよ。」
「下と上の雲の動く向きが反対だ、どうなってんだろ?」
こんな、純朴な疑問、今改めて当時を懐かしんでしまいますね。

でも、このイマジネーション力が、将来大人になっていろいろな発想を生む原動力となるのです。
化学式で有名なベンゼン環ですが、通常化学式は横方向に伸びていく形が一般的でしたから、ベンゼンの化学式を解くのにえらい苦労をしたそうです。

ところが、亀の甲羅の様な原子配置で、しかも共有結合を持ち出すと、あら不思議、何と簡単できれいな化学式ができたではありませんか。
こういった固定概念を崩す発想は、なかなか出てきません。
ところが、誰かがいったん口火を切ると、あとはその発想が燎原の火のごとく化学界に広まって、解けなかった難問が次々に解決していったんだとか。

雲の形を見て「ピカチュウ」といった子供は、きっとその時のことをしっかりと覚えていて、発想の原点だと思い返すことでしょう。
常識を覆すことはなかなかできないと思っている大人たちは既存知識の中から何かそれに近いものを探すことに慣れきっているんですね。
だから、子供は頭が柔らかいとか言っているわけですが、既存知識がなくても「ピカチュウ」と言っている時点で、これは既存知識を照らし合わせている行為なんです。

そうか、と膝を打ったあなた、納得したんですね。ある意味、皮肉な結果ですが、大人の判断基準なんてそんなものなんです。だからこそ、「瑞々しい感性」を持っている人を探すのは難しい事なんです。

さあ、あなたはどんな発想力をお持ちですか。データベースに頼っているのでは将来はおぼつかない?いいえ、それはそれで一つの価値観です。


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